
今回HPの【Lenovo LOQ Tower 17IRR9】をお借りしました。低価格でコスパに優れたミニタワーモデルをチェックしてみましょう。
Lenovo LOQ Tower 17IRR9(Core i7・RTX 4060搭載) | |
サイズ | W170×D279×H376mm |
重量 | 約8.0kg |
OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i7-14700F(20コア28スレッド・定格2.1/最大5.3GHz) |
メモリ | 16GB(8GB×2・DDR5-4800) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe NVMe) |
グラフィクス | RTX 4060(GDDR6 8GB、HDMI×1、DisplayPort×3) |
インターフェース | 前面:USB3.2 Gen.1 Type-C×1、USB3.2 Gen.1Type-A 5Gbps×2 背面:USB2.0 Type-A×4、LANポート、マイク入力/ヘッドフォン出力 |
電源 | 600W(80PLUS GOLD) |
光学ドライブ | 非搭載 |
Wi-Fi | IEEE 802.11ax、 Bluetooth5.2 |
保証 | 1年(最大3年) |
価格 | 167,970円~(税・送料込) |
電源ケーブル/各種マニュアル
外観
コンパクトなミニタワーケース

デスクトップPCでは定番となる、ミニタワーケースですが、海外メーカーらしくコンパクト。

サイズはW170×D279×H376mmと、横幅は20cm以下、奥行きは30cm以下に抑えられ、より狭いスペースにも設置できるのが強みですね。

一通りセットしてみると、こんな感じになります。なお、ディスプレイは23.8インチです。

デザインは意外と凝っており、フロントパネルは立体感を持たせつつ、LEDラインの両側にスリットを配置。シンプルでスタイリッシュに仕上げており、使う人を選びません。

なお、吸気口はフロントパネルと左サイドパネルに設置されています。

各スリットは十分な面積が確保されているので、内部に熱がこもる心配はありません。

底面はこの通り、ゴム足が4つ設置されています。いずれも小ぶりですが、本体の振動はしっかり吸収できており、機能面では特に問題ありません。
充実したインターフェース

インターフェースはポイントをおさえたラインナップとなっています。

USB端子はフロント・背面あわせて計7ポートと多めに搭載。規格はUSB 3.2 Gen.1(5Gbps)と2.0のオーソドックスな内容で、フロントパネルのUSB 3.2 Gen.1のうち一つは、小型&リバーシブルのType-Cポートとなっています。
フロントパネルにもType-Cポートがあるのは便利ですね。

映像端子は、HDMI・DisplayPort×3と豊富なので、マルチディスプレイ構成もラクラクですね。
内部
シンプルな内部構造

電源下置きのシンプルな内部構造で、チャンバー構造や裏配線構造はなし。

HDDを搭載する3.5インチベイは電源の横に設置され、ツールレスタイプでかんたんに増設できます。
最近のモデルは3.5インチベイすら省略する傾向にあるので、これはありがたいですね。データをたくさん保存するなら、大容量で安価のHDDがやはり便利です。

CPUファンは小型の標準クーラーを搭載。これは冷却性能が低く、高負荷時のノイズがうるさいのがネックです。できれば12cmのサイドフロー式がいいのですが、横幅が狭いのでやむなしといったところ。
ちなみに、マザーボードは特殊規格のため、市販のもので代用することはできません。

※写真は撮影用です。トラブル防止のため、内部での作業は電源を切ってから行いましょう。
内部のエアフローですが、小型の9cmファンが前後に2基搭載されています。特段熱くなるような構成ではないので、これで十分。
RTX 4060搭載

グラボは、NVIDIAのRTX 4060を搭載。シンプルなシングルファン仕様ですが、RTX 4060は発熱が低いので全く問題ありません。

また、グラボ固定用のカードホルダーを装備しています。大型ボディをでしっかり固定することで、PCIeスロットへの負荷を軽減しており、自重による破損の心配はまずありません。

ちなみに、PCの心臓ともいえる電源には、500Wのプラチナクラス電源を採用しています。プラチナクラスは最大92%の電力変換効率を誇り、コンセントからの電力を効率よく変換できる、省エネ・低発熱の優れものです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
RTX 4060搭載

先にも紹介した通り、グラボはRTX 4060を搭載。フルHDでのゲーミングに最適な性能で、一つ上のWQHDにも対応します。
RTXシリーズでは、”RTコア”と”Tensorコア”を搭載しているのが特徴です。

RTコアは”レイトレーシング技術(RT)”に対応しており、反射・影・ライティングなどをリアルに再現可能。ゲームでのイメージを見てもわかるように、ON・OFFではだいぶ違います。
また、AI機能のTensorコアは”DLSSモード”に対応しており、低い解像度でレンダリングした映像をアップスケーリングし、さらにアンチエイリアスを最適化することで、フレームレートを大幅に向上させることができます。ゲームの快適性が目に見えて上がり、とても便利。
そのほか、RTXシリーズはOptiXにも対応しているのもポイント。Blenderなどの3DCG作成ソフトでは、RTコアを活用した高速レンダリングや、Tensorコアを活用した高速のノイズ除去機能を搭載し、ヘビーなCG作成作業で高いパフォーマンスを発揮します。
RTX 4000シリーズはDLSS 3&AV1エンコードに対応
RTX 4000シリーズは機能面がさらに強化され、DLSS 3&AV1エンコードに対応しています。
DLSS 3というのは従来のDLSS 2の発展型で、GPUコアに内蔵された”Optical Flow Accelerator”を使い、映像のフレーム間に中間フレームを補完する技術のこと。アップスケーリング+フレーム補完で描写の負荷を大きく軽減し、フレームレートを大幅に上げることが可能です。
ウルトラヘビー級のゲーム・Cyberpunk 2077では、約4倍以上もパフォーマンスが向上するなど、RTX 3000シリーズに対し大きなアドバンテージとなっています。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23は、3Dグラフィックのレンダリング性能を測定するベンチマークソフトです。CPUのシングル・マルチ性能をチェックできます。

CPUはインテル第14世代の20コア28スレッドCPU・Core i7-14700Fを搭載しています。末尾のFは内蔵グラフィック非搭載バージョンのことで、性能は通常バージョンと同じです。
第13世代から引き続き、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、Wコア構成を採用。Core i7-13700をベースにしたCore i7-14700は、E-コアを4つ追加することで、性能がしっかり底上げされています。

参考までに、インテルの第14世代10コア16スレッドCPU・Core i5-14400と比較すると、シングル性能は約15%、マルチ性能は約2倍も上回っています。
付属アプリでのブーストがしっかり効いてていい感じです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 11(Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・DirectX 12 Ultimate(Speed Way/Steel Nomad)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。

RTX 3060から約20%パワーアップ。フルHDでの安定感がさらに向上し、WQHDでのゲーミングにも対応できます。ゲーミングPCならまずこのクラスは押さえましょう。
Total | Graphics | CPU/Physics | Combined | |
Steel Nomad | 2314 | ー | ー | ー |
Speed Way | 2648 | ー | ー | ー |
Port Royal | 6043 | ー | ー | ー |
Time Spy Extreme | 5252 | 4906 | 8766 | ー |
Time Spy | 11063 | 10479 | 16181 | ー |
Night Raid | 67837 | 127971 | 18521 | ー |
Fire Strike Ultra | 6079 | 5771 | 20747 | 3240 |
Fire Strike Extreme | 12700 | 13075 | 40864 | 5649 |
Fire Strike | 26434 | 27702 | 40674 | 14149 |
FF14(ファイナルファンタジー14 黄金の遺産)

最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
フルHD | 24302 | 25310 | 29691 |
WQHD | 19543 | 20960 | 25626 |
4K | 11083 | 12636 | 16086 |
知名度バツグンの国内産MMORPGで、スコア9000以上で平均60fps以上をキープできます。
いずれもDLSSを常に有効にしており、フルHD・最高品質ではスコア24000台、平均176fpsとバツグンの安定感を発揮。144Hz出力など高リフレッシュレートディスプレイを余裕で生かすことができます。
さらに、このクラスのゲームであればWQHD以上もバッチリ対応します。
Cyberpunk 2077(サイバーパンク 2077)

ゲーム設定:ウルトラ/高/中(RT”ウルトラ・サイコ”/DLSS”バランス”)
プレイモード:市街地中心部を移動
DLSS
平均(最低)fps | ウルトラ | 高 | 中 |
フルHD | 160(135)fps | 188(172)fps | 205(185)fps |
WQHD | 97(93)fps | 123(117)fps | 134(127)fps |
4K | 45(42)fps | 58(56)fps | 65(62)fps |
フルHDにやはり強く、フレーム補完により144Hzディスプレイを生かせます。WQHDでも平均100fps以上をマークするなど余裕ですね。
RT+DLSS
平均(最低)fps | ウルトラ | 高 | 中 |
フルHD | 108(98)fps | 109(95)fps | 113(100)fps |
WQHD | 68(60)fps | 69(59)fps | 72(65)fps |
4K | 32(29)fps | 32(29)fps | 33(30)fps |
反射・影・ライティングのフルセットということでかなり重いのですが、フルHDでは平均100fps以上と高い安定感を発揮。WQHDは平均60fpsを超えていますが、ちょっと苦しく、RTX 4060 Ti以上が理想です。
黒神話:悟空

ゲーム設定:最高/超高/高(DLSSサンプリング解像度”55”/RT”超高”)
プレイモード:ベンチマークテスト
DLSS
平均(最低)fps | 最高 | 超高 | 高 |
フルHD | 53(48)fps | 59(54)fps | 84(79)fps |
WQHD | 47(43)fps | 51(47)fps | 71(67)fps |
4K | 34(31)fps | 36(34)fps | 49(46)fps |
フレーム補完を有効にしてもfpsがイマイチ伸びませんが、高設定ならで平均60fps以上をキープできます。非常に重いゲームなので高設定で動けば十分でしょう。
RT+DLSS
平均(最低)fps | 最高 | 超高 | 高 |
フルHD | 51(46)fps | 56(50)fps | 61(55)fps |
WQHD | 36(30)fps | 41(37)fps | 44(39)fps |
4K | 13(10)fps | 19(15)fps | 22(18)fps |
レイトレーシングの負荷も非常に重く、平均60fpsを超えるのはフルHDまで。レイトレーシングを使うにはちょっと心もとないですね。
BIOHAZARD RE:4(バイオハザード RE:4)

ゲーム設定:最高/高/中(RT”高品質”/FSR”バランス”)
プレイモード:最初の村を移動
FidelityFX Super Resolution(FSR)
平均(最低)fps | (テクスチャ品質”高・8GB”) | 最高(テクスチャ品質”高・4GB”) | 高(テクスチャ品質”中”) | 中
フルHD | 126(118)fps | 132(124)fps | 138(124)fps |
WQHD | 94(88)fps | 97(89)fps | 100(96)fps |
4K | 44(36)fps | 46(44)fps | 56(54)fps |
このゲームはFSRに対応しています。FSRはDLSSに近い機能で、アップスケーリングによりフレームレートを上げることができます。Tensorコア不要の汎用性が高い技術というのがポイント。
フルHDでは144Hzディスプレイを生かせるほどの安定ぶり。WQHDでも平均100fps前後と申し分ないパフォーマンスです。
RT+FSR
平均(最低)fps | (テクスチャ品質”高・8GB”) | 最高(テクスチャ品質”高・4GB”) | 高(テクスチャ品質”中”) | 中
フルHD | 82(77)fps | 109(104)fps | 111(105)fps |
WQHD | 60(2)fps | 68(65)fps | 87(82)fps |
4K | 35(1)fps | 46(9)fps | 52(50)fps |
このゲームのレイトレーシングは負荷こそ低いのですが、VRAMを大量に使うので、8GBだと不足してWQHDでは最高設定では最低fpsが大きく落ち込みます。最新ゲームをやるなら、12GB以上が無難ですね。
Starfield(スターフィールド)

ゲーム設定:ウルトラ/高/中(DLSS”バランス”)
プレイモード:クリート探索
DLSS
平均(最低)fps | ウルトラ | 高 | 中 |
フルHD | 127(105)fps | 129(111)fps | 143(122)fps |
WQHD | 98(84)fps | 99(88)fps | 109(96)fps |
4K | 58(53)fps | 57(53)fps | 61(56)fps |
フレーム補完に対応することによりfpsが大きく向上し、フルHDでは144Hzディスプレイを生かせます。WQHDでも平均100fpsを狙えるなど、よほど重いゲームでもない限りWQHDにもしっかり対応できることがわかりますね。
VALORANT(ヴァロラント)

ゲーム設定:高(アンチエイリアス”FXAA”/異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
4K | WQHD | フルHD |
228(208)fps | 450(405)fps | 703(645)fps |
普通のノートPCでも動かせるほど軽いので、ゲーミングPCなら超余裕。4Kで240Hzディスプレイを生かせます。
Rainbow Six Siege(レインボーシックスシージ)

ゲーム設定:最高/超高/高(レンダリング解像度”50”)
プレイモード:ベンチマークテスト
平均(最低)fps | 最高 | 超高 | 高 |
フルHD | 367(285)fps | 371(291)fps | 394(295)fps |
WQHD | 244(200)fps | 246(202)fps | 269(225)fps |
4K | 121(103)fps | 121(103)fps | 133(116)fps |
グラフィック負荷が低いので、4Kでも144Hzディスプレイを生かせます。ただし、さすがに240Hzディスプレイともなると、WQHDに落とす必要があります。
Apex Legends(エーペックス レジェンズ)

ゲーム設定:最高/低(fpsリミット解除)
プレイモード:射撃訓練場
平均(最低)fps | 最高 | 低 |
フルHD | 234(185)fps | 300(227)fps |
WQHD | 182(150)fps | 219(174)fps |
4K | 111(98)fps | 124(108)fps |
このゲームも軽めで、4Kでは平均100fps以上をキープし、低設定なら144Hzディスプレイを生かせます。フルHDやWQHDでの安定感は言わずもがなですね。
Fortnite(フォートナイト)

ゲーム設定:最高/高/中(アンチエイリアス”TAA”/DLSS”バランス”)
プレイモード:バトルロイヤル
DLSS
平均(最低)fps | 最高 | 高 | 中 |
フルHD | 222(144)fps | 214(173)fps | 243(185)fps |
WQHD | 118(108)fps | 160(142)fps | 190(171)fps |
4K | 63(57)fps | 85(79)fps | 103(95)fps |
DLSS機能を有効にした際の結果です。
DLSS込みではありますが、WQHDでは設定次第で144Hzディスプレイを生かせます。FPSゲームは総じて軽めなので、RTX 4060でも高解像度で高いフレームレートをキープできます。
CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkは、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。

このモデルは、512GB SSD(SK Hynix)を搭載しています。最近のゲームは容量そのものが増えており、50GB以上はザラ。あっという間に容量不足になりますが、実際の販売モデルでは1TB搭載しているので安心です。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)は3000~5000MB/sと速く、ランダムの速度も上々です。実際の動作もゲームのロードからアプリの動作までサクサク動き、とても快適。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。

CPUの温度は高性能のP-コアで70℃台後半とかなり高め。ゲームはCPUの負荷が少ないのですが、小型CPUクーラーなだけあり冷却性能は低いですね。一方、グラボは60℃台後半と低く、しっかり冷却できています。

こちらがCINEBENCH R23実行時の温度です。
100%のフルロード時では、P-コアの動作クロックが3.3GHzと高めですが、温度は70℃台前半と高いのは変わらず。Core i7クラスならやっぱり12cmのサイドフローくらいは欲しいです。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。


55デシベルを超えるとファンノイズが気になりますが、ピーク時は51.8デシベルと下回っています。数値上は小さいのですが、CPUファンのノイズ音が大きく、うるさく感じますね。
なお、最小時は49.0デシベルとなっており、ケースファンの音がかすかに聞こえるくらいです。
充実した付属アプリ



先にも紹介したとおり、専用ユーティリティー”Lenovo Vantage”が用意されています。
イルミネーションのカラー変更やネットワークの帯域割り当て、さらに動作の設定までゲーミングに必要な機能をワンストップで設定できます。
まとめ
シンプルイズベストでクオリティはそこそこ。Core i7×RTX 4060で16万円台は安く、予算重視のゲーミングPC入門モデルとしておすすめです。
さらに安く済ませたいなら、Core i5にするのもいいでしょう。