今回HPの【HP Spectre x360 14-ef0000】をお借りしました。
デザインから機能面まで徹底的に造りこまれた、HPが誇る13インチのフラグシップモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2022年11月20日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
宝石のような美しいデザイン
HPのハイエンドモデルということで、デザインからして気合の入れようが違います。
エッジ加工を多用したフォルムは、多面的・立体的な造形となっており、宝石のような美しいデザインに仕上げています。ここまでやるのはさすがHPといったところですね。
新モデルでは、ボディのふちやサイドをラウンドフォルムにしているのがポイント。前モデルよりも丸みを帯びており、優美なイメージに進化しています。
また、ボディの素材には上質なアルミニウムを使用しており、表面には非光沢の梨地加工が施されています。落ち着きのある外観もさることながら、適度に滑らか。ラウンドフォルムも相まって、しっとり手になじむ上質な触感をあわせて実現しています。
カラバリは、アッシュブラックのみ用意されています。
漆黒ともいうべき、深みのある色合いで、洗練された印象を受けます。また、アクセントの淡いゴールドが見事にマッチしており、高級感を感じさせますね。
持ち運びに便利なコンパクトボディ
13インチモデルということで携帯性の高さもポイント。
ベゼル(ふち)が狭い”スリムベゼル”を採用することで、横幅と奥行きを圧縮し、A4用紙サイズを実現。もちろん、A4ファイルとは比べるまでもありません。
さらに、厚さも最薄部で16.5mmとスリムなので、カバンにサッと収納できます。
また、重くなりがちなアルミボディながら、実測で1354gと1.3kg台に抑えており、携帯性は良好です。ただ、前モデルより約50gほど重くなってしまったのは残念。
Spectreシリーズではおなじみ、PUレザーのスリーブケースが標準で付属しているので、ぜひ活用しましょう。
フレキシブルに使える2in1タイプ
最近はやりの2in1タイプで、360°回転するコンパーチブルタイプとなっています。
360°回転しタブレットとして、またテント型にして寝そべりながら動画を見るといった使い方もでき、まさにフレキシブル。ヒンジ部分の安定感も高く、無段階稼働で任意の角度にピタッと止まります。
もちろん、キーボードを180°以上回転させるとキーボードが動作しなくなるので、誤操作の心配もありません。
ハイエンドモデルらしく、標準で”HP MPP アクティブペン”が付属します。
4096段階の筆圧検知に対応しており、応答性に優れ、滑らかで自然な書き心地を実現。また、充電タイプということで、重さも約14gと軽く、長時間の使用でも疲れにくいのがいいですね。
なお、2-in-1タイプということで、ディスプレイはタッチ操作に対応しています。操作性は非常に高く、スクロール&タッチ・ペン操作はスムーズで快適そのもの。
ちなみに、ペンは右サイドにマグネットで固定できます。かなりガッチリ固定されるので、安定感は◎。これなら、うっかりなくすこともありません。
充実したインターフェース
インターフェースは最小限ながら、しっかりポイントをおさえたラインナップとなっています。
多面的な造形ということもあり、配置は変則的。正面向かって左斜め横にはマイク入力/ヘッドフォン出力、右斜め横にはUSB Type-Cがそれぞれ配置されています。
USBは全3ポートと、モバイルノートでは標準的な数を搭載。最新規格をしっかりおさえており、小型&リバーシブルのType-Cポートは、最大40Gbpsの超高速転送が可能なUSB 4規格(Thunderbolt 4対応)となっています。
Type-CとType-Aポートの両方を搭載しているので、変換ケーブルを使うことなく様々な周辺機器に対応できるのは◎。
HDMI端子などは非搭載ですが、Type-CポートがDisplayPort 1.4出力を兼ねており、外部モニターへの出力にもしっかり対応しています。そのほか、microSDスロットを搭載し、地味ながら便利です。
セキュリティ対策も万全
セキュリティにはしっかり配慮されており、電源ボタン横にはカメラのキルスイッチを装備。物理的にカメラを無効にできるので、プライバシー面も安心です。
また、キーボード右下には指紋認証センサーを装備。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。さらに、Webカメラは顔認証にも対応しており、セキュリティはまさに万全です。
ちなみに、一部モデルでは”HP Sure View”を装備しています。
これは内蔵型のプライバシースクリーン機能で、ボタンを押すだけで横から見えにくくなり、のぞき見による情報漏えいを防止することができます。
ディスプレイ&キーボード
有機EL搭載の高品質ディスプレイ
このモデルでは、ディスプレイのサイズが13.5インチとユニークで、アスペクト比3:2のディスプレイを採用しています。
一般的な16:9ディスプレイ搭載モデルと比較してみると、横幅が狭くて縦長なのがポイント。
変わり種ではありますが、縦が長い分だけ、スクロールの回数を減らすことができ、ブラウジングはもちろんオフィス作業がよりはかどります。
最上位モデルということで、ディスプレイのクオリティが非常に高く、パネルにはなんと有機ELパネルを採用しています。最近話題の有機ELですが、黒の色味が液晶ディスプレイとは一味違います。まさに「漆黒」という感じ。
黒さの理由は、有機ELでは画面の素子自体が光るのでバックライトが必要なく、コントラスト比が圧倒的に高い(100万:1)から。バックライトで画面を照らし出す通常の液晶ディスプレイでは、どうしても光が漏れてしまい、黒い画面が白っぽくなってしまいます。
一般的なパネルとの違いは、一目瞭然です。
さらに、解像度は3K2K(3000×2000)の超高解像度で精細な映像描写を実現するほか、色域もDCI-P 100%のプロ向け仕様となっており、動画や画像編集などクリエイティブ作業がよりはかどります。
完成度の高いキーボード
キーボード面はボディと同じくアルミニウムの梨地仕上げとなっており、さらっとした上品なさわり心地でとても快適。
キーボードは13インチボディということで、テンキーレス仕様となっています。
横幅を目いっぱい使うことで、すべてのキーが独立しており、ゆとりあるキー配置を実現しています。各キーは大きく造られ、配置そのものも非常に素直。キーピッチも約19mmとデスクトップキーボード並みの間隔がされ、誤爆の心配はまずありません。
気を付けるとしたら電源ボタンくらいですが、ほかのキーより硬めで、押しこまないと反応しないので、そのあたりはしっかり考えられています。
ファンクションキーは基本的なものに加え、カスタマイズ対応キーやカメラのキルスイッチが装備され、欲しいものは一通りそろっている感じ。
キーストロークはやや深く、適度な反発感も相まって、打鍵感を楽しみつつ快適にタイピングできます。さらに、アルミ製のキーボード面は剛性が非常に高く、たわみ知らず。
もちろん、フラグシップモデルらしく白色LEDを内蔵しています。華やかな輝きで高級感があります。もちろん、ファンクションキーでOFF+2段階の切り替えができ、LEDが苦手な方も大丈夫。
滑らかなタッチパッド
キーボードもさることながら、タッチパッドの完成度も◎。
さらにタッチパッドの操作性もバツグン。サラサラした素材でカーソル操作が非常にスムーズです。クリックボタンの反応も良く、カタカタと軽い操作で反応し、動作音も非常に静かなのも◎。
なお、タッチパッド周りはダイヤモンドカット加工がされています。派手な感じではなく、さりげないところが何ともオシャレですね。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテル第12世代の10コア12スレッドCPU・Core i7-1255Uを搭載しています。
最新世代では設計を一新し、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、Wコア構成を採用。タスクに応じて、各コアを使い分け、場合によっては両者を併用することで、効率よく処理できるのが強みです。もちろん、コアの性能も向上しており、コア・スレッド数の増加も相まって、非常に高いパフォーマンスを発揮します。
ちなみに、ノート用の第12世代CPUには、Hシリーズ・Pシリーズ・Uシリーズの3タイプがあり、一番下位のグレードとなります。
ワンランク下のCore i5-1235U(10コア12スレッド)と比較してみると、シングル性能は約4%、マルチ性能は約1%上回っているものの、正直誤差レベルですね。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
内蔵グラフィックは、高性能の”Iris Xe Graphics”を搭載。その性能はMX400に匹敵するレベルで、内蔵タイプにしては破格の性能となっています。基本的な編集作業ならIris Xe Graphicsで十分対応できます。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 1794 | 1592 | 6393 | ー |
Night Raid | 16442 | 20155 | 8045 | ー |
Fire Strike | 4747 | 5053 | 17425 | 1865 |
Sky Diver | 14627 | 14389 | 15232 | 15638 |
Cloud Gate | 20234 | 26537 | 11049 | ー |
Ice Storm | 86723 | 91747 | 72778 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングやオフィス作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、スコア5000に迫る非常に高いスコアをマーク。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業はもちろん、動画・画像編集にもしっかり対応できます。
なお、Core i5-1235Uとは総合スコアでほぼ互角。ただし、写真や動画の編集スコアは約11~14%上回り、Core i7の意地を見せています。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1255U | 1545 | 788 | 161 |
Core i5-1235U | 2093 | 1034 | 175 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、クロックの高いCore i7が有利。Core i5に約24~26%と大きめの差をつけています。
一方、QSVでは約8%差と小さくなっており、同一の内蔵グラフィックということで、あまり差がつかない感じですね。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1255U | 2745 | 1364 | 217 |
Core i5-1235U | 3566 | 1766 | 237 |
重量級のH.265でも、同じような傾向ですね。ソフトウェアエンコードではCore i7がコンスタントに有利で、Core i5よりも約23%早く変換を完了。QSVでも、両者の差は約8%と小さめです。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1255U | 27 | 147 |
Core i5-1235U | 31 | 181 |
このテストもCPU勝負ということでCore i7がやはり有利。軽めのDNGでは約13%、重量級のJPEG変換では約19%早く変換します。
ドラクエ10
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
フルHD | 9716 | 11475 | 12082 |
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
このクラスであれば、平均60fps以上をキープするのは余裕です。ワンランク下のUHD Graphicsでは、フルHDでも設定を下げる必要があり、パワーは段違いです。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 7487 | 9471 | 11411 |
フルHD | 4195 | 5834 | 7510 |
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
重めのゲームには荷が重く、フルHDではスコア9000をクリアできません。フルHDでオンラインゲームを楽しめるのは、軽めのものに限られ、基本的にはHDが適正レベルですね。
ただ、HD・高品質でスコア9000オーバーというのは驚異的。以前の内蔵グラフィックでは考えられないレベルなので、だいぶ進化しているのはたしかです。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、1TBの超大容量SSDを搭載しています。512GBの2倍のもなる容量の多さで、動画や画像データをより多く保存できます。もちろん、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMe SSDで、超高速のGen.4タイプを採用しています。
メーカーはサムスン製ですね。その実力ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きはいずれも4ケタ、最大6000MB/sオーバーとまさに爆速。一方、ランダムの速度もはGen.3タイプと同等レベルということで、特にシーケンシャル性能の高さが光ります。
もちろん、OSの起動からアプリの動作までサクサク動き、快適そのもの。
温度
CINEBENCH R23の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
温度の限界まで性能を引き出すシステムになっており、フルロード時では100℃手前、動作クロックは3.1GHzと高めをキープしています。スリムノートながら、冷却性能は上々です。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルが一つの区切りとなりますが、ピーク時でも50.2デシベルと、ほぼ50デシベルきっかりとなっています。実際ファンは高速回転しているものの、耳障りなノイズは控えめなので、高負荷時でもさほど気になりません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。高解像度ディスプレイ搭載モデルということで、省エネ寄りの設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、省電力
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は、約8時間40分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間に届きませんが、高解像度ディスプレイ搭載モデルにしては上出来ですね。出先で使うなら、バッテリー残量を少し意識しましょう。
便利なユーティリティー機能
パソコンのサポートツールとして”HP Support Assistant”が用意されており、ハードウェアの診断からサポートまでワンストップで実行できます。
また、”HP Command Center”では、動作モードを変更でき、負荷のかかる作業でも、しっかり性能を引き出すことができます。
最上位モデルらしく、サウンドにもこだわっており、デンマークの高級オーディオメーカー”BANG & OLUFSEN”のサウンドエンジンを採用。さらに、スピーカー4基のクアッドスピーカーという力の入れようです。
肝心のサウンドクオリティですが、重低音~高音域までしっかり伸び、厚みのある音質ですね。サラウンド効果もバッチリ効いているので、迫力も感じられるほど。もう少しクリアだとベターでしたが、内蔵スピーカーにしては破格のクオリティとなっています。
まとめ&関連モデル
多面的で美しい造形美が魅力のボディは、有機ELディスプレイやデジタルペンを装備しており、ハイエンドモデルにふさわしい高いクオリティを実現しています。
その分、価格は21万円台(セール価格)と高め。至高のモバイルノートを求めている方におすすめです。
HP Spectre x360 14-ef0000 スタンダードモデル
【スペック】
■OS:Windows 11 Pro
■ディスプレイ
13.5インチ WUXGA+ グレア IPS タッチ対応
■CPU:Core i5-1235U
■メモリ:8GB(LPDDR4X-4266)
■グラフィック:Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 512GB(PCIe NVMe)
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