今回マウスコンピューターの【mouse SL5】をお借りしました。
置く場所を選ばないスリムケースに、6コア12スレッドのCore i5-10400を搭載した、オールラウンダーモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2021年10月10日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
省スペースのスリムケース
設置スペースが限られているなら、省スペースと拡張性を両立した、スリムケースがまずおすすめ。コンパクトモデルに比べ、価格が安いのもポイントです。
サイズはW100×D390×H365mmと、横幅はわずか10cm!ミニタワーケースの約半分のスリムボディなので、わずかな隙間にも設置することができます。
一通りセットしてみると、こんな感じ。なお、ディスプレイは23.8インチです。
なお、奥行き&高さは、ミニタワーケースとほぼ同じとなっており、拡張性は高め。
底面はこの通り、横長のゴム足が2つ設置されています。本体の振動をしっかり吸収し、機能面では特に問題ありません。
ちなみに、付属のゴム足を使うことにより、横置きでも使うことができます。
ほこり対策も万全
スタンダードモデルながら、ケースは意外と機能的。
フロントパネル中段の吸気口には、なんとダストフィルターが装備されています。しかも、フィルターはワンタッチで取り外すことができ、水洗いできる優れもの。
さらに、サイドパネル上段の吸気口にも、ねじ止めタイプのダストフィルターを設置する徹底ぶりです。ほこりは静電気の発生源&故障の原因にもなるので、これはポイント高いですね。
できれば、下段にも欲しかったところです。
充実したインターフェース
インターフェースはポイントをおさえたラインナップとなっています。
USBは、全てオーソドックスなUSB 3.0で、フロント・背面あわせて計6ポート搭載しています。高速のUSB 3.1 Gen.2や、小型&リバーシブルのType-Cポートこそありませんが、ポートの数は十分なので、周辺機器の接続にはまず困りません。
そのほか、SDスロットは装備しているものの、光学ドライブはオプションとなっています。最近では、ダウンロードコンテンツが増えているので、正直無くてもどうにかなります。
映像端子はDisplayPort・HDMIのデジタル2ポートを装備しており、2画面出力にも対応しています。
ちなみに、ネットワーク通信は、有線LAN&無線LANの両方に対応しており、無線環境オンリーでも使えるのがポイント。
無線LANは、最新のWi-Fi 6(802.11ax)にしっかり対応。現行のWi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、無線でのブラウジングがより安定します。
内部
高めの拡張性
奥行きと高さは、ミニタワーケースとほぼ同じなので、拡張性も高めです。
ストレージ用のベイは、ケース下部に設置されており、HDDを搭載する3.5インチベイは2基、SSDを搭載する2.5インチベイは2基となっています。これだけあれば十分すぎますね。
光学ドライブは、スリムベイが用意され、オプションにて追加可能です。
内部のエアフローですが、フロント部分に8cmファンを搭載。前面から吸気し、背面&天板に排気する自然なエアフローを生み出しており、通気性は良好です。
市販規格のパーツ
BTOモデルらしく、各パーツには市販規格のものを採用しており、購入後に自身での交換は思うがまま。
マザーボードは自作でおなじみのASRock製で、やや小型の”MicroATX”規格を採用しています。
ボードそのものの完成度も高く、熱くなりがちな電源周りとM.2 SSDスロットにはヒートシンクを装備し、熱をしっかり発散できるようになっています。さらに、PCIeスロットは金属パーツで補強されており、破損しにくいのもポイントです。
ちなみに、グラボは搭載可能ですが、横幅が狭いため、小型のロープロファイルモデルのみ搭載できます。なお、このサイズのモデルはエントリークラスに限られ、現行モデルだとGTX 1650が上限となります。
ブロンズクラス電源搭載
各パーツに電力を供給する、いわばPCの心臓ともいえる電源には、300Wのブロンズクラス電源を搭載。電力変換効率は最大85%となっており、コンセントからの電力を効率よく変換できる、省エネ・低発熱の優れものです。
ちなみに、300WでもGTX 1650を動かすことは可能ですが、あくまでも最低限の容量。HDDなどを追加するのであれば、容量を増やすのがおすすめ。
こちらも市販規格のものを搭載しており、小型の”TFX”規格を採用しています。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで性能をチェックしてみましょう。
CINEBENCH
【CINEBENCH】は3Dグラフィックのレンダリング性能を測るソフトです。
このモデルでは、インテルの第10世代ミドルクラスCPU・Core i5-10400を搭載しています。6コア12スレッドなだけあり、マルチ性能は1300cb台とかなり高め。普段使いには十分すぎる性能で、動画や画像編集でも高いパフォーマンスを発揮します。
ちなみに、上位の8コア16スレッドCPU・Core i7-10700との性能差は約20%程度となっており、編集作業メインならCore i7がおすすめです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
第10世代のCPU内蔵グラフィック(UHD 630)なので、性能は最低限。オンラインゲームを楽しめるほどの性能はありません。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 422 | 365 | 3907 | ー |
Night Raid | 4870 | 4525 | 8577 | ー |
Fire Strike | 998 | 1058 | 14197 | 354 |
Sky Diver | 3995 | 3585 | 10103 | 3814 |
Cloud Gate | 8017 | 7585 | 10016 | ー |
Ice Storm | 46045 | 43471 | 58088 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
動画や画像編集用途の目安となるスコア3000は余裕でクリアし、スコア4000台をマーク。オールラウンダーモデルらしいスコアですね。
なお、Core i7-10700との差は、総合スコアで約18%となっています。基本的にはCore i5で十分ですが、とことん性能にこだわるならやはりCore i7がおすすめです。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のことです。
H.264(フルHD/4K) | 2Pass | 1Pass | NVENC・QSV |
Core i5-10400 | 26:22/1:23:10 | 13:24/41:55 | 3:36/12:24 |
Core i7-10700×GTX 1650 | 20:22/1:01:33 | 10:40/31:08 | 2:21/6:45 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、コア・スレッド数の差がきっちり出ており、Core i7がCore i5よりも約20~26%早く変換を完了しています。
ちなみに、NVIDIA製のグラボ搭載モデルでは、超高速のハードウェアエンコード・NVENCを利用することができます。上位モデルで搭載されているGTX 1650と比較してみると、UHD 630よりもフルHDでは約35%、4Kでは約46%も早く変換を完了しており、圧倒的です。
H.265(フルHD/4K) | 2Pass | 1Pass | NVENC・QSV |
Core i5-10400 | 38:49/2:26:17 | 19:11/1:12:44 | 6:17/21:38 |
Core i7-10700×GTX 1650 | 33:52/2:05:22 | 17:23/1:02:49 | 2:39/6:12 |
重量級のH.265では、ソフトウェアエンコードで両者の差が縮まり、両者の差は約9~14%となります。一方で、ハードウェアエンコードではその差が拡大し、フルHDでは約58%、4Kでは約72%にもなります。
動画編集をガッツリやるなら、グラボ搭載モデルがおすすめ!
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が意外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i5-10400 | 1:37 | 5:43 |
Core i7-10700 | 0:54 | 2:57 |
画像変換もCPUの性能勝負ということで、Core i7がだんぜん有利。両者の差は、軽めのDNG変換では約46%、重量級のJPEG変換でも約48%と、Core i7では約半分程度の時間で変換できます。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 10747 | 12949 | 15174 |
フルHD | 5064 | 6672 | 7982 |
HDは余裕のスコアですが、フルHDでは標準品質でようやくスコア5500以上をキープできます。かなり軽めのゲームでこの結果なので、オンラインゲームには不向きです。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 1877 | 2171 | 3887 |
フルHD | 864 | 1055 | 1878 |
重量級のゲームなので、この通り全く歯が立ちません。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックするソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSDのシンプルなシングルストレージ構成です。ブラウジングやオフィスソフトなど軽作業では十分な容量ですが、編集作業でも使うなら、別途HDDを追加するのがおすすめ。
SSDのタイプは従来のSATAⅢで、KINGSTON製のものを搭載しています。肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは速度がしっかり出ている一方、ランダムはそこそこというレベル。スタンダードなSATAⅢ SSDといったところですね。
高速のNVMeタイプほど速度は出ませんが、SSDともなると数値の差は体感できず、実際の動作のとても快適。OSの起動から各種アプリの動作もサクサク動き、まさにストレスフリーです。
温度
こちらはFF14ベンチマークを実行した際の各パーツの温度です。なお、室温は25℃です。
CPUの温度は、50℃台の非常に低い温度をキープ。標準的な小型のCPUクーラーですが、通気性が高いので、良く冷えていますね。
動作音
同じくFF14のベンチマークにて、実際の騒音値を測定してみました。※無響室・防音室での測定ではないので、あくまで参考までにどうぞ
ケースの左側面にて計測した結果です
50デシベルが一つの目安となりますが、ピーク時で50.6デシベルと、ほぼ50デシベルきっかり。ファンは高速回転していますが、ノイズは控えめで、さほど気になりません。
なお、アイドル時は48.2デシベルと、かすかにファンの音が聞こえるレベルで、非常に静かです。
まとめ&関連モデル
省スペースのスリムボディは、ミニタワーケースに近い拡張性を確保し、さらにダストフィルターを標準装備するなどとても機能的。Core i5の性能も十分高く、ブラウジングから編集作業まで一通りこなせるスタンダードモデルとしておすすめです。
ちなみに、価格はミニタワーモデルと同じなので、拡張性重視ならミニタワーがおすすめ。また、編集作業の多い方は、グラボ搭載モデルを選ぶと、より作業がはかどります。
mouse SL7-G
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Core i7-10700
■メモリ:8GB(DDR4-2666)
■グラフィック:GTX 1650
■ストレージ:SSD 512GB(PCIe NVMe)
■電源:400W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:IEEE 802.11ax+Bluetooth 5.0
■光学ドライブオプション/有線キーボード&マウス付属
■価格:131,780円(税込)~
Core i7-10700×GTX 1650の高性能モデルです。編集作業はもちろん、フルHDでオンラインゲームを楽しむことができます。
mouse DT5
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Core i5-10400
■メモリ:8GB(DDR4-2666)
■グラフィック:UHD 630(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB
■電源:350W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:IEEE 802.11ax+Bluetooth 5.0
■光学ドライブオプション/有線キーボード&マウス付属
■価格:76,780円(税込)~
今回紹介したモデルのミニタワーバージョンです。
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