今回レノボの【ThinkBook 13x Gen.4】をお借りしました。ビジネスユースにも便利な、高品質&高コスパの軽量13インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
ThinkBook 13x Gen.4(Core Ultra 5搭載) | |
カラー | ルナグレー |
サイズ | W292.9×D205×H12.9mm |
重量 | 約1.17kg(実測1184g) |
OS | Windows 11 Home |
CPU | Core Ultra 5 125H(14コア18スレッド・定格3.3/最大4.5GHz) |
メモリ | 16GB(オンボード・DDR5X-8400) |
ストレージ | 512GB SSD(PCI-e NVMe) |
グラフィクス | Intel Ark(7コア) |
ディスプレイ | 13.3インチ、2.8K(2880×1920)、ノングレア、IPSパネル、120Hz、 HDR400、500nit、sRGB 100% |
インターフェース | USB Type-C Thunderbolt4×2、USB3.2 Gen.1 Type-A、HDMI 1.4、 マイク入力/ヘッドフォン出力 |
光学ドライブ | × |
カメラ | フルHD Webカメラ |
スピーカー | ステレオ スピーカー |
キーボード | バックライト付き日本語キーボード |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
バッテリー | 動画再生時 約12.1時間・アイドル時 約 32.9時間(JEITA 測定法 3.0) |
保証 | 1年(最大5年) |
価格 | 160,930円(税・送料込)~ |
電源アダプタ(65W・179g)/各種マニュアル
外観
高級感あふれるデザイン
重厚感のあるブラックボディの、いかにもビジネス向けなThinkPadとは異なり、ThinkBookではライトグレーのカジュアルなイメージに仕上がっています。どちらかというと一般ノートブランドの”IdeaPad”に近い印象を受けますね。
ボディの素材は、天板にはアルミニウム、シャーシにはアルミニウム&マグネシウム合金を採用しています。頑丈な金属ボディということで、持ち運びも安心です。
タフ&軽量のマグネシウム合金を使うことで、軽量ボディを実現しているのがミソ。
デザインはレノボらしく、装飾を極力排した機能美あふれるシンプルなもの。クセがなく、ビジネスシーンにもうまくマッチします。
上下で風合いを変えているほか、サイドが美しいヘアライン加工となっており、デザイン面でいいアクセントになっているのもポイントです。
コンパクト&軽量ボディ
ボディのサイズは、携帯性と視認性のバランスに優れた13インチで、モバイルノートではまずおすすめ。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリムにすることで、横幅と奥行きを圧縮。
A4ファイルサイズとは比べるまでもなく、A4用紙サイズのコンパクトボディを実現しています。
また、厚さも12.9mmと圧倒的にスリムなので、かばんにサッと収納できます。マグネシウムを採用したコンパクト&スリムボディということで、重さは実測で1184gと非常に軽く、持ち運びもラクラクです。
ちなみに、一般的な13インチモバイルノートは1.2~1.3kgが標準的な重さとなっており、軽さは頭一つ抜けています。
最新規格のインターフェース
コンパクト&スリムな13インチですが、インターフェースのラインナップはしっかりポイントをおさえています。
USBは全3ポートと標準的な数を搭載し、すべてが小型&リバーシブルのType-Cポートとなっています。従来のType-Aポートが無いのは不便ですが、割り切って変換アダプタを使うなりしましょう。
新規格にはバッチリ対応しており、40Gbpsの超高速転送ができる”Thunderbolt4”に対応しています。1つだけではなく、すべてのポートがThunderbolt4というのはポイント高いですね。
映像出力ポートはありませんが、USBポートで出力可能です。まさに最小限といったところ。
ちなみに、右サイドにはカメラのキルスイッチを搭載し、プライバシーにしっかり配慮されています。さらに、電源ボタンには指紋認証センサーを内蔵しており、セキュリティ面も安心です。
ディスプレイ&キーボード
高品質ディスプレイ搭載
ディスプレイのサイズは13.5インチですね。オーソドックスな13.3インチよりもちょっぴり大きくなっています。
ディスプレイのクオリティが高く、なんと2.8K(2880×1920)の高解像度ディスプレイを搭載しています。オーソドックスなフルHDに比べ解像度が高いため、精細な映像を描写できるほか、一度に表示できる情報量も多くなり、各種作業がよりはかどります。
ちなみに、ディスプレイの比率は3:2という変わり種で、現在主流の16:9や16:10の中間タイプとなっています。ディスプレイサイズの大型化のために採用した感じでしょうか。
このモデルでは、ブルーライト低減パネルを搭載しているのがポイント。液晶パネル自体がブルーライトを低減するので、別途フィルムを用意したり、ディスプレイの発色を変えたりする必要がありません。自然な発色と目の疲れにくさを両立した、優れたパネルとなっています。
また、リフレッシュレートが120Hzという高速仕様となっています。1秒間に描写できる枚数は、通常の60Hzディスプレイの2倍!滑らかな描写性能により、動きの激しいFPSゲームなどに最適です。
さらに、パネルは発色に優れたIPSパネルを採用し、高輝度のDisplayHDR 400(500nit)に対応する凝りよう。明るく鮮やかな映像クオリティで動画鑑賞などにも最適です。視野角も広いので、横から覗いても色むらはほとんどありません。
ちなみに、sRGB 100%と色域も広めになっており、動画や画像編集で色の精度を重視する方にもおすすめ。
完成度の高いキーボード&タッチパッド
横幅の狭いコンパクトモデルということで、テンキーレスキーボードを採用。
キーは一部連結されているものの、各キーは大きめで、配置そのものもクセがなく素直。キーピッチも約19mmとデスクトップ並みのゆとりが確保されているので、誤爆の心配はまずありません。電源ボタンがキーボード内ではなく、右サイドに独立して配置されているのもいいですね。
ビジネスユースを意識しており、Microsoft Teams 10での通話の受信と終了が行えるキーを配置。そのほか電卓キー・カスタマイズ対応キー・ファンクションロックキーも装備しており、とても便利です。
もちろんトレンドの白色LEDもしっかり内蔵しています。薄暗い場所でタイピングしやすいのはもちろん、見た目も華やかになり、高級感を演出します。なお、ファンクションキーで2段階+OFFの切り替えが可能なので、LEDが苦手な方も安心。
キーストロークは浅めで、だいぶあっさりした打鍵感ですね。ちょっと物足りない感じなので、もう少し深さが欲しいところ。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
表面はサラサラした材質で、カーソル操作は非常にスムーズ。クリックボタンはやや押し込む必要があるものの、安っぽいバタつきもなく、しっかり造り込まれています。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテルのCore Ultra 5 125H(14コア18スレッド)&Core Ultra 7 155H(16コア22スレッド)を搭載しています。新たに登場したCPUはネーミングを刷新し、従来の”Core i”から”Core Ultra”に変更されています。
CPUの設計にも手が加えられ、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、従来のWコア構成をベースにしつつ、新たに”LP E-core”が追加されているのがポイント。これはE-コアをさらに省エネにしたもので、低負荷の作業では、さらに低電力で処理できるようになっています。
そのほかの新機能として、AI処理に特化した省電力エンジン(NPU)・Intel AI Boostを搭載。”Adobe Premiere Pro”のAI機能や”Stable Diffusion Web UI”などをお手軽に使うことができます。
このモデルはブーストがよく効いており、”超高パフォーマンス”では性能が大きく向上します。
参考までに、上位のCPU・Core Ultra 7 155H(16コア22スレッド)と比較してみると、シングルスコアは約1%以内、マルチスコアは約6%差まで迫ります。
3DMARK
”3DMARK”は、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
Vulkan(Wild Life)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィックは、”Intel Arc GPU”となっています。
内蔵グラフィックにしては性能がすこぶる高いのですが、GTX 1650よりも約10~20%ほど性能が低いため、ゲーム用として使うにはやや力不足といったところです。フルHDでのゲーミングなら、正直なところGTX 1660くらいの性能は欲しいですね。
ちなみに、Core Ultra 7 155HはGPUコアを8基、Core Ultra 5 125Hは7基搭載してるのがポイント。違いはGPUコア1基のみということで、両者の性能差は約5%ほどとなっています。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Time Spy | 3737 | 3378 | 9417 | ー |
Night Raid | 27452 | 36504 | 11414 | ー |
Fire Strike | 8249 | 8844 | 22293 | 3368 |
Sky Diver | 27007 | 28432 | 21105 | 28238 |
Wild Life | 23274 | ー | ー | ー |
PCMark 10
”PCMark 10”は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。動画や画像編集でも十分使える性能です。
なお、Core Ultra 7 155HとCore Ultra 5 125Hとの差は、総合スコアで約5%程度。基本的にはCore Ultra 5を選んでおけばOK!
TMPGEnc Video Mastering Works 7
”TMPGEnc Video Mastering Works 7”を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 7 155H | 1237 | 646 | 145 |
Core Ultra 5 125H | 1135 | 580 | 140 |
ブースト性能がしっかり効いており、CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core Ultra 7 155Hを逆転。約8~10%差をつけています。
なお、グラフィック機能を利用したハードウェアエンコードはほぼ互角です。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 7 155H | 2236 | 1082 | 139 |
Core Ultra 5 125H | 2027 | 1026 | 139 |
重量級のH.265でも同じような傾向となり、Core i5が逆転。ソフトウェアエンコードでは約5~9%差、ハードウェアエンコードではほぼ同じとなっています。
ブーストしても性能が落ち込まないのは好印象ですね。
Lightroom Classic CC
”Lightroom Classic CC”を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で記載しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
Core Ultra 7 155H | Core Ultra 5 125H |
94 | 106 |
画像変換もCPU勝負となりますが、このテストではCore Ultra 7 155Hが有利で、Core Ultra 5 125Hに約11%差をつけています。
FF14(ファイナルファンタジー14 黄金の遺産)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 7284 | 9766 | 11814 |
フルHD | 4305 | 7798 | 8714 |
2.8K | 1998 | 4415 | 4680 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
アップスケーリングのFSRを適用していますが、スコア9000を超えるのはHDのみ。ゲーミングPCならフルHDでスコア9000を余裕で越えたいところですが、さすがに内蔵グラフィックでは厳しいです。
VALORANT(ヴァロラント)
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
HD | 233(177)fps | 285(185)fps | 327(228)fps |
フルHD | 178(147)fps | 205(157)fps | 239(193)fps |
2.8K | 101(92)fps | 110(100)fps | 133(123)fps |
超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。このクラスなら余裕で対応でき、2.8Kでも平均100fps以上を超えてきます。
Rainbow Six Siege(レインボーシックスシージ)
ゲーム設定:最高/超高/高/中/低(レンダリング解像度”50”)
プレイモード:カジュアル(マルチプレイ)
平均(最低)fps | 最高 | 超高 | 高 | 中 |
HD | 140(133)fps | 162(149)fps | 172(162)fps | 192(180)fps |
フルHD | 89(83)fps | 93(88)fps | 115(107)fps | 129(122)fps |
2.8K | 42(40)fps | 47(45)fps | 54(51)fps | 64(60)fps |
軽めのFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。
2.8Kこそ厳しいものの、フルHDでは120Hzディスプレイを生かすことも可能です。軽めのゲームであれば対応できるレベルの性能ですね。
Apex Legends(エーペックス レジェンズ)
ゲーム設定:最高/低(fpsリミット解除)
プレイモード:射撃訓練場
平均(最低)fps | 最高 | 低 |
HD | 91(70)fps | 119(93)fps |
フルHD | 49(40)fps | 67(61)fps |
2.8K | 28(8)fps | 32(29)fps |
標準的なグラフィック負荷のFPSゲームです。競技性が高いので、できれば平均100fps以上をキープしたいところ。
グラフィック負荷が上がるとフルHDではパワー不足になり、設定を落としても平均60fpsをクリアするのがやっと。外出先で軽めのゲームをサクッと楽しみたいならアリといったところでしょうか。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、512GB SSD(サムスン)を搭載しています。256GBの2倍という容量の多さで、動画や画像などかさばるデータ類も多めに保存することができ、爆速のPCIe Gen.4規格を採用しています。
速度は1TB SSDの方が速く、シーケンシャル(連続データ)の速度は2000~6000MB/s台けっこうムラがある感じ。また、ランダムの速度もGen.3クラスとなっており、オーソドックスなGen.4 SSDといったところです。
もちろん、実際の使用感はSSDらしくとても快適。OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
温度の限界まで性能を引き出す動作システムとなっており、ピーク時のP-コアの温度は100℃、動作クロックも2.6~2.9GHzと高めをキープ。冷却性能は高めです。
動作音
CINEBENCH R23実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。
50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時でも49.5デシベル台とやや下回っています。サーっとしたファンノイズはとても静か。性能はしっかりでているのにこの静かさはグッド!
ちなみに最小時では46.9デシベルとなっており、アイドル状態のためほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、インテリジェント・クーリング
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は8時間40分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間は超えないものの、5時間を大きく超えるので、出先でも使えます。バッテリー重視なら、バッテリー省電力モードにするのがおすすめです。
充実したユーティリティー機能
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。動作モードや各種デバイスの設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには、有名どころの”harman/kardon(Dolby)”を採用しています。
肝心の音質ですが、重低音~高音までしっかり伸び、とても迫力があります。重厚な音質でサラウンドもバッチリ効いており、内蔵スピーカーらしからぬ高いクオリティです。スピーカーの完成度の高さは、さすがレノボといったところですね。
まとめ
アルミニウム×マグネシウム合金のタフボディは、約1.17kgと非常に軽く持ち運びもラクラク。高品質ディスプレイを搭載するほか、性能面でもブーストがよく効いており、トータルで非常に高いクオリティを実現しています。
この内容で価格は16万円台と安くコスパに優れており、ワンランク上の13インチモバイルノートが欲しい方におすすめ。