今回レノボの【ThinkBook 14 Gen.5(AMD)】をお借りしました。
ビジネスユースに便利な機能を搭載!クオリティの高さと、価格の安さを両立した、高コスパの14インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2023年7月31日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
高級感あふれるデザイン
筐体の造りは、前世代のThinkBook 14 Gen.4 と全く同じですね。電源アダプタのサイズがコンパクトに進化したのはグッド。
重厚感のあるブラックボディの、いかにもビジネス向けなThinkPadとは異なり、ThinkBookではミネラルグレーのカジュアルなイメージに仕上がっています。どちらかというと一般ノートブランドの”IdeaPad”に近い印象を受けますね。
ボディの素材は2種類となっており、天板とベース底面にはアルミニウム、キーボード面(ベース上部)は樹脂を使用しています。IdeaPadだと天板のみアルミニウムなので、クオリティはこちらの方が上。
天板がアルミだと、開け閉めの際にたわまないのがいいですね。樹脂だとどうしてもぐらつくので、安定感にイマイチ欠けます。
天板は非光沢の梨地加工が施され、見た目の美しさと、手になじむ上質の触り心地を実現しています。また、上下で風合いを変えており、デザイン面でいいアクセントになっているのもポイント。
デザインはレノボらしく、装飾を極力排した機能美あふれるシンプルなもの。クセがなく、ビジネスシーンにもうまくマッチします。
携帯性の高いコンパクトボディ
ボディは14インチサイズとなっています。13インチよりも一回り大きい余裕のあるディスプレイを搭載し、それでいて持ち運びやすいということで、最近はやりのサイズです。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリムにすることにより、横幅と奥行きをスリムにし、A4ファイル+αのコンパクトボディを実現。また、厚さも17.9mmとスリムなので、カバンにサッと収納できます。
肝心の重さですが、実測で1466gと1.5kg以下に抑えており、携帯性も良好です。さすがに13インチモデルほど軽くはありませんが、重くなりがちなアルミボディで1.4kg台というのはとても魅力的。
便利なインターフェース
インターフェースは、モバイルノートにしてはなかなかの充実ぶり。
USBは全4ポートと多めに搭載。全てがUSB 3.2規格で、そのうち左サイドのType-Cポート2基は、最大10Gbpsの高速転送に対応した”Gen.2規格”に対応しています。
ポート数や規格はもちろん、オーソドックスなType-A端子も装備しており、周辺機器の接続にはまず困りません。
そのほか映像出力用にHDMIポートを搭載するほか、LANポートやSDスロットもばっちり装備。モバイルノートでLANポート搭載というのは、なかなか貴重ですね。
セキュリティ対策も万全
セキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
ちなみに、右上の電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイのサイズは14.0インチきっかり。13.3インチよりもやや大きく、ゆとりがありますね。
解像度は現在主流のフルHD(1920×1080)です。HDよりも画素が多い分、表示領域が広く、オフィス作業もはかどります。なお、表面は映り込みの少ないノングレアタイプなので、自分の顔とにらめっこすることなく、作業に集中できるのもいいですね。
ディスプレイのパネルには、高い発色とコントラストが魅力のIPSパネルを採用。輝度は300nitと明るく、鮮やかでくっきりした映像クオリティも相まって、動画鑑賞などにも最適です。
さらに視野角も広く、横から覗いても色むらがほとんどないのもポイント。
ビジネスに便利なキーボード
13インチボディ+αということで、テンキーレスキーボードを搭載しています。ビジネスモデルということで、完成度はかなり高め。
キーは一部連結されているものの、各キーは大きめで、配置そのものもクセがなく素直。キーピッチも約19mmとデスクトップ並みのゆとりが確保されているので、誤爆の心配はまずありません。電源ボタンがキーボード内ではなく、右サイドに独立して配置されているのもいいですね。
ファンクションキーの内容も充実しており、Microsoft Teams 10での通話の受信と終了が行えるキーが配置されているほか、電卓キー・カスタマイズ対応キー・ファンクションロックキーも装備しており、とても便利です。
キーストロークはノートにしては深く、適度な反発も相まって、打鍵感を感じながらタイピングできます。なお、キーボード面は樹脂製ということで、剛性は普通レベルですね。
もちろんトレンドの白色LEDもしっかり内蔵しています。薄暗い場所でタイピングしやすいのはもちろん、見た目も華やかになり、高級感を演出します。なお、ファンクションキーで2段階+OFFの切り替えが可能なので、LEDが苦手な方も安心。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
タッチパッドはサラサラした材質で、カーソル操作はとても滑らか。クリックボタンもカチカチと軽い力で反応し、応答性もバツグン。さらに建付けもよく、一体型にありがちなバタバタした感じが無いのもグッド。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、AMDの第7世代ミドルクラスCPU・Ryzen 5 7530Uを搭載。6コア12スレッド構成のCPUとなります。
最新のRyzen 7000シリーズCPUではありますが、2世代前となる”ZEN 3アーキテクチャ”をベースにしています。言ってしまえば、第5世代の8コア16スレッドCPU・Ryzen 5 5625Uのクロックアップバージョンということですね。
参考までに、兄弟モデルに搭載されている、インテルの第13世代10コア12スレッドCPU・Core i5-1335Uと比較すると、シングル性能は約16%、マルチ性能は約3%下回っています。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィックは、Radeon Graphics(Radeon RX Vega 7)となっています。Ryzen 5 5625Uと同じなので、グラフィックスコアはほとんど変わりません。なお、Core i5-1335Uに内蔵されている”Iris Xe Graphics”に比べ、性能は低めです。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 1285 | 1133 | 5381 | ー |
Fire Strike | 3160 | 3440 | 18031 | 1110 |
Night Raid |
13813 | 14882 | 9820 | ー |
Sky Diver | 11526 | 11248 | 14188 | 10518 |
Cloud Gate | 20610 | 26582 | 11539 | ー |
Ice Storm | 142616 | 187805 | 77419 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。スコア5000半ばの非常に高いスコアをマークしています。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業から、動画・画像編集などのヘビーな作業も余裕でこなせる性能です。
なお、Core i5-1335Uと比較すると、総合スコアで約12%上回っています。特に大きいのがワードやエクセルのスコアとなっており、その差はなんと約40%。第12世代もそうでしたが、インテルのハイブリッド構成(P-コア+E-コア)だと、このタイプの作業がどうも苦手なようですね。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCE/QSVでエンコードしています。なお、VCE/QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE/QSV |
Ryzen 5 7530U | 1389 | 722 | 149 |
Core i5-1335U | 1345 | 688 | 145 |
まず軽めのH.264ですが、Core i5-1335Uがわずかながら有利な結果となり、Ryzen 5 7530Uより約3~5%早く変換を完了しています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 5 7530U | 2348 | 1156 | 151 |
Core i5-1335U | 2387 | 1175 | 226 |
重量級のH.265では正反対の結果となり、Ryzen 5 7530Uが有利。Core i5-1335Uとの差は、ソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)で約2%と小さめですが、ハードウェアエンコードでは約33%とかなり大きくなります。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Ryzen 5 7530U | 32 | 230 |
Core i5-1335U | 29 | 140 |
画像変換ではCore i5-1335Uが有利。Ryzen 5 7530Uと比較すると、軽めのDNG変換では約9%、重量級のJPEG変換では約29%早く変換を完了しています。
Ryzen 5・Core i5ともに得手不得手があるので、特にこだわりが無ければ、価格の安いRyzen 5搭載モデルでOK。画像変換やグラフィック性能重視ならCore i5がおすすめです。
VALORANT(ヴァロラント)
解像度:フルHD/HD
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
HD | 171(136)fps | 187(140)fps | 187(150)fps |
フルHD | 95(83)fps | 109(96)fps | 121(108)fps |
ノートでも動かせる超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
トップクラスに軽いゲームということで、フルHDでも平均100fps以上を狙えます。ただし、ディスプレイは60Hz出力なので、最高でも60fps止まりという点には注意です。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 5292 | 6693 | 7925 |
フルHD | 2841 | 3782 | 4858 |
重めのゲームなので、いずれの設定でもスコア9000オーバーならず。ただし、HDでスコア7000台まで伸びており、以前の内蔵グラフィックに比べだいぶ性能は進化しています。
なお、Iris Xe Graphicsでは、HD・高品質でスコア9000以上を狙うことができます。ただし、いずれにしてもフルHDでは力不足なので、ゲーミング用として使うのはNG。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、大容量の512GB SSDを搭載しています。一般的な256GBの約2倍のもなり、動画や画像などかさばるデータ類を多めに保存することができ、とても便利。なお、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプで、メーカーはサムスンとなっています。
実際の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)・ランダムの読み書きともにしっかり速度が出ており、クオリティは高め。シーケンシャルの速度がおおむね3000MB/sオーバーというのはいいですね。もちろん、SSDということで動作はとても快適。実際OSの起動からアプリの動作までサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
安定性重視の動作システムになっており、ピーク時での温度は70℃台前半、動作クロックは3.1GHz台に抑えています。
動作音
CINEBENCH R23のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で50.7デシベルと若干上回るレベル。ファンは高速回転していますが、耳障りなノイズ感が控えめなので、うるさく感じません。標準的なノートPCそのものですね。
ちなみに最小時では46.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率・インテリジェント・クーリング
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約9時間10分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間には届かないものの、出先でも十分使えるレベルです。
便利なユーティリティーソフトを完備
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。各種動作設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには、有名どころの”Dolby”を採用しています。Lenovo Vantageでは使う場面に応じ、ワンタッチで簡単に変更できるほか、Dolbyの専用アプリで好みのサウンドを設定できます。
なお肝心のスピーカーの音質ですが、低音から高音までよく伸び、重低音も再現。また、サラウンドも効いているので、臨場感も感じられます。ただ、音質が軽めなので、迫力はイマイチ。
まとめ&現行モデル
アルミパネルを採用したタフボディには、指紋認証センサーやLED内蔵キーボードを搭載。また、キーボードの完成も高く、キーストロークは深めで、ビジネスに便利なオンライン会議の通話ボタンを配置するなど、機能的に仕上げています。
クオリティの高さもさることながら、価格は7万円台~(Ryzen 3搭載モデル)と安く、コスパ◎。14インチモバイルノートでイチオシのモデルです。
ThinkBook 14 Gen.5(AMD)[Ryzen 3搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ フルHD ノングレア IPS
■CPU:Ryzen 3 7330U
■メモリ:8GB(DDR4-3200)
■グラフィック:Radeon RX Vega 6(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■価格:77,880円(税・送料込)~
4コア8スレッドCPU・Ryzen 3 7330Uを搭載したベーシックモデルで、Ryzen 5 7530Uとの性能差は約40%ほど。普段使いはもちろん、軽めの編作業にも使うことができ、予算重視ならおすすめ。
【関連モデル】ThinkBook 14 Gen.5(インテル)[Core i5搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ フルHD ノングレア IPS
■CPU:Core i5-1335U
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラフィック:Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 512GB(PCIe NVMe)
■価格:107,580円(税・送料込)~
インテルのCore i5-1335Uを搭載した兄弟モデルです。