今回富士通の【LIFEBOOK UHシリーズ WU2/H1】をレビュー。
世界最軽量モデルでおなじみのUHシリーズに、14インチモデルが登場!画期的なモバイルノートを詳しくチェックしてみましょう。
スペック
※2023年7月15日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
コンパクト&超軽量ボディ
14インチモデルでは圧倒的な軽さを誇り、最軽量モデル(WU-X/H1)ではなんと約689gと、世界No.1の軽さを実現しています。他社の超軽量モデルはよくて1kg前後なので、まさに異次元レベルですね。
なお、モデルによって重さは異なりますが、軽量モデルは約758gと、最軽量モデルでなくても非常に軽いのもポイントです。
Core i7を搭載した貸出機は実測で860gですが、さすがに800g台だとさほど重さを感じず、片手でラクラク持てます。1kg前後とはまた違う感覚で、PCを持っているという感じがしないですね。
ボディのサイズもかなり小さく、ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右にスリムにすることで、横幅と奥行きを極限まで圧縮
その大きさはA4ファイルよりも小さく、2cm以下のスリムボディも相まって、カバンにサクッと収納できます。一般的な14インチモデルだと、A4ファイル+αサイズなので、このコンパクトボディは正直驚きです。
ちなみに、ボディの素材にはマグネシウム合金でを採用しています。アルミニウムよりもかなり軽く、軽量モデルではおなじみですね。ただし、アルミボディに比べ、剛性はちょっと弱い感じ。。
UHシリーズということで、カラバリが用意されています。貸出機のフロストグレーのほか、ピクトブラック・シルバーホワイトの定番カラーとなっており、使う人を選びません。
持ち運びに安心なタフボディ
13インチモデルと同じく、堅牢設計でとてもタフ。
約35kgfの一点加圧試験だけでなく、満員電車などの圧迫を想定した約200kgfの天板全面加圧試験をクリア。さらに、机の上から落ちた場合を想定した約76cmの落下試験のほか、自転車振動試験もクリアしており、耐久性の高さは折り紙付き。
コンパクト・軽量・高耐久の3拍子揃っており、携帯性はバツグン!
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。下にノートPCクーラーを置いているようなもので、熱くなりがちなスリムノートとの相性はバッチリです。
充実したインターフェース
インターフェースは、モバイルノートらしからぬ充実ぶり。
USBは全4ポートと多めに搭載し、小型・リバーシブルのType-Cポートは、10Gbpsの超高速転送に対応したUSB 3.2 Gen.2規格となっています。Thunderbolt 4こそ非搭載ですが、ポイントはしっかり押さえていますね。
もちろん、Type-Cポートだけでなく従来のType-Aポートも装備し、モバイルノートながら、あらかたの周辺機器を接続できます。
そのほか、LANポート・HDMIポート・microSDスロットまで装備しており、まさに至れり尽くせり。モバイルノートで省略されがちなLANポートを装備しているので、有線LANしかないような場所でも使えます。
ちなみに、兄弟モデル(LIFEBOOK WU-X/H1 5G)では、5Gモジュールを搭載しています。データ通信SIM(nanoSIM)さえあれば、いつでもどこでもネット環境を利用できます。フリーWiFiスポットを探す手間が省け、まさにストレスフリーですね。
セキュリティ対策も万全
セキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
また、電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。ちなみに、カメラはWindows Hello対応の顔認証センサー付きにカスタマイズ可能です。
ディスプレイ&キーボード
高発色ディスプレイ搭載
ディスプレイのサイズは、最近人気の14.0インチですね。13.3インチよりも一回り大きく、ゆとりを感じさせます。携帯性を重視しつつ、ディスプレイの大きさにもこだわるならおすすめのサイズです。
ディスプレイの解像度はWUXGA(FHD+・1920×1200)、ディスプレイ比率は16:10と、最近はやりのスタイル。主流のフルHD(16:9タイプ)よりもやや縦長なので、一度に表示できる情報量が多く、スクロールの手間が省けるのは便利ですね。
映像クオリティは非常に高く、美しい発色と高いコントラストで、くっきり鮮やかな映像クオリティを実現。明るさもかなりのもので、動画鑑賞などにも最適です。”高輝度・高色純度・広視野角液晶”の謳い文句通りといったところですね。
この通り、横から覗いても色ムラはほとんどありません。
完成度の高いキーボード
13インチ+αのコンパクトボディなので、テンキーレスキーボードを採用しています。
横幅を目いっぱい使うことで、だいぶ余裕がありますね。キーはすべて独立しており、基本的なキーは大きく造られています。右下の矢印キーを一段下げることにより、Enter周りにゆとりが生まれているのもグッド。
また、配置そのものも非常に素直で、キーピッチは約19mmとデスクトップキーボード並みの間隔が確保されていることもあり、基本的に誤爆することはありません。電源ボタンがキーボードとは独立して設置されているのもいいですね。
ファンクションキーの内容は、基本的なものに加え、ファンクションロックキーやタッチパッドロックキーを装備。必要なものは一通りそろっていますが、任意の機能を設定できるカスタマイズキーがあるとベターです。
キーストロークはノートにしては深く、適度に反発があり、打鍵感はなかなか良好。キーボード面の剛性も高く、タイピング圧が高い方でも安心です。
もちろん、トレンドの白色LEDをしっかり搭載。薄暗い場所でタイピングしやすくなるのはもちろん、見た目も華やかになり、高級感がアップします。もちろん、ファンクションキーにてON/OFFを切り替えることができ、LEDが苦手な方も安心です。
ちなみに、貸出機ではかな表記のないキーボードですが、カスタマイズにてかな表記のある通常キーボードに変更できます。
操作性の高いタッチパッド
タッチパッドはよくある一体型ではなく、タッチパッドとクリックボタンが独立した分離型となっています。
一見普通のタッチパッドですが、表面はとてもさらさらしており、カーソルの追従性は上々でとても快適。
また、クリックボタンが分離式ということで、一体型よりも反応はすこぶるよく、軽く押すだけでしっかり反応し、クリック音もほとんどせず、こちらも快適そのもの。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
CPUはインテル第13世代の10コア12スレッドCPU・Core i7-1355Uを搭載しています。最新世代ではありますが、中身は前世代の”Alder Lake”をベースにしており、Core i7-1255Uのクロックアップバージョンといったところですね。
第12世代から設計が一新され、高性能の”P-コア”と省エネの”E-コア”を搭載した、Wコア構成を採用しているのがポイント。タスクに応じて、各コアを使い分け、場合によっては両者を併用することで、効率よく処理できるのが強みです。
ちなみに、ノート用の第12世代CPUには、Hシリーズ・Pシリーズ・Uシリーズの3タイプがあり、一番下位のグレードとなります。
実際の性能ですが、スリム&コンパクトモデルということで控えめ。後ほどチェックしますが、ピーク時の消費電力と同クロックが低めに抑えられ、前世代のCore i5-1235Uレベルの性能となっています。
参考までに、ワンランク下のCore i5-1335U(10コア12スレッド・65W版)と比較してみると、シングル性能は約12%、マルチ性能は約29%下回っています。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
内蔵グラフィックは、高性能の”Iris Xe Graphics”を搭載。その性能はMX400に匹敵するレベルで、内蔵タイプにしては破格の性能となっています。基本的な編集作業ならIris Xe Graphicsで十分対応できます。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 1824 | 1634 | 5398 | ー |
Night Raid | 16081 | 21269 | 6751 | ー |
Fire Strike | 4997 | 5397 | 14548 | 1968 |
Sky Diver | 15580 | 15918 | 13938 | 15862 |
Cloud Gate | 21120 | 31027 | 9974 | ー |
Ice Storm | 117078 | 158521 | 61137 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングやオフィス作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、スコア5000の大台を突破。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業はもちろん、動画・画像編集にもしっかり対応できます。
なお、Core i5-1335Uとは総合スコアで約2%とほぼ互角。詳細スコアもほぼ同じような結果となっています。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。結果は秒で表記しています。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1355U | 1694 | 864 | 171 |
Core i5-1335U | 1345 | 688 | 145 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core i5-1335Uよりも変換に時間がかかり、約20~21%と大きく差をつけられています。また、QSVでもは約15%差とこちらも大きめです。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1355U | 3091 | 1512 | 217 |
Core i5-1335U | 2387 | 1175 | 226 |
次に重量級のH.265をチェック。ソフトウェアエンコードでは変わらずCore i5が有利で、Core i7に約22~23%差をつけています。その一方、QSVでは逆転し、Core i7がCore i5に約4%差をつけています。
Lightroom Classic CC
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。結果は秒で表記しています。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1355U | 39 | 165 |
Core i5-1335U | 29 | 140 |
このテストも同じような傾向ですね。Core i5-1335Uよりも変換に時間がかかっており、軽めのDNGでは約26%、重量級のJPEG変換では約15%差となっています。
スリム&コンパクトボディということで、冷却との兼ね合いから、パワーをセーブしている感じ。こればかりは仕方ありません。
ドラクエ10
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
WXGA | 7604 | 8878 | 9839 |
WUXGA | 6478 | 7244 | 7061 |
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
超軽量級のオンラインゲームということで、WUXGAでも余裕でスコア5500をクリアします。ただし、あくまでも内蔵グラフィックなので、フルHD(WUXGA)でプレイできるのは、ドラクエ10やVALORANTなど軽めのものに限られます。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
WXGA | 7142 | 8853 | 10870 |
WUXGA | 4218 | 5889 | 7844 |
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。快適にプレイするなら、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
さすがに重めのゲームには厳しく、WUXGAではスコア9000をクリアすることはできません。ただし、WXGAではスコア9000を超えており、内蔵グラフィックのたしかな進化を感じさせます。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSDを搭載しています。実質100GB未満の128GB SSDよりも余裕があり、動画や画像などデータ類を多めに保存することが出来ます。もちろん、SSDは通常のSSDよりも4~5倍速いNVMeタイプのSSDで、Micron製となっています。
その実力ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは1000~3000MB/sをマーク。ランダムもしっかり速度が出ており、まさに教科書通りといったところ。実際の使用感も非常に快適。ブラウジングや各種アプリの動作などサクサク動きます。
なお、編集用途でガッツリ使うなら、SSDの容量を増やすのがおすすめです。
温度
CINEBENCH R23実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
フルロード時でのP-コアの動作クロックは2.6GHzと控えめながら、温度は100℃手前とかなり高く、冷却性能はそれなりといったところ。これだけスリム&コンパクトボディだと、パワーをセーブしないと、冷却が追い付かない感じですね。
動作音
CINEBENCH R23実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※無響室・防音室での測定ではないので、あくまで参考までにどうぞ
本体正面にて計測した結果です
50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で50.8デシベルと若干上回っています。基本的には静かですが、甲高いノイズがちょっと気になりますね。
なお、アイドル時は46.7デシベルですが、ファンが低速回転の状態なので、ほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。下記条件で、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:トップクラスの電力効率
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
このモデルでは、大容量の64Whバッテリを搭載しており、結果は約13時間とモバイルノートの目安である10時間を大きくクリア。出先でも安心して使えるロングライフバッテリーとなっています。
充実した付属アプリ
国内メーカーモデルらしく、各種アプリが充実しています。
”富士通アドバイザー”をはじめパソコンの管理ツールが用意され、PCのアップデートや、診断機能が用意されており、ハードウェアのトラブルに対応できます。
また、”@メニュー”ではパソコンの操作などを詳細に解説しており、初心者の方でも安心して使うことができます。海外メーカーに比べるとだいぶ親切ですね。
また、おなじみCyberLinkの”PowerDirector”や”PhotoDirector”がインストールされており、動画や画像編集もお手の物。趣味で編集作業をやる方にはうれしい内容ですね。
サウンドシステムには、有名どころの”Dolby”を採用しています。Lenovo Vantageでは使う場面に応じ、ワンタッチで簡単に変更できるほか、Dolbyの専用アプリで好みのサウンドを設定できます。
その実力ですが、低音~高音までしっかり伸び、音質にも厚みがあり、サラウンドもバッチリ効いているので、迫力&臨場感のあるサウンドを楽しめます。スリムな見かけによらず、内蔵スピーカーにしては上々のクオリティとなっています。
まとめ&関連モデル
他社を寄せ付けない圧倒的な軽さを誇り、価格も12万円台~と安く、標準で3年保証付き(要登録)。コスパも優れており、14インチモデルで軽さにこだわるならまずおすすめです。
LIFEBOOK UH WU-X/H1[世界最軽量モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ WUXGA ノングレア
■CPU:Core i5-1335U
■メモリ:8GB(LPDDR5-6000)
■グラフィック:Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■価格:154,800円(税込)~
インテルの第13世代10コア12スレッドCPU・Core i5-1335Uを搭載した世界最軽量モデル。8GBメモリに256GB SSDのポイントをおさえた初期構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。動画や画像編集などのヘビーな作業をサクサクこなせます。
動画や画像編集の編集用途でも使うなら、CPU・メモリ・ストレージを増やすのがおすすめ。なお、キーボードのLEDは非搭載で、カスタマイズもできません。
LIFEBOOK UH WU2/H1[軽量モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ WUXGA ノングレア
■CPU:Core i3-1315U
■メモリ:4GB(LPDDR5-6000)
■グラフィック:UHD Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■価格:129,100円(税込)~
レビューモデルのベースとなる構成です。バッテリーは25Whが標準なので、バッテリーの持ちを重視するならカスタマイズしましょう。