今回HPの【HP EliteBook 830 G11】をお借りしました。ビジネスユースにも便利な、高品質&高コスパの軽量13インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
EliteBook 830 G11(Core Ultra 7搭載) | |
カラー | ー |
サイズ | W300.1×D215.05×H19.2mm |
重量 | 約1.288kg(実測1312g) |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Core Ultra 7 165U(12コア14スレッド・定格1.7/最大4.9GHz) |
メモリ | 16GB(オンボード・LPDDR5) |
ストレージ | 512GB SSD(PCI-e NVMe) |
グラフィクス | Intel Graphics(4コア) |
ディスプレイ | 13.3インチ、WUXGA(1920×1200)、ノングレア、IPSパネル、400nit |
インターフェース | Thunderbolt4×2、SuperSpeed USB Type-A 5Gbps×2、HDMI 1.4、 マイク入力/ヘッドフォン出力 |
光学ドライブ | × |
カメラ | HPプライバシーカメラ(5MP) |
スピーカー | ステレオスピーカー(Audio by Poly Studio) |
キーボード | バックライト付き日本語キーボード |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
バッテリー | MobileMark 25:最大約16時間 、JEITA測定法Ver3.0:最大約22時間28分 |
保証 | 1年(最大5年) |
価格 |
電源アダプタ(65W・205g)/電源ケーブル(106g)/変換アダプタ(41g)/各種マニュアル
外観
スタイリッシュなフィルム
スタンダードモデルながらクオリティが高く、天板にはアルミパネルを採用しています。
金属ならではの高い質感もさることながら、剛性が高いため、開け閉めの際にたわみにくいのもポイントです。
スタイリッシュなシルバーボディーにはロゴのみと非常にシンプルなデザインとなっており、ビジネス用途にぴったりです。
サイドがラウンドフォルムなので、手にフィットしやすく持ち運びしやすいのもポイント。
コンパクト&軽量ボディ
ボディのサイズは、携帯性と視認性のバランスに優れた13インチで、モバイルノートではまずおすすめ。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリムにすることで、横幅と奥行きを圧縮。
A4ファイルサイズとは比べるまでもなく、A4用紙サイズのコンパクトボディを実現しています。
肝心の重さは実測で1312gと軽く、携帯性は上々。なお、13インチで1.3kgは標準クラスの重さです。
最新規格のインターフェース
コンパクト&スリムな13インチですが、インターフェースのラインナップはしっかりポイントをおさえています。
USBは全4ポートと13インチモデルにしては多めに搭載。小型&リバーシブルのType-Cポートのすべてが、40Gbpsの超高速転送ができる”Thunderbolt4”に対応してるのはいいですね。
さらに、従来のType-Aポートも搭載しているため、周辺機器の接続にバッチリ対応します。
映像出力用としてHDMIポートが用意されているほか、Type-CポートがDisplayPort出力に対応しています。
セキュリティ対策も万全
プライバシーにもしっかり配慮され、カメラ部分にシャッターを装備。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
さらに、指紋認証センサー&顔認証センサーを装備しており、セキュリティ面も万全です。
ディスプレイ&キーボード
鮮やかな高輝度ディスプレイ
ディスプレイサイズは13.3インチサイズで、WUXGA(1920×1200)と標準的な解像度です。
また、ディスプレイ比率は16:10というのもポイント。主流の16:9タイプよりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。
パネルの発色・コントラストともに良好で、輝度も400nitと明るくなっており、くっきり鮮やかな映像クオリティとなっています。
視野角も広く、横から見ても色むらはありません。詳細は不明ですが、IPSパネルに近いクオリティですね。
完成度の高いキーボード
キーボードは13インチボディということで、テンキーレス仕様ですね。
各キーは大きく造られ、それぞれ独立してしており、配置そのものも素直。キーピッチも約18.7mmとしっかり間隔を確保しているため、誤爆の心配はまずありません。
気を付けるとしたら電源ボタンくらいですが、ほかのキーより硬めで、しっかり押さないと反応しないので、そこまで心配する必要はありません。
ファンクションキーは基本的なものにプラスして、便利なカスタマイズ対応キーが用意されています。
キーストロークは一般的なモデルに比べ深く、反発も高くなっており、しっかりした打鍵感で快適にタイピングできます。また、キーボード面の剛性も高く、安定感もバツグンです。
もちろん、トレンドの白色LEDを内蔵しています。華やかな輝きで高級感があり、薄暗い場所での操作性も◎。なお、ファンクションキーでOFF+2段階の切り替えができます。
ちなみに、このモデルは光センサーが搭載されているため、暗くなるとLEDが点灯するようになります。基本的に操作不要なのは便利ですね。
滑らかなタッチパッド
タッチパッドは、パッドとクリックボタンが一体となったオーソドックスなタイプ。
パッド部分はサラサラした素材となっており、カーソル操作はとてもスムーズです。また、クリックボタンもカタカタと軽く反応し、操作音も静か。トータルで高い完成度を実現しています。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテルのCore Ultra 7 165U(12コア14スレッド)を搭載しています。新たに登場したCPUはネーミングを刷新し、従来の”Core i”から”Core Ultra”に変更されています。
CPUの設計にも手が加えられ、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、従来のWコア構成をベースにしつつ、新たに”LP E-core”が追加されているのがポイント。これはE-コアをさらに省エネにしたもので、低負荷の作業では、さらに低電力で処理できるようになっています。
そのほかの新機能として、AI処理に特化した省電力エンジン(NPU)・Intel AI Boostを搭載。”Adobe Premiere Pro”のAI機能や”Stable Diffusion Web UI”などをお手軽に使うことができます。
参考までに、ワンランク下のCPU・Core Ultra 5 125U(12コア14スレッド)と比較してみると、シングルスコアは約6%、マルチスコアは約2%とその差はわずか。
コア・スレッド数が同じなので、基本的にはCore i5で十分ですね。
3DMARK
”3DMARK”は、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
Vulkan(Wild Life)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィックは、”Intel Graphics(4コア)”となっています。性能は前世代のIris xe Graphics+αレベルということで、オンラインゲームには力不足なのは変わりません。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Time Spy | 2285 | 2069 | 5627 | ー |
Night Raid | 18644 | 23673 | 8461 | ー |
Fire Strike | 5118 | 5500 | 15844 | 2019 |
Sky Diver | 16676 | 17266 | 13882 | 17484 |
Wild Life | 14595 | ー | ー | ー |
PCMark 10
”PCMark 10”は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。動画や画像編集でも十分使える性能です。
なお、Core Ultra 7 165UとCore Ultra 5 125Uとの差は、総合スコアで約3%程度。基本的にはCore Ultra 5を選んでおけばOK!
TMPGEnc Video Mastering Works 7
”TMPGEnc Video Mastering Works 7”を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 5 125U | 1538 | 777 | 145 |
Core Ultra 7 165U | 1721 | 880 | 158 |
かなりパワーをセーブしており、性能はそれなり。Core Ultra 5 125Uに逆転されており、約8~12%差をつけられています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 5 125U | 2477 | 1289 | 146 |
Core Ultra 7 165U | 2817 | 1460 | 151 |
重量級のH.265でも同じような傾向となっています。
Lightroom Classic CC
”Lightroom Classic CC”を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で記載しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
Core Ultra 7 165U | Core Ultra 5 125U |
163 | 160 |
画像変換もCPU勝負となりますが、このテストでもCore Ultra 5 125Uにわずかながら及ばず。安定性重視といえども、Core Ultra 7でこの性能は物足りない限りですね。
VALORANT(ヴァロラント)
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
WXGA | 148(109)fps | 174(136)fps | 204(159)fps |
WUXGA | 110(90)fps | 128(112)fps | 157(140)fps |
超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。このクラスなら内蔵グラフィックでも余裕で、WUXGAで平均100fpsを狙うことができます。
FF14(ファイナルファンタジー14 黄金の遺産)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
WXGA | 4282 | 7696 | 7993 |
WUXGA | 2497 | 5497 | 6113 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
アップスケーリングのFSRを適用していますが、いずれの解像度でもスコア9000をクリアできません。WXGAならスコア9000をクリアできる性能ではありますが、グラフィックパフォーマンスもイマイチですね。。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、512GB SSD(Western Digital)を搭載しています。256GBの2倍という容量の多さで、動画や画像などかさばるデータ類も多めに保存することができ、爆速のPCIe Gen.4規格を採用しています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の速度は2000~5000MB/s台とバラつきがあり、ランダムの速度もGen.3クラスということで、オーソドックスなGen.4 SSDといったところです。
もちろん、実際の使用感はSSDらしくとても快適。OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
だいぶ安定性重視の動作システムとなっており、ピーク時のP-コアの温度は70℃台半ば、動作クロックも2.6GHzと低めです。
動作音
CINEBENCH R23実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。
50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時でも49.4デシベル台とやや下回っています。サーっとしたファンノイズでとても静かです。
ちなみに最小時では46.9デシベルとなっており、アイドル状態のためほぼ無音。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、smart sense
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は12時間をマーク。モバイルノートの目安となる10時間を軽く超えており、出先でも安心して使えますね。
充実したユーティリティー機能
ビジネスモデルらしくセキュリティに力を入れており、マルウェアからの脅威をBIOSレベルで保護する”Wolf Security”を実装しています。
システム管理ツールとして”my HP”がインストールされています。動作モードや各種デバイスの設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムは”Poly Studio”を採用しています。
肝心の音質ですが、低音~高音まで伸びるものの、重低音が弱く、音の厚みもイマイチ。ごくごく普通の内蔵スピーカーといったところです。
まとめ
ボディの重さは約1.3kgと軽く、装備も一通りそろっており、実用的なビジネスモバイルノートとしておすすめ。ただし価格が高いので、個人的には1kg以下の軽量ボディで、14万円台からと安い”HP EliteBook 635 Aero G11”の方がおすすめ。