今回HPの【HP Pavilion Aero 13-be2000 パフォーマンスモデル】をお借りしました。高い品質と価格の安さを両立した、圧倒的なコスパが魅力の13インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2023年12月27日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
1kg以下の超軽量ボディ
このモデルの最大のポイントは圧倒的な軽さで、実測995gと1kgを下回っています。さすがに1kg以下ともなると、さほど重さを感じず、片手でラクラク持つことができます。パソコンとは思えない感じですね。
軽さの秘訣ですが、ボディの素材にはマグネシウム合金を採用。アルミニウムよりも軽く、それでいてタフということで、モバイルノートでよく使われる素材となっています。
素材もさることながら、ボディもコンパクト。ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右にスリムにすることで、横幅と奥行きを圧縮。
その大きさは、A4用紙と同等となっており、A4ファイルサイズとは比べるまでもありません。さらに、厚さも最薄部で16.9mmとスリムなので、カバンにサッと収納でき、携帯性はバツグンです。
機能美重視のシンプルなデザイン
HPといえば、他社とは一線を画すデザインセンスですが、細かい加工に不向きなマグネシウム合金ということで、だいぶシンプル。
ストレートボディにロゴのみと、使う人を選ばない機能美重視のデザインとなっています。ただし、細かい造形美にはしっかりこだわっており、パーツの継ぎ目を極力排除した”ユニボディ”に仕上げています。
底面のネジすら省略する徹底ぶりで、一体感のある美しいフォルムを実現。一体型なので剛性も高く、実用面もぬかりありません。
カラバリは、清潔感あふれるセラミックホワイトと、華やかなピンクベージュの2色を用意。貸出機はピンクベージュですが、落ち着きのある色合いでとても上品。センスの高さがうかがえますね。
なお、セラミックホワイトでは、天板が”AED(アニオン電着塗装)加工”となっているのがポイント。
AED加工では通常の塗装よりも塗装面が滑らかになり、外観の美しさはもちろん、ひっかき傷に強く、指紋がつきにくくなるなど、高い耐久性をあわせて実現しています。ノートは触れる機会が多いので、これは嬉しいですね。
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。下にノートPCクーラーを置いているようなもので、熱い夏場でも安心。
ポイントをおさえたインターフェース
USBは全3ポートと、モバイルノートでは標準的な数を装備。左サイドに搭載された小型&リバーシブルのType-Cポートは、最大10Gbpsの高速転送に対応し、DisplayPort出力もできる高規格タイプとなっています。もちろん、通常のType-Aポートも装備しており、あらかたの周辺機器を接続可能です。
そのほか画像出力用のHDMIポートを装備し、モバイルノートで必要なものは一通りそろっています。
ちなみに、キーボード右下には指紋認証センサーを装備。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
なお、カメラ部分のプライバシーシャッターは非搭載となっています。これは最近のモデルではトレンドになりつつあるので、できれば欲しかったところ。気になる方は付箋でも貼りましょう。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載の高品質ディスプレイ
ディスプレイサイズは13.3インチサイズで、解像度はWUXGA(1920×1200)となっています。
また、ディスプレイ比率は16:10というのもポイント。主流の16:9タイプよりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。ちなみに、表面は映り込みの少ないノングレアタイプなので、自分の顔とにらめっこすることなく作業に集中できます。
パネルには高コントラスト・高発色・高視野角の3点を兼ね備えた、IPSパネルを採用。くっきり鮮やかな映像クオリティで、動画鑑賞などにも最適です。
視野角も広く、横から見ても色むらはありません。
完成度の高いキーボード
キーボードは13インチボディということで、テンキーレス仕様ですね。
横幅を目いっぱい使うことで、基本的なキーにプラスして、右サイドにブラウジングなどに便利なキーを配置。各キーは大きく造られ、配置そのものも素直。キーピッチも約18.5mmとしっかり間隔を確保しているため、誤爆の心配はまずありません。
気を付けるとしたら電源ボタンくらいですが、ほかのキーより硬めで、しっかり押さないと反応しないので、そこまで心配する必要はありません。
特筆すべきはキーストロークで、一般的なモデルに比べだいぶ深め。反発も高くなっており、しっかりした打鍵感で快適にタイピングできます。キーボード面の剛性も高く、安定感もバツグンです。
もちろん、トレンドの白色LEDを内蔵しています。華やかな輝きで高級感があり、薄暗い場所での操作性も◎。なお、ファンクションキーでOFF+2段階の切り替えができます。
滑らかなタッチパッド
タッチパッドは、パッドとクリックボタンが一体となったオーソドックスなタイプ。
パッド部分はサラサラした素材となっており、カーソル操作はとてもスムーズです。一方クリックボタンはやや押し込む必要があり、動作音も普通レベルですが、バタつきがないのはいいですね。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH R23
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、AMDの第7世代8コア16スレッドCPU・Ryzen 7 7735Uを搭載。最新のRyzen 7000シリーズCPUではありますが、前世代の”ZEN 3+アーキテクチャ”をベースにしており、第6世代の8コア16スレッドCPU・Ryzen 7 6800Uのクロックアップバージョンということができます。
ZEN 3+アーキテクチャCPUの特徴は、なんといっても強力な内蔵グラフィックで、Ryzen 7 7735Uでは”Radeon 680M”を搭載しています。
参考までに、ワンランク下の6コア12スレッドCPU・Ryzen 5 7535Uと比較してみると、シングルスコアは互角ですが、マルチスコアは約14%高くなっています。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。PCの性能指標として、参考まで。
このCPUは、高性能のグラフィック・Radeon 680Mを内蔵しています。
内蔵グラフィックにしては性能が非常に高く、その実力はインテルのIris Xe Graphicsの約1.5倍!、軽めのオンラインゲームではフルHDでもプレイできるほどです。内蔵グラフィックも着々と性能を上げてきていますね。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 2348 | 2096 | 7422 | ー |
Fire Strike | 5909 | 6498 | 19501 | 2169 |
Night Raid |
21678 | 26112 | 11048 | ー |
Sky Diver | 20261 | 21797 | 16222 | 17545 |
Wild Life | 13290 | ー | ー | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
動画や画像編集用途でも使うのであればスコア3000がボーダーとなりますが、余裕でクリア。スコア6000半ばとゲーミングノート顔負けの非常に高いスコアをマークしています。
なお、Ryzen 5 7535Uと比較すると、総合スコアは約9%上回っています。グラフィック性能が高いため、編集系のテストでは約17%と大きめの差をつけているのがポイント。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCE/QSVでエンコードしています。なお、VCEはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 7 7735U | 1375 | 731 | 136 |
Ryzen 5 7535U | 1511 | 776 | 144 |
CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、高性能のコアを多く搭載したRyzen 7 7735Uが有利。Ryzen 5 7535Uよりも約6~9%早く変換を完了しています。
一方、グラフィック機能を活用したハードウェアエンコードでも、Ryzen 7がCore i7よりも約6%早く変換を完了しています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE/QSV |
Ryzen 7 7735U | 2311 | 1175 | 137 |
Ryzen 5 7535U | 2283 | 1159 | 141 |
重量級のH.265ではRyzen 7のパフォーマンスが低下し、ソフトウェアエンコードではRyzen 5に逆転されています。スリムモデルということもあり、長時間負荷をかけ続けると、性能が大きく低下してしまうようですね。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→JPEG | |
Ryzen 5 7535U | 142 |
Core i5-1335U | 230 |
画像変換もCPU勝負ですが、Ryzen 7 7535UがRyzne 5 7535Uよりも約38%早く変換を完了し、圧倒しています。
VALORANT(ヴァロラント)
解像度:WUXGA/WXGA
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
WXGA | 188(141)fps | 210(169)fps | 244(192)fps |
WUXGA | 151(113)fps | 169(123)fps | 198(154)fps |
ノートでも動かせる超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
トップクラスに軽いゲームなので、WUXGAでも平均100fps以上を軽くクリア。Iris Xe Graphicsよりも高いパフォーマンスはとても魅力的ですね。ちなみに、ディスプレイは60Hz出力対応なので、最高でも60fpsまでしか出ない点に注意。
Rainbow Six Siege(レインボーシックスシージ)
解像度:WUXGA/WXGA
ゲーム設定:最高/超高/高/中/低(レンダリング解像度”50”)
プレイモード:カジュアル(マルチプレイ)
平均(最低)fps | 最高 | 超高 | 高 | 中 |
WXGA | 81(73)fps | 81(73)fps | 88(81)fps | 97(89)fps |
WUXGA | 52(47)fps | 52(47)fps | 55(52)fps | 63(59)fps |
軽めのFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
WUXGAでも中設定で平均60fpsをクリア台しており、内蔵グラフィックにしてはだいぶ健闘しています。ただし、WXGAが適切な解像度といったところで、ゲーム用として使うのはきついです。
Fortnite(フォートナイト)
解像度:WUXGA/WXGA
ゲーム設定:DirectX 12、最高/高/中/低
降下後、1分間のダッシュ&屋内探索
平均(最低)fps | 最高 | 高 | 中 | 低 |
WXGA | 29(21)fps | 54(43)fps | 86(62)fps | 175(109)fps |
WUXGA | 13(10)fps | 34(28)fps | 55(42)fps | 141(100)fps |
やや軽めのFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
このゲームはグラフィックのアップデートで負荷が高くなり、WUXGAでは低設定までガッツリ落とす必要があります。なお、低設定は品質が非常に悪いのでおすすめしません。
Apex Legends(エーペックス レジェンズ)
解像度:WUXGA/WXGA
ゲーム設定:最高・低(fpsリミット解除)
プレイモード:射撃訓練場
平均(最低)fps | 最高 | 低 |
WXGA | 69(56)fps | 98(71)fps |
WUXGA | 38(24)fps | 68(49)fps |
標準的なグラフィック負荷のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
フォートナイトよりもやや重いものの、フルHD・低設定で平均74fpsはかなり健闘しています。Iris Xe Graphicsでは半分程度なのでなおさらですね。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高 | 高 | 標準 | |
WXGA | 7218 | 9660 | 11299 |
WUXGA | 4849 | 5821 | 7713 |
グラフィック負荷が高めのMMORPGです。スコア9000以上で【快適】&平均60fpsをキープでき、快適にプレイするならスコア9000をしっかり超えたいところ。
フルHDでのスコアは内蔵グラフィック離れしていますが、いずれもスコア9000に届かず。品質面も考えると、WXGAがやはりおすすめ。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、512GB SSD(Western Digital)を搭載しています。256GBのさらにその上を行く容量の多さで、動画や画像などかさばるデータ類も多めに保存することができます。なお、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプで、爆速のPCIe Gen.4規格を採用する本格派仕様です。
その実力ですが、シーケンシャル(連続データ)の速度は最大5000MB/sとしっかり速度が出ています。一方、ランダムの速度はGen.3クラスということで、標準的なGen.4 SSDといったところですね。
もちろん、OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動いて、とても快適です。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
薄型ボディに8コア16スレッドCPUを搭載しているため、安定性重視の動作システムとなっており、ピーク時の動作クロックは3.0~3.1GHz、温度は80℃台半ばに抑えています。
動作音
CUNEBENCH R23実行時に、PC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で49.7デシベルとほぼきっかり。冷却ファンは高速で回転していますが、そこまでうるさくなく、十分許容範囲内ですね。
なお、最小時は46.9デシベルとありますが、アイドル状態なので、ほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は、約8時間10分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間には届かないものの、5時間を大きく超えており、実用レベルとなっています。
便利なユーティリティー機能
パソコンのサポートツールとして”HP Support Assistant”が用意されており、ハードウェアの診断からサポートまでワンストップで実行できます。
サウンドにもこだわっており、デンマークの高級オーディオメーカー”BANG & OLUFSEN”のサウンドシステムを採用しています。
肝心のサウンドクオリティですが、低音~高音域までしっかり伸び、重低音もしっかり再現。音質もクリアで厚みがあり、サラウンド効果もよく効いているので、迫力もバッチリ。スタンダードモデルでこのクオリティは、正直驚きです!
まとめ&関連モデル
900g台の超軽量ボディに、高品質ディスプレイやバックライト付きキーボード、指紋認証センサーなどを装備し、まさに至れり尽くせり。それでいて価格は9万円台~と安く、コスパが非常に優れています。モバイルノートで特にイチオシのモデルです。
HP Pavilion Aero 13-be2000 スタンダードモデル
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
13.3インチ WUXGA ノングレア IPS
■CPU:Ryzen 5 7535U
■メモリ:8GB(LPDDR5-6400)
■グラフィック:Radeon 660M(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■価格:149,600円⇒98,821円(税込)~
Ryzen 5 7535U搭載したスタンダードモデルで、予算重視ならおすすめ。なお、グラフィックはIris Xe Graphicsとほぼ同じ性能のRzdeon 660Mとなっています。