今回デルの【Inspiron 14 5000[5445]】をお借りしました。価格の安さ高いコスパが魅力の14インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
Inspiron 14 5445(Ryzen 5搭載) | |
カラー | アイスブルー・カーボンブラック |
サイズ | W314.00×D226.15×H16.90~19.90mm |
重量 | 約1.61kg(実測1635g) |
OS | Windows 11 Home |
CPU | Ryzen 5 8540U(6コア12スレッド・定格3.2/最大4.9GHz) |
メモリ | 16GB(8GB×2・DDR5-5600) |
ストレージ | 512GB SSD(PCI-e NVMe) |
グラフィクス | Radeon 740M |
ディスプレイ | 14.0インチ、FHD+(1920×1200)、ノングレア、IPSパネル、250nit |
インターフェース | USB3.2 Gen.2 Type-C×1、USB3.2 Gen.1 Type-A×2、HDMI 1.4、 SDスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力 |
光学ドライブ | × |
カメラ | HD Webカメラ(30fps) |
スピーカー | ステレオ スピーカー(2W×2) |
キーボード | 日本語キーボード |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | Bluetooth 5.2・5.3 |
バッテリー | ー |
保証 | 1年(最大4年) |
価格 | 74,980円(税・送料込)~ |
電源アダプタ(65W・223g)/電源ケーブル(105g)/各種マニュアル
外観
クセのないシンプルボディ
ボディはオーソドックスな樹脂製ですね。わりと厚めに造られているので、剛性は高めとなっています。
デザインはデルらしくとてもシンプルで、装飾は天板のロゴのみ。クセがないので使う人・シーンを選びません。
なお、カラバリはアイスブルー&カーボンブラックの2色を用意。貸出機はアイスブルーですが、淡い色合いでとても上品ですね。
ちなみに、底面はこんな感じです。
コンパクトボディ
ボディのサイズは14インチですね。大きめのディスプレイを搭載したモバイルノートとして、最近人気のサイズです。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリム仕様にすることにより、横幅と奥行きを圧縮。
ほぼA4ファイルサイズと同じ大きさということで、カバンに収納しやすくなっています。
ただし、肝心の重さは実測で1635gとなっており、14インチモデルにしては重いのがネック。1.5kgをオーバーすると重さを感じるようになり、持ち運びには正直不向きですね。
さらに言ってしまうと軽量の15インチモデルに匹敵するレベルなので、低価格モデルとはいえ、もう少し何とかしてほしいところ。
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。
ポイントをおさえたインターフェース
基本的なインターフェースは一通りそろっています。
USBは全3ポートとモバイルノートでは標準的な数を搭載。小型&リバーシブルのType-Cポートのほか、通常のType-Aポートも装備しており、あらかたの周辺機器を接続可能です。
画像出力にはHDMIポートが用意され、その他Type-CポートはDisplayPort出力を兼ねています。そのほかSDスロットも装備しており、普段使いに便利なラインナップです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイは14.0インチきっかり。13インチよりも一回り大きく、やはりゆとりがありますね。携帯性を重視しつつ、ディスプレイの大きさにもこだわるならおすすめのサイズです。
ディスプレイの解像度はWUXGA(FHD+・1920×1200)、ディスプレイ比率は16:10と、最近はやりのスタイル。主流のフルHD(16:9タイプ)よりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。
ディスプレイのパネルには、IPSパネルを採用。美しい発色と高いコントラストで、くっきり鮮やかな映像クオリティを実現。動画鑑賞などにも最適です。
また、視野角も広く、横から覗いても色むらは少なめなのも◎。
なお、輝度は250nitとごく標準的な明るさとなっています。悪くはないのですが、300nitあればベターでしたね。もう少し明るさが欲しいというのが本音です。
完成度の高いキーボード
13インチよりも横幅は大きいものの、テンキーは非搭載ですね。
一部のキーが連結されているものの、各キーは大きめに造られ、配置そのものも素直。キーピッチは約19mmとデスクトップキーボード並みのゆとりが確保されているので、誤爆の心配はまずありません。
唯一気を付けるとしたら、一番右上の電源ボタンでしょうか。ただ、ほかのボタンよりも固めになっており、普通に押したくらいでは反応しないので、そこまで心配する必要はなし。
ファンクションキーは必要最低限のいたってオーソドックスな内容です。
キーストロークはノートにしてはやや深く、適度な反発も相まって打鍵感は良好です。また、キーボード面の剛性が高く、タイプ圧が強い方も安心。
なお、キーボードのバックライトは非搭載となっています。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドはクリックボタンとパッドが一緒になった、オーソドックスな一体型のタイプです。
パッド表面はサラサラした材質で、カーソル操作は非常にスムーズですが、クリックボタンは押し込まないと反応しないのが玉に瑕。ただし、クリック音が比較的静かなのはいいですね。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはAMDのRyzen 5 8540U(6コア12スレッド)を搭載。ZEN 4アーキテクチャをベースにしており、前世代の7000シリーズから性能が強化されています。
参考までに、インテルのCore Ultra 5 125U(12コア14スレッド)両者を比較してみると、シングルスコアは約11%上回り、マルチスコアはほぼ互角となっています。
なお、インテルCPUの特徴としてAI機能に対応していることが挙げられますが、あってないようなものなので、特にこだわる必要はありません。
3DMARK
”3DMARK”は、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
Vulkan(Wild Life)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィックは、”Radeon 740M”となっています。オンラインゲームには不向きですが、基本的な動画・画像編集なら十分対応可能です。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Time Spy | 1710 | 1521 | 5847 | ー |
Night Raid | 15244 | 17716 | 8514 | ー |
Fire Strike | 3713 | 4052 | 15039 | 1347 |
Sky Diver | 12599 | 12412 | 13740 | 12461 |
Wild Life | 6927 | ー | ー | ー |
PCMark 10
”PCMark 10”は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。動画や画像編集でも十分使える性能です。
なお、両者の差は総合スコアで約6%程度と大差ありません。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
”TMPGEnc Video Mastering Works 7”を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSV/VCEでエンコードしています。なお、QSV/VCEはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV/VCE |
Ryzen 5 8540U | 1541 | 832 | 141 |
Core Ultra 5 125U | 1721 | 880 | 158 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Ryzen 5 8540Uが有利で、両者の差は約5~10%となっています。
また、グラフィック機能を利用したハードウェアエンコードでも、Core Ultra 5 125Uに約11%差をつけています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV/VCE |
Ryzen 5 8540U | 2317 | 1188 | 135 |
Core Ultra 5 125U | 2477 | 1460 | 151 |
重量級のH.265でもRyzen 5が有利なのは変わらず、ソフトウェアエンコードでは約6~19%差をつけ、ハードウェアエンコードではほぼ同じです。
Lightroom Classic CC
”Lightroom Classic CC”を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で記載しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
Ryzen 5 8540U | Core Ultra 5 125U |
130 | 160 |
画像変換もCPU勝負となりますが、こちらもやはりRyzen 5 8540Uが強く、Core Ultra 5 125Uとの差は約19%となっています。純粋な6コア12スレッドのほうが使い勝手はいいですね。
VALORANT(ヴァロラント)
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
WXGA | 184(141)fps | 188(151)fps | 212(173)fps |
WUXGA | 119(105)fps | 133(119)fps | 156(139)fps |
超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。このクラスなら内蔵グラフィックでも余裕で、WUXGAで平均100fpsを狙うことができます。
ただし、ディスプレイが60㎐なので、最大60fpsまでしか出ない点には注意。
FF14(ファイナルファンタジー14 黄金の遺産)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
WXGA | 3626 | 6684 | 7016 |
WUXGA | 2139 | 4363 | 4649 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
アップスケーリングのFSRを適用していますが、いずれの解像度でもスコア9000をクリアできません。重めのゲームだと全く歯が立たないですね。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、512GB SSD(KIOXIA)を搭載しています。256GBの2倍という容量の多さで、動画や画像などかさばるデータ類も多めに保存することができ、爆速のPCIe Gen.4規格を採用しています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の速度は2000~5000MB/s台とバラつきがあり、ランダムの速度もGen.3クラスということで、オーソドックスなGen.4 SSDといったところです。
もちろん、実際の使用感はSSDらしくとても快適。OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
ピーク時の温度は60℃台後半と低めながら、動作クロックは最大3.1GHzとしっかり伸びており、冷却性能はとても優秀ですね。
動作音
CINEBENCH R15実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。
50デシベルが目安となりますが、ピーク時で49.6デシベルと若干下回っています。ファンは高速回転していますが、ノイズ感はだいぶ控えめで、うるさく感じません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとなっており、アイドル状態のためほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、静音
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は11時間20分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間をしっかり超え、出先でも安心して使えます。
充実したユーティリティー機能
便利なユーティリティー機能をしっかり完備。
”My Dell”では、PCの動作モードやバッテリーの管理、ディスプレイのカラー設定など、システム面の各種設定を一通りカバーしています。
そのほか、サポート機能も装備しており、”SupportAssist”では、ドライバのアップデートからハードのスキャンまでワンストップで実行できます。また、サポート窓口のアクセスのカバーし、万が一の場合でも安心です。
サウンド調整機能はデルのオリジナルとなっており、イコライザーやサラウンドなど必要な機能はそろっています。
なお、スピーカーの音質ですが、低音~高音まで伸びるものの、重低音は弱め。また、音質に厚みがあるほか、サラウンドも効いており、スタンダードモデルにしては十分なクオリティです。
まとめ
高性能のRyzen 5を搭載しつつ、価格は8万円台と安く、コスパは良好。ただ、本体の重さが約1.6kg台と重いのがネックですね。14インチモデルで性能を重視しつつ、予算を抑えたいというならありといったところです。