今回デルの【Inspiron 15(3525)】をお借りしました。
実用的な15インチモデルがなんと5万円台から!圧倒的な価格の安さを誇るベーシックノートをチェックしてみましょう。
スペック
Inspiron 15 3525(Ryzen 5 7530U搭載) | |
カラー | プラチナシルバー・カーボンブラック |
サイズ | W358.50×D235.56×H16.96~18.99mm |
重量 | 約1.63kg(実測1653g) |
OS | Windows 11 Home |
CPU | Ryzen 5 7530U(6コア12スレッド・定格2.0/最大4.5GHz) |
メモリ | 16GB(8GB×2・DDR4-3200) |
ストレージ | 512GB SSD(PCI-e NVMe) |
グラフィクス | Radeon RX Vega 7 |
ディスプレイ | 15.6インチ、フルHD(1920×1080)、ノングレア、120Hz |
インターフェース | USB3.2 Gen.1 Type-C×1、USB3.2 Gen.1 Type-A×1、USB2.0 Type-A×1、HDMI 1.4a×1、SDスロット×1、マイク入力/ヘッドフォン出力×1 |
光学ドライブ | × |
カメラ | ワイドスクリーンHD(720p) Webカメラ |
スピーカー | ステレオ スピーカー(2W×2) |
キーボード | テンキー付き日本語キーボード |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 |
バッテリー | ー |
保証 | 1年(最大4年) |
価格 | 71,800円(税・送料込)~ |
電源アダプタ(65W・214g)/電源ケーブル(106g)/各種マニュアル
外観
シンプルな軽量ボディ
ベーシックモデルということで、ボディはオール樹脂製となっています。アルミボディに比べ剛性は弱めですが、普段使いでは特に問題ありません。
デザインは、プレーンボディにはロゴのみと非常にシンプル。洗練されたなプラチナシルバーの色合いもバッチリきまっており、使う人を選ばない仕上がりですね。
なお、カラバリは、プラチナシルバー&カーボンブラックの定番カラーが用意されています。
もちろんトレンドのスリムベゼルを採用。ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右にスリムにすることで、コンパクトボディを実現しています。
A4ファイルよりはさすがに大きいものの、ビジネスバッグには入る大きさです。
また、厚さは16.96~18.99mmと2cm以下のスリムボディということも相まって、重さは実測で1653gと軽め。13インチや14インチなどのモバイルノート並みとはいきませんが、ちょっとした持ち運びに便利なサイズ&重さです。
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。
スタンダードなインターフェース
インターフェースもやはりシンプル。
USBは全3ポートと、15インチモデルにしてはやや少なめ。規格はUSB 3.2 Gen.1&2.0のオーソドックスなラインナップで、そのうち左側面のUSB 3.2ポートは小型&リバーシブルのType-Cポートを採用。
通常のType-A端子とあわせ、あらゆる周辺機器を接続できます。
そのほか、映像出力用のHDMIポートやSDスロットを搭載しています。派手さはありませんが、普段使いに必要なものは一通りそろっています。
ちなみに、カメラ部にはシャッターを装備。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするので、プライバシー面も安心です。
ディスプレイ&キーボード
フルHDディスプレイ搭載
ディスプレイサイズは15.6インチですね。モバイルノートの13インチ&14インチよりもさらに大きく、だいぶゆとりがあります。据え置きで使うなら15インチがまずおすすめ。
解像度は現在主流のフルHDで表示領域が広く、大きめのディスプレイサイズも相まって、オフィス作業にも最適。なお、表面は映り込みの少ないノングレアタイプなので、作業に集中できるのも◎。
このグレードにしてはクオリティが高く、発色・高コントラストに優れたIPSパネルを採用。低価格モデルでおなじみのTNパネルに比べると、くっきり鮮やかな映像品質で動画鑑賞などにも最適。
また、リフレッシュレートが120Hzというのもポイント。1秒間に描写できる枚数は、通常の60Hzディスプレイの2倍!滑らかな描写性能により、動きの激しいFPSゲームなどに最適です。
IPSパネルということで、横から覗いても色ムラがありませんが、輝度(明るさ)が250nitと低く、ちょっと暗い感じがするのはマイナスポイントですね。
ちなみに、パネルの詳細情報は以下の通りとなります。狭めの色域なので、色の精度を重視する方には不向きです。
◆輝度:250nit ◆sRGB:65% ◆Adobe RGB:49% ◆DPI-P3:48% ◆Rec.2020:35%
ゆとりのあるキーボード
横幅の広い15インチサイズなので、テンキーをバッチリ搭載しています。バックライトは非搭載と非常にシンプル。
基本的なキーは大きめに造られ、一部連結キーこそあるものの、テンキー含め配置そのものは素直。キーピッチは約18.5mmと標準的な間隔を確保しています。電源ボタンが右上に配置されていますが、他のキーにくらべ硬めなので、誤操作の心配はありません。
ファンクションキーは標準的な内容ですが、電卓キーがあるのはいいですね。
キーストロークはやや深く、適度な反発感も相まって、サクサク快適にタイピングできます。ただ、キーボード面の剛性が弱く、強めにタイプするとたわんでしまうのがネック。
タッチパッドですが、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプですね。パッド部分はサラサラした感触で、カーソル操作はとてもスムーズ。一方、クリックボタンはしっかり押し込む必要があります。
キーボード・タッチパッドともに価格なりの完成度といったところです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、AMDの6コア12スレッドCPU・Ryzen 5 7530Uを搭載しています。7000シリーズには3タイプありますが、これは2世代前の”ZEN 3アーキテクチャ”をベースにしたものとなります。
なお、ワンランク下のRyzen 5 7520Uは、”ZEN 2アーキテクチャ”をベースにし、4コア8スレッド構成ということで性能は低め。名前こそ似ていますが、全くの別物です。
参考までに、上位の8コア16スレッドCPU・Ryzen 7 7730Uと比較すると、シングル性能は約8%、マルチ性能は約28%差をつけられています。
3DMARK
”3DMARK”は、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
Vulkan(Wild Life)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィックは、”Radeon Graphics(Radeon RX Vega 7)”となっています。性能は最低限となっており、非常に軽めのオンラインゲームなら動かせるレベルです。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Time Spy | 1190 | 1048 | 5246 | ー |
Night Raid | 12676 | 14010 | 8236 | ー |
Fire Strike | 3046 | 3348 | 17418 | 1046 |
Sky Diver | 10626 | 100439 | 12363 | 9877 |
Wild Life | 5714 | ー | ー | ー |
PCMark 10
”PCMark 10”は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。動画や画像編集でも十分使える性能です。
なお、普段使いの性能を測るソフトのため、総合スコアはRyzen 7 7730Uとほぼ同じ。基本的にはRyzen 5を選んでおけばOK!
TMPGEnc Video Mastering Works 7
”TMPGEnc Video Mastering Works 7”を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCEでエンコードしています。なお、VCEはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 5 7530U | 1822 | 874 | 163 |
Ryzen 7 7730U | 1384 | 701 | 167 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、コア・スレッド数の多いRyzen 7 7730Uが有利。両者の差は約20~24%となっています。
なお、グラフィック機能を利用したハードウェアエンコードはほぼ互角です。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 5 7530U | 2804 | 1366 | 160 |
Ryzen 7 7730U | 2584 | 1269 | 166 |
重量級のH.265では両者の差が小さくなり、ソフトウェアエンコードでは約7~8%差となります。ただし、ハードウェアエンコードではほぼ同じなのは変わらず。
Lightroom Classic CC
”Lightroom Classic CC”を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で記載しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
Ryzen 5 7530U | Ryzen 7 7730U |
233 | 169 |
画像変換もCPU勝負となりますが、こちらもやはりRyzen 7 7730Uが有利で、Ryzen 5 7530Uとの差は約27%となっています。編集作業の多い方はRyzen 7を選ぶのがおすすめです。
VALORANT(ヴァロラント)
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
HD | 147(117)fps | 163(134)fps | 186(159)fps |
フルHD | 96(82)fps | 108(97)fps | 124(101)fps |
超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
このクラスなら内蔵グラフィックでも余裕ですね。フルHDで平均100fpsを狙うことができ、低設定なら120Hzディスプレイをきっちり生かせます。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 4480 | 5823 | 7277 |
フルHD | 2800 | 3332 | 4487 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
重量級のゲームになると全くの力不足で、いずれの設定でもスコア9000をクリアできません。最近の高性能内蔵グラフィックでもやや力不足といったところで、ゲームを快適に楽しむならRTXシリーズが入ったものを選ぶのがおすすめ。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、512GB SSD(SOLIDIGM)を搭載しています。256GBのさらにその上を行く容量の多さで、動画や画像などかさばるデータ類も多めに保存することができます。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは1000MB/s台がメインで、ランダムの読み書きもイマイチ速度が伸びず、正直物足りないですね。
ただし、実際の使用感はSSDらしくとても快適。OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
ピーク時の温度は90℃前後、動作クロックは3.0~3.1GHzをマークしており、温度とクロックのバランスがうまく取れています。
動作音
CINEBENCH R15実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。
50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時でも51.9デシベルとやや上回っています。甲高いファンノイズが気になる感じです。
ちなみに最小時では46.9デシベルとなっており、アイドル状態のためほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、静音
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は8時間をマーク。5時間を大きく超えているため、電源のない環境でも安心して使えます。
充実したユーティリティー機能
便利なユーティリティー機能をしっかり完備。
”My Dell”では、PCの動作モードやバッテリーの管理、ディスプレイのカラー設定など、システム面の各種設定を一通りカバーしています。
そのほか、サポート機能も装備しており、”SupportAssist”では、ドライバのアップデートからハードのスキャンまでワンストップで実行できます。また、サポート窓口のアクセスのカバーし、万が一の場合でも安心です。
サウンド調整機能はデルのオリジナルとなっており、イコライザーやサラウンドなど必要な機能はそろっています。
なお、スピーカーの音質ですが、低音~高音までしっかり再現し、重低音も強め。また、音質に厚みがあり、サラウンドも効いているので、迫力もバッチリ感じられます。ベーシックモデルながら見事なクオリティですね。
まとめ
派手さはありませんが、手堅い完成度となっており、予算重視の据え置きノートとしておすすめ。なお、ブラウジングやオフィス作業メインなら、5万円台のRyzen 3搭載モデルで十分です。