今回レノボの【IdeaPad Slim 170 15.6型(AMD)】をお借りしました。
実用的な15インチモデルがなんと5万円台から!圧倒的な価格の安さを誇るベーシックノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2023年5月15日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
シンプルなデザイン
ベーシックモデルということで、造りはとてもシンプル。
ボディはオール樹脂製となっており、一部にアルミニウムを採用した上位シリーズとは、しっかり差別化されています。天板の処理もマットな感じではなく、ツルツルした仕上がりで、樹脂っぽさそのままといったところ。
デザインは機能美を追求した、いつものIdeaPadクオリティですね。
プレーンボディにはロゴのみと非常にシンプル。グレーの洗練されたカラバリも相まって、使う人を選ばない万能デザインに仕上げています。
もちろんトレンドのスリムベゼルを採用。ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右にスリムにすることで、コンパクトボディを実現しています。
また、厚さは17.9mmと2cm以下のスリムボディということも相まって、重さは実測で1611gと軽め。さすがにモバイルノート並みとはいきませんが、ちょっとした持ち運びにも便利です。
スタンダードなインターフェース
インターフェースもやはりシンプル。
USBは全3ポートと、15インチモデルにしてはやや少なめ。規格はUSB 3.2 Gen.1&2.0のオーソドックスなラインナップで、そのうち左側面のUSB 3.2ポートは、小型&リバーシブルのType-C端子を採用。
通常のType-A端子とあわせ、あらゆる周辺機器を接続できます。
そのほか映像出力用のHDMIポートやSDスロットを搭載しています。派手さはありませんが、普段使いに必要なものは一通りそろっています。
もちろん、レノボのモデルではおなじみ、カメラ部分のシャッターをバッチリ装備。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするので、プライバシー面も安心です。
ディスプレイ&キーボード
フルHDディスプレイ搭載
ディスプレイサイズは15.6インチですね。モバイルノートの13インチ&14インチよりもさらに大きく、だいぶゆとりがあります。据え置きで使うなら15インチがまずおすすめ。
解像度は現在主流のフルHDで表示領域が広く、大きめのディスプレイサイズも相まって、オフィス作業にも最適。なお、表面は映り込みの少ないノングレアタイプなので、作業に集中できるのも◎。
ディスプレイのパネルは、ベーシックなTNパネルを採用。IPSパネルと比べると、発色が弱く、淡白で白っぽい感じの映像クオリティですね。ぱっと見で白さがわかるほど。
なお、視野角が狭いので、横から見ると色ムラがあります。このあたりも割り切りが必要です。
ゆとりのあるキーボード
横幅の広い15インチサイズなので、テンキーをバッチリ搭載しています。
基本的なキーは大きめに造られ、一部連結キーこそあるものの、テンキー含め配置そのものは素直。キーピッチは約19mmとデスクトップキーボードなみのゆとりを確保しており、誤爆の心配はまずありません。電源ボタンが右上に独立して配置されているのもグッド。
ファンクションキーの内容も充実しており、電卓キーやメディアキーのほか、カスタマイズ可能なキーを装備。さらにファンクションキーのロック機能も備えており、とても便利です。
キーストロークは浅めで、反発も軽くあっさりした打鍵感です。最近のモデルはキーストロークが深めのものが多いので、どうしても物足りなさを感じてしまいます。さらに、キーボード面の剛性が弱く、このあたりも価格なりといったところ。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
タッチパッドはサラサラした感触ですが、適度に抵抗があり、滑りすぎない操作感です。一方、クリックボタンの操作性がイマイチで、しっかり押し込まないと反応せず、クリック音も大きめ。。
キーボード・クリックボタンともに、今一つといったところですね。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、AMDの第7世代4コア8スレッドCPU・Ryzen 5 7520Uを搭載しています。最新世代のCPUではありますが、3世代前となる”ZEN 2アーキテクチャ”をベースにしているため、性能は低め。
なお、ワンランク上のRyzen 5 7530Uは、”ZEN 3アーキテクチャ”を採用し、6コア12スレッド構成ということで性能は高くなっています。名前こそRyzen 5 7520Uに似ていますが、全くの別物です。
参考までに、同じく”ZEN 3アーキテクチャ”を採用した前世代の6コア12スレッドCPU・Ryzen 5 5625Uと比較すると、シングル性能は約21%、マルチ性能は約63%もの差がついています。
ZEN 2ベースのCPUはシングル性能が低いので、体感では動作にキレがなく、少しもたつき感がありますね。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィック機能は、”Radeon 610M”となっています。性能は最低限なので、軽めのオンラインゲームも厳しいです。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 632 | 553 | 3366 | ー |
Fire Strike | 1614 | 1748 | 11408 | 565 |
Night Raid |
7744 | 8059 | 6344 | ー |
Sky Diver | 5564 | 5125 | 9382 | 5752 |
Cloud Gate | 8332 | 11385 | 4299 | ー |
Ice Storm | 75035 | 81784 | 58221 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、しっかりクリア。普段使いであれば十分使える性能です。
なお、Ryzen 5 5625Uとの差は、総合スコアで約34%とかなり大きく、動画や画像編集でもガッツリ使うならRyzen 5 5625U(最新世代ならRyzen 5 7530U)がおすすめ。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCEでエンコードしています。なお、VCEはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 5 7520U | 2316 | 1188 | 189 |
Ryzen 5 5625U | 1524 | 759 | 171 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、ZEN 3+ベース&コア・スレッド数の多いRyzen 5 5625Uがだんぜん有利。両者の差は約34~36%とかなり大きめです。
また、グラフィック機能を利用したハードウェアエンコードでも、Ryzen 5 5625Uが約10%早く変換を完了しています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE |
Ryzen 5 7520U | 3855 | 1889 | 186 |
Ryzen 5 5625U | 2791 | 1386 | 173 |
重量級のH.265でも同じような傾向となり、両者の差はソフトウェアエンコードでは約27~28%、ハードウェアエンコードでは約7%となっています。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Ryzen 5 7520U | 52 | 322 |
Ryzen 5 5625U | 30 | 208 |
画像変換もCPU勝負となりますが、こちらもやはりRyzen 5 5625Uが有利。Ryzen 5 7520Uとの差は、軽めのDNG変換で約42%、重量級のJPEG変換では約35%となっています。
ドラクエ10
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 5847 | 6660 | 7557 |
フルHD | 3765 | 4657 | 5580 |
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
超軽量級のオンラインゲームですが、フルHDでは低品質まで落とさないとスコア5500をクリアできません。Ryzen 5 5625Uでは最高品質でもしっかりクリアするので、パワーは物足りないものがあります。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 3103 | 4413 | 5761 |
フルHD | 1612 | 2351 | 3602 |
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。快適にプレイするなら、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
重めのゲームともなると、HDに落としても全く歯が立ちません。高性能の内蔵グラフィック・Iris Xe Graphicsでも厳しいので、このクラスのゲームならゲーミングノートがおすすめです。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは256GB SSDを搭載しています。編集用途で使うには少ないものの、ブラウジングやオフィス作業くらいならこれで十分です。なお、SSDは通常のSSDよりも4~5倍速いNVMeタイプのSSDで、サムスン製となっています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは1000MB/s止まり、ランダムの読み書きもイマイチ速度が伸びません。ZEN 2世代のCPUということもあり、全体的に速度が伸び悩んでいる感じですね。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
安定性重視の動作システムとなっており、ピーク時では80℃前後に抑え、2.1GHzと低めの動作クロックキープしています。
動作音
CINEBENCH R15実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。
50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時でも50.8デシベルと、ほぼきっかりをマーク。ファンは高速回転していますが、ノイズは控えめなので、さほど気にならないですね。
ちなみに最小時では46.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、インテリジェント・クーリング
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は11時間20分をマーク。10時間を超えており、電源のない環境でも安心して使えます。ベーシックモデルにしてはとても優秀!
便利なユーティリティーソフトを完備
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。各種動作設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには、有名どころの”Dolby”を採用しています。Lenovo Vantageでは使う場面に応じ、ワンタッチで簡単に変更できるほか、Dolbyの専用アプリで好みのサウンドを設定できます。
なお肝心の音質ですが、重低音こそ弱いものの、低~高音までよく伸び、サラウンド効果も感じられます。なお、音質に厚みがあればベターでしたが、この価格なら十分なクオリティです。
まとめ
とにかく安い!最近ではPCが値上がりしており、15インチノートで5万円台というのはこのモデルくらいのものです。
完成度は価格なりといったところですが、ポイントはしっかり押さえており、十分実用的。15インチモデルでとことん価格の安さにこだわるならおすすめです。