今回HPの【HP EliteBook 1040 G11】をお借りしました。ビジネスユースにも便利な、超軽量の14インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
HP EliteBook 1040 G11(Core Ultra 5・256GB SSD搭載) | |
カラー | グレイシャーシルバー |
サイズ | W313.9×D219.9×H10.5~14.9mm |
重量 | 約1.235kg(実測1169g) |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Core Ultra 5 125H(14コア18スレッド・定格3.3/最大4.5GHz) |
メモリ | 16GB(オンボード・DDR5X) |
ストレージ | 256GB SSD(PCI-e NVMe) |
グラフィクス | Intel Ark(7コア) |
ディスプレイ | 14.0インチ、WUXGA(1920×1200)、ノングレア、400nit |
インターフェース | Thunderbolt 4×2、SuperSpeed USB Type-C (10Gbps signaling rate)×1、SuperSpeed USB Type-A(5Gbps signaling rate) ×1、HDMI 2.1、 マイク入力/ヘッドフォン出力 |
光学ドライブ | × |
カメラ | HPプライバシーカメラ(5MP) |
スピーカー | Audio by Poly Studio 内蔵クアッドステレオスピーカー |
キーボード | バックライト付き日本語キーボード |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
バッテリー | MobileMark 25:最大約16時間40分 |
保証 | 1年(最大5年) |
価格 |
電源アダプタ(65W・204g)/電源ケーブル(107g)/電源変換アダプタ(42g)/各種マニュアル
外観
高級感あふれるマグネシウムボディ
ボディのシャーシには、軽くて頑丈な”マグネシウム合金”を使用しています。
アルミボディに比べると剛性は弱めですが、軽さとのトレードオフの関係なので、こればかりは仕方ありません。
耐久性はとても高く、12000時間を超える独自のテストのほか、落下テスト・高温・低温条件での19項目のMIL規格(アメリカの軍事規格・MIL-STD 810H)テストをクリア。ビジネスシーンでも安心して使えます。
ボディの表面はしっとりした触り心地で、高級感を感じさせます。コーティング処理が施されているため、指紋や汚れがつきにくいのはいいですね。
ボディカラーはシルバーというより、ホワイトに近い感じでとても美しいです。
この通りサイドはラウンドフォルムとなっており、手にフィットしやすいのもポイント。
コンパクトボディ
このモデルは、14インチサイズのモバイルノートです。13インチよりもディスプレイのサイズが大きく、それでいて携帯性も高いので、最近人気のサイズとなっています。
ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右に極限までスリムにすることで、横幅と奥行きを圧縮。
ディスプレイのサイズは14.5インチとやや大きいものの、この通りA4ファイル並みのコンパクトボディを実現しています。
また、厚さも最厚部でも14.9mmと非常にスリム。軽量のマグネシウム合金ボディも相まって、重さは1169gと14インチでは圧倒的な軽さを実現しています。
1.2kgというのはモバイルノートでは重要な目安で、これを下回るとボディの重さをあまり感じないようになり、持ち運びがとてもラクになりますね。
高速インターフェース
USBは全4ポートとモバイルノートにしては多めに搭載。小型&リバーシブルのType-Cポートのすべてが、40Gbpsの超高速転送ができる”Thunderbolt4”に対応してるのはいいですね。
さらに、従来のType-Aポートも搭載しているため、周辺機器の接続にバッチリ対応します。
映像出力用としてHDMIポートが用意されているほか、Type-CポートがDisplayPort出力に対応しています。
ちなみに、モデルによってはnanoSIMスロットが装備され、SIMカードさえあれば場所を問わずにインターネットを使用可能です。
プライバシーにもしっかり配慮され、カメラ部分にシャッターを装備。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
さらに、指紋&顔認証センサーを装備しており、セキュリティ面も万全です。
ディスプレイ&キーボード
高輝度ディスプレイ搭載
ディスプレイは14.0インチきっかり。13インチよりも一回り大きく、やはりゆとりがありますね。携帯性を重視しつつ、ディスプレイの大きさにもこだわるならおすすめのサイズです。
ディスプレイの解像度はWUXGA(FHD+・1920×1200)、ディスプレイ比率は16:10と、最近はやりのスタイル。主流のフルHD(16:9タイプ)よりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。
映像クオリティも高く、美しい発色と高いコントラストで、くっきり鮮やか。400nitという輝度の高さも相まって、動画鑑賞などにも最適です。
また、視野角も広く、横から覗いても色むらは少なめなのも◎。
完成度の高いキーボード
13インチよりも横幅は大きいものの、テンキーは非搭載ですね。
ほぼすべてのキーが独立しており、各キーは大きめに造られ、配置そのものも素直。キーピッチは約19mmとデスクトップキーボード並みのゆとりが確保されているので、誤爆の心配はまずありません。
唯一気を付けるとしたら、一番右上の電源ボタンでしょうか。ただ、ほかのボタンよりも固めになっており、普通に押したくらいでは反応しないので、そこまで心配する必要はなし。
ファンクションキーは基本的なものにプラスして、カスタマイズに対応したキーを装備しています。
キーストロークはノートにしてはやや深く、適度な反発も相まって打鍵感は良好です。また、キーボード面の剛性が高く、タイプ圧が強い方も安心。
上位モデルらしくキーボードのバックライト(白色LED)を搭載し、薄暗い場所でタイピングしやすくなるだけでなく、見た目も華やかになり、まさに一石二鳥ですね。
ちなみに、明るさセンサーがついているため、明るい場所だと点灯しません。
造りこみの高いタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
表面はとても滑らかで、カーソル操作は非常にスムーズ。クリックボタンも軽く押すだけで反応し、クリック音が控えめなのもグッドです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト”CINEBENCH”で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテルのCore Ultra 5 125H(14コア18スレッド)を搭載しています。新たに登場したCPUはネーミングを刷新し、従来の”Core i”から”Core Ultra”に変更されています。
CPUの設計にも手が加えられ、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、従来のWコア構成をベースにしつつ、新たに”LP E-core”が追加されているのがポイント。これはE-コアをさらに省エネにしたもので、低負荷の作業では、さらに低電力で処理できるようになっています。
そのほかの新機能として、AI処理に特化した省電力エンジン(NPU)・Intel AI Boostを搭載。”Adobe Premiere Pro”のAI機能や”Stable Diffusion Web UI”などをお手軽に使うことができます。
参考までに、上位のCPU・Core Ultra 7 155H(16コア22スレッド)と比較してみると、シングルスコアは約2%、マルチスコアは約8%となり、そこまで大きく差はつきません。
3DMARK
”3DMARK”は、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
Vulkan(Wild Life)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUの内蔵グラフィックは、”Intel Arc GPU(7コア)”となっています。
内蔵グラフィックにしては性能がすこぶる高いのですが、GTX 1650よりも約10~20%ほど性能が低いため、ゲーム用として使うにはやや力不足といったところです。フルHDでのゲーミングなら、正直なところGTX 1660くらいの性能は欲しいですね。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Time Spy | 3708 | 3360 | 9002 | ー |
Night Raid | 28310 | 37602 | 11785 | ー |
Fire Strike | 8065 | 8648 | 22537 | 3267 |
Sky Diver | 27007 | 28432 | 21105 | 28238 |
Wild Life | 22724 | ー | ー | ー |
PCMark 10
”PCMark 10”は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、余裕でクリア。動画や画像編集でも十分使える性能です。
なお、Core Ultra 7 155HとCore Ultra 5 125Hとの差は、総合スコアで約4%程度。基本的にはCore Ultra 5を選んでおけばOK!
TMPGEnc Video Mastering Works 7
”TMPGEnc Video Mastering Works 7”を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 5 125H | 1047 | 532 | 142 |
Core Ultra 7 155H | 1237 | 646 | 145 |
長時間の負荷でもパフォーマンスが落ちない点がポイント。CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core Ultra 7 155Hよりも早く変換を完了し、約15~18%差をつけています。
なお、グラフィック機能を利用したハードウェアエンコードはほぼ互角です。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core Ultra 5 125H | 1848 | 953 | 138 |
Core Ultra 7 155H | 2236 | 1082 | 139 |
重量級のH.265でも同じような傾向となり、両者の差はソフトウェアエンコードでは約12~17%差、ハードウェアエンコードではほぼ同じとなっています。
Lightroom Classic CC
”Lightroom Classic CC”を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)を最高画質のJPEG画像に書き出す時間を計測しました。結果は秒で記載しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
Core Ultra 5 125H | Core Ultra 7 155H |
96 | 94 |
画像変換もCPU勝負となりますが、このテストではCore Ultra 7 155Hが有利ではあるものの、Core Ultra 5 125Hとの差は約2%と小さくほぼ互角といったところです。
VALORANT(ヴァロラント)
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
平均(最低)fps | 高 | 中 | 低 |
XGA | 240(163)fps | 279(207)fps | 325(248)fps |
WUXGA | 182(150)fps | 204(183)fps | 242(220)fps |
超軽量級のFPSゲームです。競技性の高いゲームなので、できれば100fps以上は欲しいところ。このクラスなら余裕で対応でき、WUXGAでも平均100fps以上をゆうに超えてきます。
ただし、ディスプレイのリフレッシュレートは60Hzなので、最大60fpsまでしか出ない点には注意。
FF14(ファイナルファンタジー14 黄金の遺産)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
XGA | 6740 | 10472 | 11704 |
WUXGA | 3996 | 7631 | 8489 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
アップスケーリングのFSRを適用していますが、スコア9000を超えるのはHDのみ。ゲーミングPCとして使うならフルHDでスコア9000を余裕で越えたいところですが、さすがに内蔵グラフィックでは厳しいです。
CrystalDiskMark
”CrystalDiskMark”は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは、256GB SSD(Western Digital)を搭載しています。編集用途で使うには少ないものの、ブラウジングやオフィス作業くらいならこれで十分です。、爆速のPCIe Gen.4規格を採用しています。
シーケンシャル(連続データ)の速度は1000~4000MB/s台とそこそこ、ランダムの速度もGen.3クラスとなっており、ごくごく普通のGen.4 SSDといったところです。
もちろん、実際の使用感はSSDらしくとても快適。OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動きます。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
温度の限界まで性能を引き出す動作システムとなっており、ピーク時のP-コアの温度は95~100℃、動作クロックも2.6~3.2GHzと一部3GHzオーバーと高め。性能を引き出しつつしっかり冷却できていますね。
動作音
CINEBENCH R23実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。
50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時でも51.6デシベル台と上回っています。風切り音は大きめですが、耳障りな甲高いノイズが控えめなので、そこまでうるさく感じません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとなっており、アイドル状態のためほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率、インテリジェント・クーリング
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は12時間10分をマーク。モバイルノートの目安となる10時間を大きく超えており、出先でも安心して使えます。
充実したユーティリティー機能
ビジネスモデルらしくセキュリティに力を入れており、マルウェアからの脅威をBIOSレベルで保護する”Wolf Security”を実装しています。
システム管理ツールとして”my HP”がインストールされています。動作モードや各種デバイスの設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには”Poly Studio”を採用し、なんとスピーカーを4基も搭載!
肝心の音質ですが、低音~高音までしっかり伸び、音質も厚くとても迫力があります。ただし、重低音がつぶれ気味なのが残念ですね。
まとめ
ア14インチモデルで1.1kg台というのは驚異的。ボディの仕上がりをはじめ、機能面・性能面までトータルで高い完成度を実現しています。
14インチモデルで軽さにとことんこだわるならおすすめです。