今回レノボの【Yoga 970i】をお借りしました。
他社を圧倒するクオリティの高さとコスパを両立した、最上位クラスの14インチ2in1ノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2022年12月19日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
高級感あふれる美しいデザイン
プレミアムブランドの”Yogaシリーズ”、それも最上位モデルということで、クオリティが非常に高くなっています。
ボディの素材には高品質のアルミニウムを採用。梨地仕上げにより見た目の美しさと、手になじむ上質のさわり心地を実現しています。
見た目の美しさもさることながら、頑丈な金属ボディということで、持ち運びも安心です。
最新のYogaシリーズではデザインを一新し、ボディのふちがラウンドフォルムとなっています。丸みを帯びた美しいデザインもさることながら、手に取ったときにフィットしやすくなり、機能性も向上しています。
サイドもこの通り、鏡面仕上げにする徹底ぶりで、美しさに磨きがかかっています。
極めつけがボディカラーで、シャンパンゴールドの上品な色合いにより、高級感もバッチリ。これだけ美しく華やかなモデルはそうそうないですね。
ちなみに、底面はこのようになっています。
携帯しやすい14インチボディ
このモデルは、14インチサイズのモバイルノートです。13インチよりもディスプレイのサイズが大きく、それでいて携帯性も高いので、最近人気のサイズとなっています。
ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右にスリム仕様とすることで、横幅と奥行きを圧縮。
それにより、A4ファイル+αのコンパクトボディを実現しています。
厚さも最薄部で15.25mmと、1.5cmクラスのスリムボディということもあり、カバンにサッと収納できます。
肝心の重さは、実測で1425gと、モバイルノートの目安となる1.5kgを下回っており、携帯性は上々です。さすがに13インチモデルほど軽くはありませんが、重くなりがちな14インチのアルミボディで1.4kg台というのは軽い部類に入ります。
ちなみに、このモデルではスリーブケースが付属する親切仕様です。持ち運びが多いと、どうしても傷や汚れが付きやすいので、これはありがたいですね。とても美しいボディなのでなおさら。
フレキシブルに使える2in1タイプ
最近はやりの2in1ノートパソコンで、360°回転するコンパーチブルタイプとなっています。
360°回転しタブレットとして、またテント型にして寝そべりながら動画を見るといったフレキシブルな使い方ができ、とても便利です。
もちろん、ディスプレイはタッチ&ペン入力に対応しており、傷のつきにくい硬質のパネルでカバーされています。パネル表面も非常にスムーズで、ペンとの相性もバツグン。
コンパーチブルの要ともいえるヒンジは、かなり頑丈に造られ、がたつきは一切なし。さらに、このヒンジはスピーカーを兼ねており、どのモードで使ってもクリアなサウンドを楽しめる優れものとなっています。
ヒンジをスピーカーにするという発想には恐れ入りますね。
ちなみに、充電式のアクティブペン(USB Type-Cポート給電)が標準で付属します。ペンは4096段階の筆圧検知に対応しており、応答性に優れ、滑らかで自然な書き心地を実現。ストレスフリーの書き心地ですね。
最新のインターフェースを採用
コンパクトモデルながら、インターフェースは意外と充実しています。
USBは全4ポートと、モバイルノートにしては多めに搭載。最新規格をしっかりおさえており、小型&リバーシブルのType-Cポートは、最大40Gbpsの超高速転送に対応した”Thunderbolt 4”となっています。
また、Type-CとType-Aポートの両方を搭載しているので、あらゆる周辺機器に対応できるのも◎。
なお、USBポートが多い分、HDMIなどの映像出力端子は装備していません。ただし、Type-CポートはいずれもDisplayPort出力を兼ねているため、複数ディスプレイへの出力も可能です。
セキュリティ対策も万全
レノボらしくセキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
また、指紋認証センサーに加え、カメラ部には顔認証センサーを装備しています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
有機ELパネル搭載
ディスプレイは、モバイルノートではやや大きめの14.0インチサイズを搭載しています。主流の13.3インチに比べると一回り大きく、ゆったりとした感じで視認性は上々。
ディスプレイ比率は最近はやりの16:10というのもポイント。主流の16:9タイプよりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。
プレミアムモデルということで、ディスプレイのクオリティが非常に高く、パネルにはなんと有機ELパネルを採用しています。有機ELの特長は、なんといっても「漆黒」というべき黒の色味です。
黒さの理由は、有機ELでは画面の素子自体が光るのでバックライトが必要なく、コントラスト比が圧倒的に高い(100万:1)から。バックライトで画面を照らし出す通常の液晶ディスプレイでは、どうしても光が漏れてしまい、黒い画面が白っぽくなってしまいます。
一般的なパネルとの違いは、一目瞭然です。
パネルのクオリティもさることながら、解像度はWQUXGA(3840×2400)とかなり高め。4Kをも超える圧倒的な解像度の高さで、非常に精細な映像描写を実現します。
ちなみに、解像度が高いと精細な映像描写だけでなく、一度に表示できる情報量も多くなり、作業がよりはかどります。上のイメージは、WQXGA(2560×1600)を比較したものですが、その違いは一目瞭然です。
さらに、ディスプレイは高輝度のDisplayHDR 500に対応するほか、色域もDCI-P3 100%と非常に広く、まさにプロ向けのスペックとなっています。動画や画像編集など本格的なクリエイティブ作業に最適です。
白色LED内蔵キーボード
13インチ+αの大きさということで、テンキーレスキーボードを搭載。
キーは一部連結されているものの、各キーは大きめで、配置そのものもクセがなく素直。キーピッチも約19mmとデスクトップ並みのゆとりが確保されているので、誤爆の心配はまずありません。電源ボタンがキーボード内ではなく、本体の右側に独立して配置されているのもグッド。
ファンクションキーの内容も充実しており、基本的なキーにプラスして、電卓・サポートメニュー・カスタマイズ対応キーなどが用意されているほか、ファンクションロックにもしっかり対応しています。
さらに、横幅を目いっぱい使うことで、右サイドにオプションキーをさらに追加。指紋認証センサーをはじめ、動作モードの切り替えやカメラ&スピーカーの設定キーが配置され、利便性がとても高くなっています。間違って押さないように、やや離されて配置されているのもポイント。
キーストロークはやや深めで、反発も適度にあり、打鍵感を楽しみながらタイピングできます。キーボード面の剛性も高く、まさに死角なしといったところ。
もちろん、トレンドの白色LEDをバッチリ内蔵しています。下からしっかり照らし出すので、最大輝度だと華やか。薄暗い場所でタイピングもはかどります。LEDはファンクションキーで2段階+OFFの切り替えでき、使うシーンによって柔軟に対応できます。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
タッチパッドはサラサラした材質で、カーソル操作はとてもスムーズ。クリックボタンの操作音は静かですが、少し押し込む必要があるので、ちょっと惜しいですね。
ただ、一体型にありがちなボタンのバタつきなどはなく、しっかり作られているのは◎。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH R23
3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH R23】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテル第12世代の12コア16スレッドCPU・Core i7-1260Pを搭載しています。
最新世代では設計を一新し、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、Wコア構成を採用。タスクに応じて、各コアを使い分け、場合によっては両者を併用することで、効率よく処理できるのが強みです。もちろん、コアの性能も向上しており、コア・スレッド数の増加も相まって、非常に高いパフォーマンスを発揮します。
ちなみに、ノート用の第12世代CPUには、Hシリーズ・Pシリーズ・Uシリーズの3タイプがあり、ちょうど中間のグレードとなります。
参考までに、ワンランク下のCore i5-1240P(12コア16スレッド)と比較してみると、シングルスコアは約8%、マルチスコアは約21%高くなっています。動作クロックが高い分、やはりCore i7のほうが性能は高いですね。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
内蔵グラフィックは、前世代から引き続き、高性能の”Iris Xe Graphics”を搭載しています。その性能はMX400に匹敵するレベルで、内蔵タイプにしては破格の性能となっています。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 1960 | 1737 | 7281 | ー |
Night Raid | 17440 | 21500 | 8426 | ー |
Fire Strike | 5134 | 5443 | 20010 | 2021 |
Sky Diver | 14957 | 14787 | 16192 | 14551 |
Cloud Gate | 20174 | 25013 | 12030 | ー |
Ice Storm | 71149 | 69538 | 77428 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングやオフィス作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリアしており、スコア5000台後半の非常に高いスコアをマーク。動画・画像編集などヘビーな作業にもバッチリ対応できます。
Core i5-1240Pと比較すると、総合スコアで約18%上回っています。基本的にはCore i5でも十分ですが、動画や画像編集の機会が多いならCore i7がおすすめ。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSV/VCEでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1260P | 1368 | 691 | 164 |
Core i5-1240P | 1797 | 908 | 186 |
まず軽めのH.264ですが、CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、クロックの高いCore i7-1260Pが有利。Core i5-1240Pよりも約24%早く変換を完了。また、グラフィック機能を使ったハードウェアエンコードでも約12%差をつけています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1260P | 2522 | 1281 | 224 |
Core i5-1240P | 3187 | 1611 | 240 |
重量級のH.265でも同じような傾向で、両者の差はソフトウェアエンコードで約20~21%、ハードウェアエンコードでは約7%となっています。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1260P | 20 | 113 |
Core i5-1240P | 35 | 181 |
画像変換テストでもCPUの性能が重要となりますが、こちらはCore i7-1260Pが圧倒的に有利。Core i5-1240Pに対し、軽めのDNG変換で約43%、重量級のJPEG変換でも約38%早く変換を完了しています。
VALORANT(ヴァロラント)
解像度:フルHD/HD
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
WUXGA | 114(96)fps | 130(111)fps | 152(133)fps |
WQXGA | 81(71)fps | 86(73)fps | 102(92)fps |
ノートでも動かせる超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
トップクラスに軽いゲームということで、WUXGA・高設定で平均100fps以上をマークし、ワンランク上のWQXGAでも平均60fpsを超えるほど。ただし、ディスプレイは60Hz出力なので、最高でも60fps止まりという点には注意です。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高 | 高 | 標準 | |
WXGA | 7505 | 9577 | 11686 |
WUXGA | 4097 | 5775 | 7712 |
グラフィック負荷が高めのMMORPGです。スコア9000以上で【快適】&平均60fpsをキープでき、快適にプレイするならスコア9000をしっかり超えたいところ。
重量級のゲームではさすがに厳しく、WUXGAではいずれもスコア9000に届きません。それでも、WXGAでは高設定でスコア9000をクリアしており、以前の内蔵グラフィックとは段違いの性能というのは確かです。
いずれにせよ、内蔵グラフィックということで、対応できるのはこのゲームやドラクエ10など、超軽量級のものに限られます。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは超大容量の1TB SSDを搭載しています。512GBの2倍にもなる容量の多さで、動画や画像などデータを多く保存できます。もちろん、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMe SSDで、超高速のGen.4タイプを採用。
メーカーはサムスンですね。肝心の実力ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きはいずれも4ケタ、最大6000MB/sオーバーする爆速ぶり。一方、ランダムは読み書きともにGen.3タイプと同等の速度となっており、特にシーケンシャルの速さが際立ちます。
もちろん、OSの起動から、各種アプリの動作までサクサク動いて快適そのものです。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
安定性重視の動作システムとなっており、フルロード時での動作クロックは2.2~2.3GHzと低く、温度も70℃台の安定した温度をキープしています。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時でも51.4デシベルとやや上回っています。ファンの回転音がやや気になりますが、甲高い耳障りなノイズは控えめなので、さほど気にはなりません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。高解像度ディスプレイ搭載モデルはバッテリーの消耗が激しいので、省エネよりの設定にしました。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、省電力
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約9時間をマーク。モバイルノート目安となる10時間には届かないものの、高解像度ディスプレイ搭載モデルなら及第点といったところです。これだけ持てば、出先でも十分使えます。
便利なユーティリティーソフトを完備
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。動作モードや各種デバイスの設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには、有名どころの”Dolby”を採用しています。ステレオスピーカーに加え、2基のサブウーファーを搭載する本格派仕様となっているのがポイント。
肝心の音質ですが、ノートPCでは最高峰レベル。重低音~高音までしっかり伸び、音質は重厚でクリア。さらに、上下左右の広がりを感じられる立体音響も相まって、迫力満点です。スピーカーのクオリティにもこだわりたい方にイチオシ!
まとめ&関連モデル
トータルのクオリティが非常に高く、ラウンドフォルムを取り入れたシャンパンゴールドのボディは、とても美しく華やか。WQUXGA×有機ELの高性能ディスプレイをはじめ、スピーカーやキーボードの完成度も申し分なく、ハイエンドモデルにふさわしいクオリティを実現しています。
この内容で価格はなんと19万円台と20万円以下に抑えており、コスパは◎。究極のモバイルノートが欲しい方におすすめですね。
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