今回VAIOの【VAIO F14】をお借りしました。
VAIOにもついにお手頃なモバイルノートが登場!軽くてリーズナブルな14インチモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2023年8月19日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
軽量の14インチボディ
最近人気の14インチサイズのモデルですね。モバイルノートで定番の13インチモデルよりも大きな画面を搭載し、それでいて軽く、まさに一石二鳥。
ボディをコンパクトにするため、ベゼル(ふち)が狭い”スリムベゼル”を採用し、横幅と奥行きをできる限り圧縮。
その結果、A4ファイルサイズ並みのサイズを実現しています。
さらに、厚さも2cm以下となっており、カバンにラクラク収納できます。
スタンダードモデルということで、オーソドックスな樹脂製ボディとなっていますが、重さは実測で1307gと軽く、携帯性は良好です。
ちなみに、14インチモデルは1.4~1.5kgが標準的なので、かなり軽い部類に入ります。13インチモデルと同等レベルですね。
デザインは上位のSXシリーズをベースにしており、すっきりした直線フォルムに、スリムボディも相まって、とてもスタイリッシュ。
カラバリは、貸出機のネイビーブルーに加え、サテンゴールド・ウォームホワイトの3色が用意されています。定番カラーから、華やかなカラーまで幅広く選べるのはいいですね。
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。
VAIOのモデルは傾斜が特に大きく、かなりタイピングしやすいのは◎。
充実したインターフェース
インターフェースはモバイルノートらしからぬ充実ぶりです。
USBは全4ポートと、モバイルノートにしては多めに搭載。すべてのポートがUSB 3.2規格で、そのうち小型&リバーシブルのType-Cポートは、最大10Gbpsの転送速度に対応したUSB 3.2 Gen.2規格となっています。
Type-CとType-Aポートの両方を搭載しているので、変換ケーブルを使うことなく様々な周辺機器に対応できるのは◎。
また、映像端子にHDMIポートを搭載するほか、モバイルノートで省略されがちなLANポートを搭載する徹底ぶりで、普段使いに必要なものは一通り網羅しています。SDスロットがあればなおよかったですね。
安心のセキュリティ機能
プライバシーやセキュリティ面にも配慮され、カメラ部分にシャッターを装備しています。使わないときはシャッターを閉めることで、プライバシーを保護することができ、とても安心。
さらに、電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねているほか、顔認証センサーを搭載する充実ぶり。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載の高品質ディスプレイ
ディスプレイは、モバイルノートではやや大きめの14.0インチサイズを搭載しています。主流の13.3インチに比べると一回り大きく、ゆったりとした感じで視認性は上々です。
なお、解像度は現在主流のフルHDとなっています。
IPSパネルに近い映像クオリティで、発色&高コントラストはともに高く、くっきり鮮やか。
横から見ても色むらがほとんどありません。
完成度の高いキーボード
キーボード面はアルミパネルでカバーされ、オシャレなヘアライン加工も相まって、ワンランク上クオリティを実現しています。
テンキーを省略しているので、だいぶゆとりがあります。基本的なキーは大きく造られ、キーピッチも約19mmとデスクトップキーボード並みの間隔を確保。さらに、配置そのものも素直ということもあり、誤爆の心配はまずありません。
ファンクションキーは基本的なものにプラスして、タッチパッド無効キーやカスタマイズ対応キーを搭載。カスタマイズ対応キーはF8~F12まで設定でき、かなり充実しています。
なお、ファンクションロックは、イメージの設定ツールで変更可能です。
キーストロークは、深めで反発も適度にあり、打鍵感は上々。ちなみに、キートップは中央部分がカーブしており、指になじみやすくなっているのもポイントです。
ちなみに、SXシリーズとは異なり、バックライトは非搭載です。基本的にPCは明るいところで使うので、なくても特に問題ありません。
分離タイプのタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが別の分離タイプとなっています。最近ではこのタイプがめっきり減っているので、とても貴重です。
タッチパッドはサラサラした素材になっており、カーソル操作はとてもスムーズ。クリックボタンも分離しているので、一体型よりも操作性がとても高く、軽く押すだけでしっかり反応し、非常に快適。クリック音が小さいのもグッドです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテル第13世代の10コア12スレッドCPU・Core i7-1355Uを搭載しています。最新世代ではありますが、中身は前世代の”Alder Lake”をベースにしており、Core i7-1255Uのクロックアップバージョンといったところですね。
第12世代から設計が一新され、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、Wコア構成を採用しているのがポイント。タスクに応じて、各コアを使い分け、場合によっては両者を併用することで、効率よく処理できるのが強みです。
ちなみに、ノート用の第13世代CPUには、Hシリーズ・Pシリーズ・Uシリーズの3タイプがあり、一番下位のグレードとなります。
参考までに、ワンランク下のCore i5-1335U(10コア12スレッド)と比較してみると、シングル性能は約13%、マルチ性能は約22%上回っています。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
内蔵グラフィックは、高性能の”Iris Xe Graphics”を搭載。その性能はMX400に匹敵するレベルで、内蔵タイプにしては破格の性能となっています。基本的な編集作業ならIris Xe Graphicsで十分対応できます。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 1807 | 1612 | 5755 | ー |
Night Raid | 16471 | 20872 | 7505 | ー |
Fire Strike | 4818 | 5162 | 17616 | 1862 |
Sky Diver | 15012 | 14863 | 15678 | 15195 |
Cloud Gate | 19763 | 27013 | 10191 | ー |
Ice Storm | 92296 | 102656 | 68205 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングやオフィス作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、スコア5000の大台を突破。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業はもちろん、動画・画像編集にもしっかり対応できます。
なお、Core i5-1335Uとの差は総合スコアで約5%程度。普段使いでの使用感はほとんど変わりません。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1355U | 1719 | 883 | 163 |
Core i5-1335U | 1808 | 916 | 175 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core i7-1355UがCore i5-1335Uよりも早く変換を完了していますが、その差はわずか4~5%。また、QSVでも約7%差と小さめです。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1355U | 3062 | 1519 | 215 |
Core i5-1335U | 3030 | 1504 | 242 |
次に重量級のH.265をチェック。H.264とは打って変わって、ソフトウェアエンコードではCore i5が逆転しますが、ほぼ互角。一方、QSVではCore i7がCore i5に約11%差をつけています。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1355U | 30 | 166 |
Core i5-1335U | 30 | 209 |
このテストはCPU勝負で、軽めのDNG変換では全く同じ。一方、重量級のJPEG変換ではCore i7-1355UがCore i5-1335Uより早く変換を完了し、約21%と大きめの差をつけています。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
フルHD | 9720 | 11461 | 12114 |
オンラインゲーム屈指の軽量級ゲームということで、フルHDでスコア10000を軽々突破します。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 6774 | 9046 | 10069 |
フルHD | 3992 | 5616 | 7299 |
重めのゲームなので、スコア9000オーバーには、解像度をHDまで落とす必要があります。フルHDでオンラインゲームを楽しめるのは、ドラクエ10やVALORANTなど軽めのものに限られ、基本的にはHDが適正レベルですね。
以前はまともに動かすことすら厳しかったことを考えると、大幅な進化を遂げているのは確かですが、ゲームで使うにはまだまだ性能が足りません。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは超大容量の1TB SSDを搭載しており、動画や画像などかさばるデータ類を多く保存できます。もちろん、SSDは通常タイプよりも4~5倍速いNVMeタイプを採用し、メーカーはKIOXIAとなっています。
その実力ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは1000~3000MB/s台と控えめですが、ランダムの速度は最高600~700MB/sとかなり良好。ランダム速度が光りますが、シーケンシャルがごくごく普通レベルということで、トータルではスタンダードクラスのNVMe SSDといった感じですね。
もちろん、OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動いて、とても快適です。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
安定性重視の動作システムとなっており、ピーク時ではP-コアの温度が80℃前後、動作クロックは2.5~2.6GHzに抑えています。スリム&コンパクトモデルでは標準的な温度&動作クロックですね。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルを超えるとノイズ感が気になるようになりますが、この通り52.6デシベルと大きく上回っています。ファンは豪快に回転しており、少しうるさく感じます。
なお、最小時は46.9デシベルとありますが、アイドル状態なので、ほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、標準
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は、約10時間40分と、モバイルノート目安となる10時間をしっかり超えています。これなら出先でも安心して使えます。
便利なユーティリティー機能
システムコントロールでは、動作モードの変更やファンクションキーの設定などをワンストップで変更できます。とてもシンプルなツールで、わかりやすいのがいいですね。
サウンドシステムは、有名どころの”Dolby Atmos”を搭載しており、イコライザで好みのサウンドを設定できます。
肝心の音質ですが、低音~高音まで伸び、重低音もしっかり再現。サラウンドも効いていますが、肝心の音質が軽めなので、いまいち迫力に欠けます。
まとめ&関連モデル
傾斜の付いたリフトアップヒンジや指紋&顔認証センサーなど、スタンダードモデルながら高いクオリティを実現。また、14インチモデルで1.3kg台と軽く、携帯性も優れています。価格は12万円台~とVAIOにしてはかなり安く、コスパも優れています。
14インチのモバイルノートで、キーボードの品質を特に重視するならおすすめです。リフトアップヒンジの傾斜角は一級品ですね。
VAIO F14[ベースモデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ フルHD ノングレア
■CPU:Core i3-1315U
■メモリ:8GB
■グラフィック:UHD Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■価格:122,800円(税込)~
カスタマイズのベースとなるモデルです。6コア8スレッドのCore i3-1315Uを搭載しており、ブラウジングやオフィス作業はもちろん、軽めの編集作業にも使えます。
なお、編集作業でのパフォーマンスを重視するなら、Core i5-1335U×16GBメモリがおすすめです。