デスクトップパソコンの購入で重要となるのは、用途や予算に応じたモデル選びです。そのためにはある程度パーツの知識が必要になってきます。
「CPU」や「HDD」などの横文字を前に、真っ白にならないためにもーそしてなにより、せっかくのいい機会なので、さくっとおさえておきましょう。
タワー型・一体型共通のパーツ
CPU
例えるのであれば「頭脳」で、各種プログラムの処理を担当するパーツです。性能が高ければ高いほど、処理能力が向上し、動画や画像編集など負荷の高い作業を快適にこなすことができます。
豊富なラインナップ
デスクトップパソコンでは、CPUの種類がとても豊富。
CPUのメーカーには”インテル”と”AMD”の2社があり、さらにデスクトップ用CPUのほか、ノート用CPUを搭載したモデルも用意されています。
デスクトップなのに、ノート用CPU?…と思うかもしれませんが、ディスプレイと本体が一緒になった一体型のタイプでは、発熱をおさえるために、あえてノート用CPUを搭載しているというわけですね。
下でチェックしますが、ノート用CPUは低発熱ゆえに性能が低め。上位のCore i7クラスでも、デスクトップではミドルクラスのCore i5止まりとなっています。
CPUの性能比較
おすすめCPUをチェックする前に、PassMarkのCPUスコア(性能指標)で性能を比較してみましょう。スコアが高ければ高いほど高性能ということになります。
スコア4000が最低ラインとなり、目安は次の通りですー
- スコア17000~:本格的な編集作業やゲーミングに最適な性能
- スコア12000~16999:編集作業やオンラインゲームを快適にこなせるオールラウンダー
- スコア6000~11999:ブラウジングやオフィス作業など普段使いや、軽めの編集作業に最適な性能
- スコア4000~5999:ブラウジングやオフィス作業など軽作業メイン
※水色:インテル、オレンジ:AMD、(N):ノート用CPU
コア/スレッド | 動作クロック | 内蔵グラフィック | スコア | |
Core i9-13900K | 24/32 | 3.0~5.8GHz | UHD 770 | 60067 |
Core i7-13700K | 16/24 | 4.2~5.4GHz | UHD 770 | 46996 |
Core i9-12900K | 16/24 | 3.2~5.2GHz | UHD 770 | 40367 |
Core i7-13700 | 16/24 | 2.1~5.2GHz | UHD 770 | 39678 |
Core i7-12700K | 12/20 | 3.6~5.0GHz | UHD 770 | 33110 |
Core i7-12700 | 12/20 | 2.1~4.9GHz | UHD 770 | 32111 |
(N)Core i7-12700H | 14/20 | 2.3~4.7GHz | Iris Xe Graphics | 26744 |
Core i5-13400 | 10/16 | 2.5~4.6GHz | UHD 730 | 26368 |
Ryzen 7 5700G | 8/16 | 3.8~4.6GHz | Radeon Graphics | 24606 |
(N)Core i5-12500H | 12/16 | 2.5~4.5GHz | Iris Xe Graphics | 21699 |
Ryzen 5 5600G | 6/12 | 3.9~4.4GHz | Radeon Graphics | 20138 |
Core i5-12400 | 6/12 | 2.5~4.4GHz | UHD 730 | 19723 |
Ryzen 5 4500 | 6/12 | 3.6~4.1GHz | ー | 16211 |
(N)Ryzen 7 5700U | 8/16 | 1.8~4.3GHz | Radeon RX Vega 8 | 16153 |
Core i3-13100 | 4/8 | 3.4~4.5GHz | UHD 730 | 15255 |
Core i3-12100 | 4/8 | 3.3~4.3GHz | UHD 730 | 14578 |
(N)Ryzen 5 5500U | 6/12 | 2.1~4.0GHz | Radeon RX Vega 7 | 13802 |
Ryzen 3 5300G | 4/8 | 4.0~4.2GHz | Radeon Graphics | 13139 |
(N)Ryzen 3 5300U | 4/8 | 2.6~3.8GHz | Radeon RX Vega 6 | 10642 |
(N)Core i7-1165G7 | 4/8 | 2.8~4.7GHz | Iris Xe Graphics | 10419 |
(N)Core i5-1135G7 | 4/8 | 2.4~4.2GHz | Iris Xe Graphics | 9981 |
おすすめCPU


基本的には、価格と性能のバランスに優れた、Core i5&Ryzen 5がおすすめ。軽作業メインであればCore i3&Ryzen 3、性能重視ならCore i7&Ryzen 7がそれぞれおすすめです。
CeleronやAthlonは、コア数がとても少なく、性能は最低限。軽作業でももたつくことがあり、とにかく安さを求めるなら選ぶのもありといったところですね。
グラフィック
例えるのであれば「画力」で、映像描写や動画編集などグラフィック処理を担当するパーツです。
基本的にはCPUに内蔵されたグラフィック機能【iGPU】が主流ですが、CPUとは別に強力なグラフィック機能をもつ【VGA(グラフィックボード)】を搭載したモデルもあります。
グラフィックの性能比較
CPUと同じく、まずはPassMarkのスコア(性能指標)でグラフィック性能を比較してみましょう。スコアが高ければ高いほど高性能ということになります。
メーカー | 種類 | モデル | スコア |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3080 Ti | 26571 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3080 | 24084 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3070 | 21640 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3070 Ti | 19434 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3060 | 16631 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 2060 | 13933 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3060 Ti | 19434 |
NVIDIA | VGA | GeForce GTX 1660 SUPER | 12784 |
NVIDIA | VGA | GeForce RTX 3050 | 12394 |
NVIDIA | VGA | GeForce GTX 1650 SUPER | 9827 |
NVIDIA | VGA | GeForce GTX 1650 | 7739 |
Intel | iGPU | Intel Iris Xe Graphics | 2877 |
AMD | iGPU | Radeon Graphics(Ryzen 7 Pro 4750G) | 2727 |
AMD | iGPU | Radeon Graphics(Ryzen 7 5700G) | 2708 |
AMD | iGPU | Radeon Graphics(Ryzen 5 5600G) | 2638 |
AMD | iGPU | Radeon Graphics(Ryzen 5 Pro 4650G) | 2452 |
AMD | iGPU | Radeon Graphics(Ryzen 3 Pro 4350G) | 2240 |
Intel | iGPU | Intel UHD Graphics 770 | 1800 |
Intel | iGPU | Intel UHD Graphics 750 | 1784 |
AMD | iGPU | Radeon Vega 8 Graphics | 1583 |
AMD | iGPU | Radeon RX Vega 10 Graphics | 1523 |
Intel | iGPU | Intel UHD Graphics 730 | 1514 |
Intel | iGPU | Intel UHD Graphics 630 | 1313 |
AMD | iGPU | Radeon Vega 3 Graphics | 896 |
この通り、VGAのiGPUとの差は圧倒的。VGAで一番下のグレードとなるGTX 1650でも、iGPU最上位のIris Xe Graphicsに対し、約2.5倍の性能となっています。
ただ、その分価格も高く、特にこだわりがなければiGPUがまずおすすめです。
VGAを搭載するメリット
VGAを搭載することで、グラフィック性能が大幅に向上しますが、特に”動画エンコード”と”3Dゲーム(オンラインゲーム)”でその真価を発揮します。
ちなみに、動画や画像編集では、何よりもまずCPUの性能が重要となってきます。
まずゲームですが、代表的なオンラインゲームでチェック。スコア9000以上が平均60fps以上で快適にプレイできる目安となります。
VGAとiGPUとの差は一目瞭然で、iGPUではフルHDレベルでも全く歯が立たず、動かせてもよくてドラクエ10など非常に軽いものに限られます。
グラフィックボードの性能【デスクトップ】 | ||||
エントリー | ミドル | アッパーミドル | ハイスペック | ハイエンド |
フルHD入門 | フルHD推奨 | WQHD推奨~4K入門 | 4K推奨 | 4K&RT推奨 |
GTX 1650 | RTX 3050 GTX 1660 SUPER | RTX 3060 Ti RTX 3060 | RTX 4070 Ti RTX 3080 RTX 3070 | RTX 4090 RTX 4080 |
※各リンク先では、VGAのゲーミング性能を詳しく解説しています(ゲーミングPCの記事となります)。
一方でVGAのパフォーマンスはまさに圧倒的なレベルで、比べるまでもありません。性能目安サクッとまとめると上のようなチャートになり、フルHDならGTX 1660 SUPER、WQHDならRTX 3060、4KならRTX 3070がそれぞれおすすめです。
次に動画エンコードですが、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しており、短ければ短いほど優秀ということになります。
VGA速度が際立ち、軽めのH.264ではおおむね約15~40%、重量級のH.265ともなると約30~55%と大きく差がつくようになります。動画の長さが長くなるほどその真価を発揮し、動画編集の機会が多い方は、VGA搭載モデルがだんぜんおすすめです。
なお、VGAはグレードを問わず、ほぼ同じ時間となっており、エンコード目的ならGTX 1650でも十分です。
おすすめグラフィック
基本的には、CPU内蔵グラフィックで十分。ブラウジングやオフィスソフトレベルでは、グラフィック性能をほとんど必要とせず、動画エンコードもそれなりに早く処理できます。
編集用途や軽めのオンラインゲームでも使うのであれば、GTX 1650やGTX 1650 SUPERがおすすめ。特にゲーミング性能を重視するなら、GTX 1660 SUPER以上を選ぶのもいいでしょう。
ゲームで使うなら、”ゲーミングPC”という特化モデルもおすすめです。
メモリ
例えるのであれば「デスク」です。ゲームやインターネットブラウザを実際に動かすスペースですね。デスクが広ければ広いほど、つまりメモリの容量が大きければ大きいほど一度にできる作業量が増えます。
メモリが足りないとゲームを動かそうとしても、メモリ不足で動作しなくなってしまいます。具体的な容量ですが、最近ではメモリをガッツリ使う重量級のゲームが増えており、16GBが推奨です。
なお、ゲーム+配信や4Kの動画編集であれば、32GBがおすすめ。さらに、3DCGの制作や3D CADなどヘビーな作業でも使うなら64GBがおすすめです。
ストレージ


例えるのであれば「本棚/収納スペース」です。Windowsやゲーム、データ類などを入れておく場所です。
種類は”HDD(ハードディスク)”と”SSD”の2タイプがあります。ハードディスクは聞いたことがあるのではないでしょうか。


■HDD
容量が大きい
価格が安い
データの転送速度が遅い
■SSD
データの転送速度がかなり速い
容量が少ない
HDDに比べるとやや割高
最近ではSSDの価格がだいぶ安くなり、大容量SSDを搭載したモデルとSSD+HDDのデュアルストレージモデルがが主流となっています。今ではHDDオンリーのモデルはまず見かけません。
なお、デュアルストレージ構成では、OS(Windows)やゲームなど処理スピードを求められるものは高速のSSDに、画像や動画類などかさばるデータ類は容量の多いHDDに入れるといった使い分けができ、SSD単体構成よりも便利です。
■SSD
512(480)GB以上
ちなみに最近のオンライゲームのクライアント(ゲーム本体のデータ)は50GB~級のものがざらです。容量が大きければ大きいほど、複数のオンラインゲームを楽しむことができます。
■HDD
編集用途なら2TB以上がおすすめ
写真や動画をほとんど保存しないということであれば、500GBや1TBでもOKです。 動画や画像編集でも使うなら、素材データが多くなるので、2TB以上入れておくと安心。
NVMe SSDとは?
SSDには現在2種類のタイプがあり、従来の”SATA接続タイプ”と”NVMeタイプ”のSSDがあります。
NVMeタイプのSSDは従来のSSDよりも転送速度が4~5倍速く、BTO各社で盛んにプッシュされています。ゲームでは速度差をほとんど体感できませんが、大容量のファイルの転送などでは時短効果を発揮します。
割高な価格がネックでしたが、今では通常タイプのSSDとそん色ない価格まで安くなり、基本的にNVMe SSD搭載モデルがおすすめ。
タワー型のみ搭載のパーツ
電源
例えるのであれば「変電所」です。コンセントから引っ張ってきた電気を各パーツで使える形式に変換し、電力を供給します。まさに大本の部分で、地味ながら重要パーツ。
ポイントは「容量(各パーツに供給できる電力の量)」と「変換効率(コンセントからの電気をどれだけロスなく変換できるか)」です。
まず容量ですが、グラボのグレードによって変わります。なお、販売モデルでは最適な容量が選択されており、特にカスタマイズする必要はありません。
・GTX 1650シリーズ:400W
・GTX 1660シリーズ:500W
・RTX 3060~RTX 3070:700W
・RTX 3070 Ti~RTX 3090 Ti:800W
重要なのが変換効率で、これには”80PLUS認証”という規格があり、変換効率ごとに下はスタンダードから上はチタンまでの6段階でランク付けされています。上のグレードになるほど省電力・低発熱・高寿命になります。
上のグレードになるほど省電力・低発熱・高寿命となるので、最低でもブロンズクラスのものは入れておきたいところです。少しでも長く使いたいのであればゴールド以上を選びましょう。
CPUクーラー
文字通りCPUを冷やすためのパーツです。CPUは特に熱くなるパーツなので、冷却には気を付けたいところ。タイプは、”空冷式クーラー”と”水冷式クーラー”の2タイプがあります。
空冷式
「ヒートパイプ」「放熱フィン」「ファン」の3点で構成されるスタンダードなタイプ。CPUの熱をヒートパイプで吸収し、ファンを回しつつ、フィンで発散させる仕組みです。
水冷式に比べると冷却能力は劣りますが、とにかく単純な構造なので壊れにくく、低価格なので、まずおすすめ。
ちなみに、インテルCPU搭載モデルでは、基本的に簡素な空冷式の小型ファンが付いています。大型のCPUクーラーよりも冷却性能が低く、約10~20℃ほどの差があります。
CPUは温度が低くなるほど故障するリスクが低くなるので、特に熱くなりがちなCore i7以上では大型のCPUクーラーへカスタマイズするのがおすすめです。
水冷式
「ポンプ」「リザーバタンク」「ラジエーター」「ファン」の4点で構成されています。内部に冷却液が入っており、CPUの熱をポンプで循環させ、ファンを回しつつラジエーターで発散させる仕組みです。
空冷式よりも冷却能力が高いのが何よりの特長。ですが、価格がやや高めなで、基本的には空冷式で十分です。
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