今回VAIOの【VAIO SX14(ALL BLACK EDITION)】をお借りしました。
14インチモデルとは思えない超軽量ボディを実現した、ハイクオリティのモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2022年9月7日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
14インチらしからぬ超軽量ボディ
ボディは、14インチサイズとなっています。モバイルノートで定番の13インチモデルよりも大きな画面を搭載し、それでいて軽量ということで、最近人気のサイズですね。
ボディをコンパクトにするため、ベゼル(ふち)が狭い”スリムベゼル”を採用し、横幅と奥行きをできる限り圧縮。
その結果、A4ファイルサイズ並みのサイズを実現しています。さらに、厚さも最厚部で17.9mmと、2cmを切るスリムボディということもあり、カバンにサッと収納できます。
ボディも非常に軽く、なんと実測で1137g!1.1kg台だと本体の重さをあまり感じないので、持ち運びが本当に楽ですね。
13インチモデルならいざ知らず、14インチモデルでこの軽さは他社を圧倒するレベル。およその相場は1.3~1.5kgということを考えると、そのすごさがわかります。
ちなみに、軽さの秘訣は、天板の”カーボンファイバー”です。航空機にも使われる素材なだけあり、とても軽くて頑丈。持ち運びの際も安心です。
デザインは、すっきりした直線フォルムに、スリムボディも相まって、とてもスタイリッシュ。
ちなみに、このモデルは通常バージョンとは違い、”ALL BLACK EDITION”のモデルです。通常モデルとは異なり、ロゴやヒンジ部のバンパーを含め全てブラック仕様になっているほか、Pシリーズ最上位となるCPU・Core i7-1280Pを搭載しているのがポイント。
通常モデルは上のイメージ通り、ブラック・ホワイト・シルバー・ブロンズの全4色が用意されています。定番カラーから、華やかなカラーまで幅広く選べるのはいいですね。
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。下にノートPCクーラーを置いているようなもので、熱い夏場でも安心。
リフトアップヒンジ搭載モデルは多くなってきていますが、このモデルは特に傾斜が大きく、かなりタイピングしやすいのはいいですね。
充実したインターフェース
インターフェースはモバイルノートらしからぬ充実ぶりです。
USBは全4ポートと、モバイルノートにしては多めに搭載。
最新規格をしっかりおさえており、小型&リバーシブルのType-Cポートは、最大40Gbpsの超高速転送に対応した”Thunderbolt 4”となっています。
Type-CとType-Aポートの両方を搭載しているので、変換ケーブルを使うことなく様々な周辺機器に対応できるのは◎。
また、映像端子にHDMIポートを搭載するほか、モバイルノートで省略されがちなLANポートを搭載する徹底ぶりで、普段使いに必要なものは一通り網羅しています。SDスロットがあればパーフェクトでしたね。
なお、カスタマイズにて、5Gモジュール(nanoSIM)を追加することができます。データ通信SIMさえあれば、いつでもどこでもネット環境を利用できます。フリーWiFiスポットを探す手間が省け、まさにストレスフリーですね。
安心のセキュリティ機能
スタンダードノートでは珍しく、カメラ部分にプライバシーシャッターを装備しています。使わないときはシャッターを閉めることで、不正アクセスなどからプライバシーを保護することができます。デバイス機能のON/OFFではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心ですね。
さらに、電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載の高品質ディスプレイ
ディスプレイは、モバイルノートではやや大きめの14.0インチサイズを搭載しています。主流の13.3インチに比べると一回り大きく、ゆったりとした感じで視認性は上々です。
解像度は現在主流のフルHDとなっています。HDよりもきめ細かい画面表示ができるほか、表示領域が広く、オフィスソフトでの作業もはかどります。
パネルには高コントラスト・高発色・高視野角の3点を兼ね備えた、IPSパネルを採用。画面表示はとても美しく、動画鑑賞などを思う存分堪能できます。もちろん、横から見ても色むらがほとんどありません。
ちなみに、貸出機ではタッチ対応ディスプレイ(グレアパネル)を搭載しています。表面は滑らかで適度に抵抗があり、操作性は上々です。
ただし、クラムシェル(開閉タイプ)との相性はイマイチ。操作するとディスプレイがぐらぐらするので、正直使いにくいですね。タッチ対応ディスプレイを使いたいなら、素直に2in1タイプのモデルを選びましょう。
なお、オプションメニューで、4096諧調の筆圧検知に対応したwacom謹製のタッチペン(18g)が用意されています。
完成度の高いキーボード
13インチ+αのサイズということで、テンキーレスキーボードを採用しています。よく見ると、キーボード面はオシャレなヘアライン調のデザインになっており、スタイリッシュなデザインとよくマッチしていますね。
テンキーを省略しているので、だいぶゆとりがあります。基本的なキーは大きく造られ、キーピッチも約19mmとデスクトップキーボード並みの間隔を確保。さらに、配置そのものも素直ということもあり、誤爆の心配はまずありません。
キーストロークは、浅すぎず深すぎず、一般的なノートPCそのもの。反発はやや弱く、あっさりした打鍵感となっています。ちなみに、キートップは中央部分がカーブしており、指になじみやすくなっているのもポイントです。
また、最近のトレンドはバッチり抑えており、キーボードには白色LEDを内蔵しています。ふんわり浮かび上がるような輝き方で、とても上品な感じ。ON/OFFの設定は付属アプリで調整可能で、さらに、消灯までの時間まで設定できる親切仕様なので、とても便利です。
分離タイプのタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが別の分離タイプとなっています。一般的なノートでこのタイプは、ちょっと珍しいですね。
タッチパッドはサラサラした素材になっており、カーソル操作はとてもスムーズ。クリックボタンも分離しているので、一体型よりも操作性がとても高く、軽く押すだけでしっかり反応し、非常に快適。クリック音が小さいのもグッドです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH R23
3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH R23】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテル第12世代の14コア20スレッドCPU・Core i7-1280Pを搭載。PシリーズCPUでは最も多いコア・スレッド数を誇ります。
最新世代では設計を一新し、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、Wコア構成を採用。タスクに応じて、各コアを使い分け、場合によっては両者を併用することで、効率よく処理できるのが強みです。もちろん、コアの性能も向上しており、コア・スレッド数の増加も相まって、非常に高いパフォーマンスを発揮します。
ちなみに、ノート用の第12世代CPUには、Hシリーズ・Pシリーズ・Uシリーズの3タイプがあり、ちょうど中間のグレードとなります。
参考までに、ライバルのRyzen 7 5800U(8コア16スレッド)と比較してみると、シングル・マルチスコアともに約36%も高くなっています。現在主流のRyzen 5000シリーズを軽く超える性能です。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
内蔵グラフィックは、前世代から引き続き、高性能の”Iris Xe Graphics”を搭載しています。その性能はMX400に匹敵するレベルで、内蔵タイプにしては破格の性能となっています。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 2001 | 1773 | 7394 | ー |
Night Raid | 18341 | 22537 | 8926 | ー |
Fire Strike | 5284 | 5561 | 22203 | 2101 |
Sky Diver | 16126 | 15459 | 21004 | 15738 |
Cloud Gate | 23174 | 28086 | 14375 | ー |
Ice Storm | 97291 | 104588 | 78198 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングやオフィス作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリアしており、スコア5000台前半の非常に高いスコアをマーク。動画・画像編集などヘビーな作業にも対応できます。
スコア詳細をチェックしてみると、意外にもエクセルやワードテストなど単純作業のスコア伸び悩んでおり、どうもP-コアとE-コアの連携がうまくいっていない感じです。
なお、Ryzen 7 5800Uと比較してみると、両者の差は総合スコアで約4%とほぼ互角。ただし、動画や画像編集などの重量級のテストではCore i7-1280Pが圧倒しており、最大43%もの差をつけています。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSV/VCEでエンコードしています。なお、QSV/VCEはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV/VCE |
Core i7-1280P | 1299 | 655 | 189 |
Ryzen 7 5800U | 1441 | 737 | 190 |
まず軽めのH.264ですが、CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core i7-1280PがRyzen 7 5800Uよりも約10~11%早く変換を完了。一方、グラフィック機能を用いたハードウェアエンコードでは、ほぼ互角となっています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV/VCE |
Core i7-1280P | 2551 | 1287 | 245 |
Ryzen 7 5800U | 2486 | 1233 | 171 |
重量級のH.265ではRyzen 7が逆転し、ソフトウェアエンコードでは約3~4%と早く変換を完了。また、ハードウェアエンコードではなんと約30%もの差をつけています。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1280P | 20 | 91 |
Ryzen 7 5800U | 65 | 228 |
動画変換テストでは一転、Core i7-1280Pが圧倒的に有利で、Ryzen 7 5800Uとの差は約2~3倍にもなります。Core i7はテストによって結果にムラがありますが、Ryzen 7よりも性能はおおむね高めです。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 標準品質 | |
フルHD | 10215 | 12059 | 12856 |
オンラインゲーム屈指の軽さとは言え、フルHDでスコア10000を軽々突破。従来のUHD GraphicsだとフルHD・標準品質でもスコア5500前後だったことを考えると、革命的といえます。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 7956 | 10134 | 12193 |
フルHD | 4589 | 6394 | 8308 |
重めのゲームなので、スコア9000オーバーには、解像度をHDまで落とす必要があります。フルHDでオンラインゲームを楽しめるのは、軽めのものに限られ、基本的にはHDが適正レベルですね。
以前はまともに動かすことすら厳しかったことを考えると、大幅な進化を遂げているのは確かですが、ゲームで使うにはまだまだ性能が足りません。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは256GB SSDを搭載しています。オフィスソフトやブラウジングなどの軽作業なら十分な容量ですが、編集用途であれば512GB以上に増やすのがおすすめ。
SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプで、なんと超高速のPCIe Gen.4規格を採用する本格派仕様。なお、メーカーはサムスンとなっています。
肝心の速度ですが、読み込み性能の高さが光り、シーケンシャル(連続データ)では6000MB/sオーバーの驚異的な速度をマークしています。一方、ランダムは下位のGen.3タイプクラスの速度で、ちょっと物足りない感じ。もちろん体感速度はとても快適で、OSの起動からアプリの動作までサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
フルロード時で70℃台後半の安定した温度をキープ。ただし、安定性重視ということで、P-コアのクロックを1.8GHzに抑えて動作しています。やはり小型のノートPCなので、高クロック動作は厳しいですね。
ちなみに最大4.8GHzのCPUではありますが、ブーストクロックということで、あくまでも一時的なものとなります。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルを超えるとノイズ感が気になるようになりますが、この通り54.1デシベルと大きく上回っています。ゲーミングノートに近いノイズレベルで、ファンは豪快に回転しています。高性能&高冷却の反面、静音性が犠牲になっていますね。。
なお、最小時は46.9デシベルとありますが、アイドル状態なので、ほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、標準
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は、約11時間10分と、モバイルノート目安となる10時間をしっかり超えています。これなら出先でも安心して使えます。
便利なユーティリティー機能
システムコントロールでは、動作モードの変更やLEDイルミネーションの設定、ファンクションキーの設定などをワンストップで変更できます。とてもシンプルなツールで、わかりやすいのがいいですね。
なお、このモデルでは人感センサーを搭載しています。離席時にロック画面に自動で移行するので、セキュリティ面は万全です。
なお、サウンドシステムはDolbyを採用しています。肝心のサウンドクオリティですが、重低音こそ弱いものの、低音~高音までよく伸び、音質も厚みがあるので迫力は十分。サラウンド効果もバッチリ効いており、臨場感も◎。内蔵スピーカーにしてはクオリティは高めです。
まとめ&関連モデル
なんといってもボディの軽さですね。14インチモデルで1.0~1.1kg前後は非常に軽く、持ち運びはラクラク。モデルの完成度も高く、タフなカーボンボディに、リフトアップヒンジやLED内蔵キーボードをはじめ、指紋認証センサーやプライバシーシャッターなどを装備。プレミアムモデルにふさわしい高い完成度を実現しています
大画面のモバイルノートで軽さをはじめトータルのクオリティを重視するなら、このモデルがおすすめです。なお、CPUの性能にこだわるのでなければ、通常モデルで十分。
VAIO SX14[通常モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ フルHD ノングレア
■CPU:Celeron 7305
■メモリ:8GB
■グラフィック:UHD Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 128GB(PCIe NVMe Gen.3)
■価格:181,000円⇒172,800円(税込)~
カスタマイズのベースとなるモデルです。Celeronではパワー不足でもたつくので、ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業でも、Core i3-1215Uにしておきたいところ。
動画や画像編集などヘビーな作業であればCore i5-1240P以上で、16GBメモリ&512GBにカスタマイズするのがおすすめです。
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