今回デルの【Inspiron コンパクトデスクトップ [3020]】をお借りしました。シンプルで実用的な低価格のミニタワーモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2023年4月28日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
コンパクトなミニタワーケース
デスクトップPCでは定番となる、ミニタワーケースですが、海外メーカーらしくかなりコンパクト。
サイズはW154×D293×H324.3mmと、横幅は約15cm、奥行きは30cm以下に抑えられ、より狭いスペースにも設置できるのが強みですね。
一通りセットしてみると、こんな感じになります。なお、ディスプレイは23.8インチです。
デザインはシンプルながら意外と凝っており、フロントパネルはスリット加工が施され、上下でパターンを変えることにより、アクセントをつけています。深みがあるフォグブルーの色合いも相まって、モダンなイメージに仕上がっています。
なお、冷却面で吸気口は、フロントパネルと左サイドパネルに設置されています。
それぞれの面積は小さいものの、ハイスペック構成ではないので、これでも十分です。
底面はこの通り、ゴム足×2・金属足×2が設置されています。いずれも小ぶりですが、本体の振動はしっかり吸収できており、機能面では特に問題ありません。
充実したインターフェース
インターフェースはポイントをおさえたラインナップとなっています。
USB端子はフロント・背面あわせて計8ポートと多めに搭載。規格はUSB 3.2 Gen.1と2.0のオーソドックスな内容で、フロントパネルのUSB 3.2 Gen.1のうち一つは、小型&リバーシブルのType-Cポートとなっています。
派手さはありませんが、多めのポート数にType-Cを装備しているので、周辺機器の接続にはまず困りません。
そのほか、DVDドライブやSDスロットを装備し、普段使いで必要なものが一通りそろっているのは◎。Type-Cポートを含め、フロントパネルに必要なものがすべて集約されているのは、とても便利ですね。
映像端子はDisplayPort&HDMIが用意され、複数画面出力も可能です。なお、内蔵グラフィック・UHD 730での出力となるため、4Kでは30fpsまでしか出ない点に注意。
ちなみに、ネットワーク通信は、有線LAN&無線LANの両方に対応しており、無線環境オンリーでも使えるのがポイント。
無線LANは、最新のWi-Fi 6(802.11ax)にしっかり対応。Wi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、無線でのゲーミングがより安定します。
内部
合理的な内部構造
コンパクトなケースのため、パーツの配置はやや特殊。
HDDを搭載する3.5インチベイは、フロント上部に設置されています。これにより、電源との干渉を回避しているわけですね。
なお、拡張性といえば、この3.5インチベイのみと最低限。SSDはM.2タイプとなっており、基板上に直接搭載されています。購入後にできることは、HDDの交換やメモリの増設くらいですね。
ちなみに、マザーボードは特殊規格のため、市販のもので代用することはできません。
内部のエアフローですが、ケースファンは非搭載です。その代わり、CPUファンをケースファンの代用とし、カバーを取り付けることにより、前後にエアフローを生み出しています。
この通り、内部は徹底的に合理化されており、ムダがありません。これが安さの秘訣でもあります。
ブロンズクラス電源搭載
各パーツに電力を供給する電源には、300Wのブロンズクラス電源を搭載しています。最大85%の電力変換効率となるスタンダード電源で、ポイントはしっかり押さえています。なお、容量的にはエントリークラスのGTX 1650なら対応可能です。
電源はマザーボードと同じく、特殊規格のものを搭載しています。TFX規格にも見えるのですが、微妙に大きさが違うんですよね。。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで性能をチェックしてみましょう。
CINEBENCH
3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH R23”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、インテルの第13世代10コア16スレッドCPU・Core i5-13400を搭載しています。
第12世代の6コア12スレッドCPU・Core i5-12400に、E-コアを追加したバージョンですね。高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を、タスクに応じて使い分け、場合によっては両者を併用することで、効率よく処理できるのが強みです。また、動作クロックも引き上げられ、パフォーマンスが大きく向上しています。
併売されているCore i5-12400と比較すると、シングルスコアは約9%、マルチスコアは約23%高くなっています。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
グラフィック機能は、CPU内蔵タイプのUHD 730を搭載。性能は最低限ですが、PhotoshopやLightroomなど軽めの編集作業なら十分対応可能です。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 630 | 547 | 4757 | ー |
Night Raid | 7554 | 7030 | 13079 | ー |
Fire Strike | 1644 | 1797 | 20257 | 545 |
Sky Diver | 5923 | 5463 | 12316 | 5168 |
Cloud Gate | 10383 | 9751 | 13432 | ー |
Ice Storm | 57769 | 25521 | 40149 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
本格的な動画や画像編集用途の目安となるスコア3000は余裕でクリアし、スコア5000をオーバー。ただ、スコアの伸びはイマイチといったところで、Core i5-12400との差は約2%とほぼ互角となっています。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のことです。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i5-13400 | 1140 | 560 | 192 |
Core i5-12400 | 1112 | 563 | 188 |
まず軽めのH.264をチェック。Core i5-13400の性能がイマイチ悪く、CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、両者の差は約1~2%とほぼ互角。
なお、QSVは同じ内蔵グラフィックということで、約2%差とこちらもほぼ同じです。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i5-13400 | 1754 | 860 | 288 |
Core i5-12400 | 1806 | 897 | 296 |
重量級のH.265でも同じような傾向で、両者の差はソフトウェアエンコードで約3~4%、QSVでも約3%となっています。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が意外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i5-13400 | 32 | 253 |
Core i5-12400 | 27 | 102 |
画像変換もCPUの性能勝負ですが、Core i5-13400のパフォーマンスが悪く、重量級のJPEG変換ではCore i5-12400より2倍以上も時間がかかっています。
メモリやストレージのクオリティは高いので、ここまで性能が伸びないのは謎ですね。同一タイプのCPUでも品質はピンキリなので、個体差かもしれないですね。
ドラクエ10
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
フルHD | 5531 | 7031 | 8233 |
ノートPCでもプレイ可能な超軽量ゲームで、スコア5500以上で平均60fpsをキープできますが、このクラスのゲームなら、内蔵グラフィックでも余裕でスコア5500をクリア可能です。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 2888 | 3163 | 5571 |
フルHD | 1332 | 1565 | 2670 |
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。快適にプレイするなら、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
さすがに重量級のゲームでは厳しく、いずれの設定でもスコア9000をクリアすることはできません。このクラスで対応可能なのは、ドラクエ10やVALORANTなどきわめて軽いものに限られます。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSD+1TB HDDのデュアルストレージ構成です。アプリは高速のSSDに、データ類は大容量のHDDに入れるという使い分けができるので、とても便利。もちろん、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプで、Western Digitalのものを採用しています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは、最高3000MB/s半ばと爆速。また、ランダムもかなり速度が出ており、クオリティはかなり高めです。
もちろん、SSDなので実際の動作のとても快適。OSの起動から各種アプリの動作もサクサク動き、まさにストレスフリーですね。
温度
こちらはCINEBENCH R23を実行した際の各パーツの温度です。なお、室温は25℃です。
低出力の65W仕様ということもあり、フルロード時での動作は控えめ。約3.5GHz、70℃台後半で安定して動作しています。なお、Core i5-13600KなどのK付きCPUは、温度の許す限り高クロックをキープするので、非常に高いパフォーマンスを発揮します。
動作音
同じくCINEBENCH R23のベンチマークにて、実際の騒音値を測定してみました。※無響室・防音室での測定ではないので、あくまで参考までにどうぞ
ケースの左側面にて計測した結果です
50デシベルが一つの目安となりますが、ゲーミングPCに近いモデルなので、ピーク時で49.7デシベルとほぼきっかり。CPUファンの回転音が少し上がるくらいで、とても静か。
なお、アイドル時は48.5デシベルとなり、かすかにファンの音が聞こえるレベルです。
便利なユーティリティーソフトを完備
メーカー製モデルらしく、サポート機能はしっかり完備。”SupportAssistant”機能では、ドライバのアップデートからハードのスキャンまでワンストップで実行できます。また、サポート窓口のアクセスのカバーし、万が一の場合でも安心です。
また、おなじみCyberLinkの”PowerDirector”や”PhotoDirector”がインストールされており、動画や画像編集もお手の物。趣味で編集作業をやる方にはうれしい内容ですね。
もちろん、おなじみのサウンドシステム”Waves MaxxAudio Pro”が標準で搭載されています。イコライザーやサラウンド機能など必要なものは一通り搭載されており、かんたんに調整することができます。
まとめ&関連モデル
合理的で実用性全振りのコスパモデルですが、どうにも性能が伸びないのが気になりますね。前世代(Inspiron 3910)のCore i3-12100搭載モデルが激安なので、普段使いならそちらがおすすめです。
Inspiron 3910 コンパクトデスクトップ スタンダード
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i3-12100
■メモリ:8GB(DDR4-3200)
■グラフィック:UHD 730(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■電源:180W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:IEEE 802.11ax+Bluetooth 5.1
■光学ドライブ搭載/有線キーボード&マウス付属
■価格:66,980円(税・送料込み)~
インテル第12世代の4コア8スレッドCPU・Core i3-12100を搭載したベーシックモデル。エントリーモデルながら4コア8スレッド構成なので、ブラウジングやオフィス作業、編集作業まで一通りこなせます。
Inspiron 3910 デスクトップ[Core i5搭載]
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i5-12400
■メモリ:8GB(DDR4-3200)
■グラフィック:UHD 730(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB+HDD 1TB
■電源:180W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:IEEE 802.11ax+Bluetooth 5.1
■光学ドライブ搭載/有線キーボード&マウス付属
■価格:82,980円(税・送料込み)~
インテルの第12世代6コア12スレッドCPU・Core i5-12400を搭載したスタンダードモデル。より性能にこだわるならおすすめ。
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