今回レノボの【IdeaPad Flex 570 14型】をお借りしました。他を圧倒する価格の安さとコスパの高さを実現した14インチ2in1モバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2023年4月3日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
スタイリッシュな14インチモデル
このモデルは13インチよりもやや大きい、14インチサイズとなっています。ディスプレイにゆとりがあり、携帯性も高いので、最近人気が高くなっています。
ボディはオーソドックスな樹脂製ですが、かなり頑丈に作られており、天板のたわみがないのは好印象。アルミパネルとそん色ないタフさですね。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリム仕様にすることで、横幅と奥行きを圧縮し、コンパクトボディを実現。
その大きさは、A4ファイルサイズのサイズで、厚さも17.9mmと2cm以下のスリムボディということもあり、カバンにサッと収納することができます。
ただし、肝心の重さは実測で1586gと、モバイルノートの目安となる1.5kgを超えており、ギリギリ持ち運べるレベルですね。上位のYOGAシリーズとはしっかり差別化され、これは価格なりといったところです。
デザインは機能美重視で、プレーンボディにロゴのみと非常にシンプル。渋いストームグレーの色合いも相まって、使う人を選びません。
高い機能性!フレキシブルな2in1タイプ
最近はやりの2in1ノートパソコンで、360°回転するコンパーチブルタイプとなっています。
360°回転しタブレットとして、またテント型にして寝そべりながら動画を見るといったフレキシブルな使い方ができ、とても便利です。
もちろんディスプレイはタッチ&ペン入力に対応しており、傷のつきにくい硬質のパネルでカバーされています。スムーズで操作性は良好ですが、やや抵抗があり、スタンダードモデルらしく価格なりといったところです。
コンパーチブルの要ともいえるヒンジですが、以前のモデルからテコ入れされ、かなり頑丈に造られています。無段階稼働でピタッと止まり、安定感がさらに向上しています。また、ヒンジそのものもコンパクトになり、よりスタイリッシュに進化しています。
もちろん、キーボードを180°以上回転させるとキーボードが動作しなくなるので、誤操作の心配も全くなし。
ちなみに、アクティブペン(電池式)が標準で付属します。遅延は少ないものの、精度が低めで、細かい書き分けが苦手な感じ。メモ書き程度であれば使えるレベルですね。
ちなみに、ペンを固定するためのホルダーも同梱され、USB端子に差してペンを固定できるようになっています。うっかりなくしがちなペンですが、これなら安心です。
スタンダードなインターフェース
インターフェースはグレード相応のラインナップです。
USBは全3ポートと、モバイルノートでは標準的な数を搭載。左側面にある小型&リバーシブルのType-Cポートは、転送速度が最大10GbpsのUSB 3.2 Gen.2規格となっています。
Type-Cポートのほか、通常のType-Aポートもあるので、様々な周辺機器を接続できます。
そのほか映像出力用のHDMIポートやSDスロットを搭載。派手さはありませんが、普段使いに必要なものは一通りそろっています。
セキュリティ対策も万全
レノボらしくセキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
ちなみに、キーボード右下には指紋認証センサーも設置されています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイのサイズは14.0インチです。13.3インチよりも一回り大きいので、ゆとりを感じさせますね。
ディスプレイの解像度はWUXGA(FHD+・1920×1200)、ディスプレイ比率は16:10と、最近はやりのスタイル。主流のフルHD(16:9タイプ)よりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。
ディスプレイのパネルには、ハイクオリティのIPSパネルを採用。発色に優れ、コントラストも高く、くっきり鮮やかな映像クオリティで、動画鑑賞などにも最適です。
パネル表面は光沢のあるグレア処理ということもあり、ノングレアよりきれいに見えるのもポイント。
さらに視野角も広く、横から覗いても色むらがほとんどないのもグッド。タブレットモードなど様々な角度から使う機会の多い2in1タイプとの相性はバツグンです。
ゆとりあるキーボード
13インチ+αのサイズということで、テンキーは非搭載。両サイドにスピーカーが配置されており、音がこもりにくく、デザイン面でもいいアクセントになっています。
基本的なキーは大きめに造られ、一部連結キーこそあるものの、配置そのものもクセがなく素直。キーピッチは約19mmとデスクトップ並みのゆとりが確保されているので、誤爆の心配はまずありません。
電源ボタンがキーボード内ではなく、右サイドに独立して配置されているのもグッド。
ファンクションキーの内容も充実しており、基本的なものにプラスして、任意のカスタマイズキーや電卓キーのほか、ファンクションロック機能も装備しています。
キーストロークはやや深く、適度な反発も相まって、打鍵感は上々です。なお、キーボード面も樹脂製なので、剛性は普通レベルです。
ちなみに、キーボードのバックライトは非搭載となっています。PCは基本的に明るい場所で使うので、実用面では特に問題ありません。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一つになった、一体型となっています。
タッチパッドはサラサラした材質で、カーソル操作はとてもスムーズ。一方、クリックボタンはやや押し込む必要があり、クリック音も普通レベルとオーソドックスな完成度です。
ただし、一体型にありがちなクリックボタンのバタつきなどはなく、造りそのものはしっかりしています。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH R23
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、AMDの第5世代8コア16スレッドAPU・Ryzen 7 5700Uを搭載しています。前世代と同じ”ZEN 2”アーキテクチャを踏襲しおり、マルチスレッド化することで、さらにパワーアップしているのがポイント。インテル製CPUを圧倒する高いパフォーマンスを発揮します。
参考までに、下位モデルに搭載されている6コア12スレッドのRyzen 5 5500Uと比較してみると、シングル性能は約5%、マルチ性能は約7%高くなっています。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUは、高性能のグラフィック・Radeon Graphicsを内蔵しています。とてもよくスコアが伸びてていますが、インテルの高性能内蔵グラフィック・Iris Xe Graphicsに比べ、スコアはワンランク落ちてしまいます。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 1433 | 1260 | 6486 | ー |
Fire Strike | 3655 | 3999 | 19044 | 1280 |
Night Raid |
15145 | 16167 | 11154 | ー |
Sky Diver | 13456 | 13225 | 15727 | 12402 |
Cloud Gate | 22281 | 26722 | 14087 | ー |
Ice Storm | 91603 | 113720 | 54504 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。スコア5000オーバーの高いスコアをマークしています。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業から、動画・画像編集などのヘビーな作業もしっかりこなせる性能です。
なお、Ryzen 5 5500Uとの差は、総合スコアで約3%程度ですが、レンダリングテストでは約11%差をつけています。普段使いならRyzen 5でも十分ですが、編集用途でガッツリ使うならRyzen 7がおすすめ。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCEでエンコードしています。なお、VCEはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のことです。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 7 5700U | 1315 | 668 | 162 |
Ryzen 5 5500U | 1627 | 843 | 191 |
CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、やはりコア・スレッドの多いRyzen 7 5700Uが有利。Ryzen 5 5500Uより約19~21%早く変換を完了しています。
また、ハードウェアエンコードでも約10%差をつけています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE/QSV |
Ryzen 7 5700U | 2603 | 1293 | 161 |
Ryzen 5 5500U | 2705 | 1337 | 179 |
重量級のH.265では、Ryzen 7のパフォーマンスが低下し、ソフトウェアエンコードでは、約3~4%差まで小さくなります。
なお、ハードウェアエンコードでは、両者の差は約10%とほぼ変わりません。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→JPEG | |
Ryzen 7 5700U | 242 |
Ryzen 5 5500U | 298 |
画像変換もCPU勝負となりますが、コア・スレッド数の多いRyzen 7 5700Uが有利で、Ryzen 5 5500Uよりも約19%早く変換を完了しています。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
WUXGA | 9117 | 11323 | 11426 |
内蔵グラフィックにしては性能が高く、フルHD・最高品質でスコア9000台をマーク。VALORANTなどの超軽量級のゲームなら、フルHDでも楽しむことができます。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
WXGA | 5203 | 6118 | 7270 |
WUXGA | 2771 | 3749 | 4846 |
重めのゲームなので、いずれの設定でもスコア9000オーバーならず。ただ、以前の内蔵グラフィックでは考えられないほどスコアが高く、だいぶ進化しているのはたしかですね。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは大容量の512 SSDを搭載しています。256GBよりも容量にだいぶ余裕があり、動画や画像編集でも安心。なお、SSDは通常のSSDよりも4~5倍速いNVMeタイプを採用し、Micronのものを搭載しています。
実際の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きはいずれも4ケタをマークし、最大3000MB/sと爆速。一方、ランダムの速度はイマイチ伸びず、トータルで見るとごく普通のNVMe SSDといったところですね。
もちろん、SSDということで動作はとても快適。OSの起動からアプリの動作までサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
8コア16スレッドCPUながら、動作クロックは3.0GHzと高めで、70℃台半ばの安定した温度をキープ。冷却と性能のバランスがうまく取れていますね。
動作音
CINEBENCH R23実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルが一つの区切りとなりますが、ピーク時でも50.5デシベルとほぼきっかり。ファンは高速回転しているものの、耳障りなノイズは控えめなので、さほど気になりません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、最適化、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約12時間10分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間を大きく超え、出先でも安心して使えます。スタンダードモデルとは思えない、驚異的なバッテリーの持ちとなっています。
便利なユーティリティーソフトを完備
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。各種動作設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには、有名どころの”Dolby”を採用しています。Lenovo Vantageでは使う場面に応じ、ワンタッチで簡単に変更できるほか、Dolbyの専用アプリで好みのサウンドを設定できます。
なお肝心のスピーカーの音質ですが、重低音こそ弱いものの、低音から高音までよく伸びます。また、音質は厚みがあり、サラウンドもよく効いているので、しっかり迫力が感じられます。内蔵スピーカーにしては上出来ですね。
まとめ&関連モデル
このモデル最大の魅力はなんといっても価格の安さ。14インチの2in1モデルで7万円台~はまさに底値。中でもRyzen 5・16GBメモリ・512GB SSDで8万円台は驚異的ですね。指紋認証センサーやタッチペンも付属しており、コスパもバツグン。
なお、基本的にはRyzen 5搭載モデルでOK。少しでも性能にこだわるならRyzen 7もありといったところです。
Ideapad Flex 5 Gen.8 14インチ[Ryzen 3搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ WUXGA グレア IPS タッチ対応
■CPU:Ryzen 3 7330U
■メモリ:8GB(LPDDR4X-4266)
■グラフィック:Radeon RX Vega 6(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■価格:76,230円(税・送料込)~
最新世代となるAMDの第7世代4コア8スレッドCPU・Ryzen 3 7330Uを搭載したベーシックモデル。前世代のRyzen 3 5425Uのマイナーチェンジ版で、約5%ほど性能が向上しています。
ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業や、軽めの編集作業におすすめ。
Ideapad Flex 5 Gen.8 14インチ[Ryzen 5搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ WUXGA グレア IPS タッチ対応
■CPU:Ryzen 5 7530U
■メモリ:16GB(LPDDR4X-4266)
■グラフィック:Radeon RX Vega 7(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 512GB(PCIe NVMe)
■価格:89,870円(税込)~
上のモデルをRyzen 5 7530Uにしたスタンダードモデル。6コア12スレッド構成で、Ryzen 3 7330Uよりも約40%性能が高く、大容量メモリ&ストレージも相まって、編集作業がよりはかどります。
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