
今回HPの【HP EliteBook 840 G11】をお借りしました。ビジネスユースにも便利な、14インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
HP EliteBook 840 G11(Core Ultra 7搭載) | |
サイズ | W315.6×D224.35×H9.04~16.35mm |
重量 | 約1.417kg(実測1440g) |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Core Ultra 7 155U(12コア14スレッド・定格1.7/最大4.8GHz) |
メモリ | 16GB(8GB×2・DDR5-5600) |
ストレージ | 512GB SSD(PCI-e NVMe) |
グラフィクス | Intel Graphics(4コア) |
ディスプレイ | 14.0インチ、WUXGA(1920×1200)、ノングレア、400nit |
インターフェース | Thunderbolt 4×2、SuperSpeed USB Type-A(5Gbps signaling rate) ×2、HDMI 2.1、マイク入力/ヘッドフォン出力 |
光学ドライブ | × |
カメラ | HPプライバシーカメラ(5MP) |
スピーカー | Audio by Poly Studio 内蔵デュアルステレオスピーカー |
キーボード | バックライト付き日本語キーボード |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
バッテリー | MobileMark 25:最大約15時間15分 |
保証 | 1年(最大5年) |
価格 |

電源アダプタ(65W・202g)/電源ケーブル(106g)/電源変換アダプタ(42g)/各種マニュアル
外観
マグネシウムボディ

ボディのシャーシには、軽くて頑丈な”マグネシウム合金”を使用しています。アルミボディに比べると剛性は弱めですが、軽さとのトレードオフの関係なので、こればかりは仕方ありません。

耐久性はとても高く、12000時間を超える独自のテストのほか、落下テスト・高温・低温条件での19項目のMIL規格(アメリカの軍事規格・MIL-STD 810H)テストをクリア。ビジネスシーンでも安心して使えます。

クセのないシンプルなデザイン×スタイリッシュなシルバーボディは使う人を選びません。

この通りサイドはラウンドフォルムとなっており、手にフィットしやすいのもポイント。
コンパクトボディ
このモデルは、14インチサイズのモバイルノートです。13インチよりもディスプレイのサイズが大きく、それでいて携帯性も高いので、最近人気のサイズとなっています。

ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右に極限までスリムにすることで、横幅と奥行きを圧縮。

ディスプレイのサイズは14.5インチとやや大きいものの、この通りA4ファイル並みのコンパクトボディを実現しています。

また、厚さも最厚部でも16.35mmとスリム。なお、肝心の重さは実測で1440gと14インチでは標準的なレベルです。
1.5kg以下なので実用的ではありますが、1.4kg台はやっぱり重く感じてしまいますね。モバイルノートなら1.3kg台までが理想です。
高速インターフェース

USBは全4ポートとモバイルノートにしては多めに搭載。小型&リバーシブルのType-Cポートのすべてが、40Gbpsの超高速転送ができる”Thunderbolt4”に対応してるのはいいですね。
さらに、従来のType-Aポートも搭載しているため、周辺機器の接続にバッチリ対応します。

映像出力用としてHDMIポートが用意されているほか、Type-CポートがDisplayPort出力に対応しています。
ちなみに、モデルによってはnanoSIMスロットが装備され、SIMカードさえあれば場所を問わずにインターネットを使用可能です。

プライバシーにもしっかり配慮され、カメラ部分にシャッターを装備。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
さらに、指紋&顔認証センサーを装備しており、セキュリティ面も万全です。
ディスプレイ&キーボード
高輝度ディスプレイ搭載

ディスプレイは14.0インチきっかり。13インチよりも一回り大きく、やはりゆとりがありますね。携帯性を重視しつつ、ディスプレイの大きさにもこだわるならおすすめのサイズです。
ディスプレイの解像度はWUXGA(FHD+・1920×1200)、ディスプレイ比率は16:10と、最近はやりのスタイル。主流のフルHD(16:9タイプ)よりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。

映像クオリティも高く、美しい発色と高いコントラストで、くっきり鮮やか。400nitという輝度の高さも相まって、動画鑑賞などにも最適です。

また、視野角も広く、横から覗いても色むらは少なめなのも◎。
完成度の高いキーボード
13インチよりも横幅は大きいものの、テンキーは非搭載ですね。

ほぼすべてのキーが独立しており、各キーは大きめに造られ、配置そのものも素直。キーピッチは約18.5mmと標準的な間隔が確保されているので、誤爆の心配はまずありません。
唯一気を付けるとしたら、一番右上の電源ボタンでしょうか。ただ、ほかのボタンよりも固めになっており、普通に押したくらいでは反応しないので、そこまで心配する必要はなし。

ファンクションキーは基本的なものにプラスして、カスタマイズに対応したキーを装備しています。

キーストロークはノートにしては深く、反発高めなので打鍵感はかなり良好です。また、キーボード面の剛性が高く、タイプ圧が強い方も安心。

トレンドのキーボードバックライト(白色LED)をバッチリ搭載。薄暗い場所でタイピングしやすくなるだけでなく、見た目も華やかになり、まさに一石二鳥ですね。
ちなみに、明るさセンサーがついているため、明るい場所だと点灯しません。
造りこみの高いタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。

表面はツルツルしておりとても滑らかで、カーソル操作は非常にスムーズ。クリックボタンも軽く押すだけで反応し、クリック音が静かなのもグッドです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。

CPUはインテルのCore Ultra 7 155U(12コア14スレッド)を搭載しています。新たに登場したCPUはネーミングを刷新し、従来の”Core i”から”Core Ultra”に変更されています。
CPUの設計にも手が加えられ、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、従来のWコア構成をベースにしつつ、新たに”LP E-core”が追加されているのがポイント。これはE-コアをさらに省エネにしたもので、低負荷の作業では、さらに低電力で処理できるようになっています。
そのほかの新機能として、AI処理に特化した省電力エンジン(NPU)・Intel AI Boostを搭載。”Adobe Premiere Pro”のAI機能や”Stable Diffusion Web UI”などをお手軽に使うことができます。

参考までに、ワンランク下のCPU・Core Ultra 5 125U(12コア14スレッド)と比較してみると、シングルスコアは約13%、マルチスコアは約3%上回っています。
コア・スレッド数が同じなのでマルチ性能で差がつきにくく、基本的にはCore i5で十分ですね。
3DMARK
”3DMARK”は、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。Vulkan(Wild Life)・DirectX 11(Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。

このCPUの内蔵グラフィックは、”Intel Graphics(4コア)”となっています。性能は前世代のIris xe Graphics+αレベルということで、オンラインゲームには力不足なのは変わりません。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Time Spy | 2283 | 2043 | 6871 | ー |
Night Raid | 19402 | 23647 | 9619 | ー |
Fire Strike | 4966 | 5301 | 19239 | 1921 |
Wild Life | 13415 | ー | ー | ー |
PCMark 10
”PCMark 10”は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。


ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。動画や画像編集でも十分使える性能です。
なお、Core Ultra 7 165UとCore Ultra 5 125Uとの差は、総合スコアで約7%と10%以内に収まっています。基本的にはCore Ultra 5を選んでおけばOK!
TMPGEnc Video Mastering Works 7

”TMPGEnc Video Mastering Works 7”を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 7 155U | 1594 | 790 | 140 |
Core Ultra 5 125U | 1538 | 777 | 145 |
CPU勝負の2Pass・1PassではCore Ultra 5 125Uに逆転され、約2~4%差をつけられています。安定性重視のため、ブーストがあまり効いていない感じですね。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 7 155U | 2586 | 1360 | 140 |
Core Ultra 5 125U | 2477 | 1289 | 146 |
重量級のH.265でも同じような傾向となっています。
Lightroom Classic CC

”Lightroom Classic CC”を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で記載しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
Core Ultra 7 155U | Core Ultra 5 125U |
184 | 160 |
画像変換もCPU勝負となりますが、このテストでもCore Ultra 5 125Uに及ばず、約13%の差をつけられています。安定性重視といえども、Core Ultra 7でこの性能は物足りない限りですね。
VALORANT(ヴァロラント)

ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
WXGA | 160(112)fps | 205(144)fps | 222(162)fps |
WUXGA | 117(84)fps | 138(122)fps | 165(112)fps |
超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。このクラスなら内蔵グラフィックでも余裕で、WUXGAで平均100fpsを狙うことができます。
ただし、ディスプレイが60Hzなので、最大60fpsまでしか出ない点には注意。
FF14(ファイナルファンタジー14 黄金の遺産)

最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
WXGA | 4696 | 8270 | 9377 |
WUXGA | 2994 | 5013 | 5598 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
アップスケーリングのFSRを適用していますが、スコア9000をクリアできるのはWXGA・標準品質のみ。重めのゲームだと全く歯が立たないですね。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。

このモデルでは、256GB SSD(Western Digital)を搭載しています。編集用途で使うには少ないものの、ブラウジングやオフィス作業くらいならこれで十分です。、爆速のPCIe Gen.4規格を採用しています。
シーケンシャル(連続データ)の速度は3000~5000MB/s台としっかり速度が出ており、ランダムの速度もそこそこ。中の上クラスのGen.4 SSDといったところです。
もちろん、実際の使用感はSSDらしくとても快適。OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。

けっこう攻めた動作システムとなっており、ピーク時のP-コアの温度は100℃きっかり、動作クロックも3.4GHzと高めです。その割にはパフォーマンスがちょっと物足りないですね。
動作音
CINEBENCH R23実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。

50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時でも49.1デシベル台とっ下回っています。風切り音は控えめでうるさく感じません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとなっており、アイドル状態のためほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、スマートセンス
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は14時間をマーク。モバイルノートの目安となる10時間を大きく超えており、出先でも安心して使えます。
充実したユーティリティー機能

ビジネスモデルらしくセキュリティに力を入れており、マルウェアからの脅威をBIOSレベルで保護する”Wolf Security”を実装しています。




システム管理ツールとして”my HP”がインストールされています。動作モードや各種デバイスの設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。


サウンドシステムには”Poly Studio”を採用。
肝心の音質ですが、低音~高音までしっかり伸び、音質も厚くとても迫力があります。ただし、重低音がつぶれ気味なのが残念ですね。
まとめ
トータルの完成度は高くセキュリティ面も万全。ただ、14インチモデルで1.4kg台というのはちょっと重いですね。14インチビジネスノートで予算を重視しつつ、クオリティにもこだわりたい方におすすめ。