今回VAIOの【VAIO SX14】をお借りしました。
14インチモデルとは思えない超軽量ボディを実現した、ハイクオリティのモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2022年1月23日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
14インチらしからぬ超軽量ボディ
ボディは、14インチサイズとなっています。モバイルノートで定番の13インチモデルよりも大きな画面を搭載し、それでいて軽量ということで、最近人気のサイズですね。
ボディをコンパクトにするため、ベゼル(ふち)が狭い”スリムベゼル”を採用し、横幅と奥行きをできる限り圧縮。
その結果、A4ファイルサイズ並みのサイズを実現しています。
さらに、厚さも最厚部で17.9mmと、2cmを切るスリムボディということもあり、カバンにサッと収納できます。
極めつけがボディの重さで、なんと最軽量モデルで999g!さすがに1kg前後だと本体の重さをあまり感じないので、持ち運びが本当に楽ですね。
13インチモデルならいざ知らず、14インチモデルで1kg前後というのは、他社を圧倒するレベル。およその相場は1.3~1.5kgということを考えると、そのすごさがわかります。
ちなみに、軽さの秘訣は、天板の”カーボンファイバー”です。航空機にも使われる素材なだけあり、とても軽くて頑丈。持ち運びの際も安心です。
デザインは、すっきりした直線フォルムに、スリムボディも相まって、とてもスタイリッシュ。漆黒のボディに、シルバーの装飾やVAIOのロゴがばっちり決まっており、スマートな印象を受けますね。
国産モデルらしく、カラバリが非常に豊富。貸出機のブラックのほか、ホワイト・シルバー・ブロンズの全4色が用意されています。定番カラーから、華やかなカラーまで幅広く選べるのはいいですね。
ビジネスからカジュアル用途まで、しっかり対応できます。
リフトアップヒンジ搭載
機能面もしっかり考えられており、”リフトアップヒンジ”を搭載しています。リフトアップヒンジとは画面を開いたときに、ボディがせり上がるギミックのこと。
適度な傾斜ができるためタイピングしやすくなるほか、接地面とパソコンの間にすき間が空くことで、給排気がスムーズになり、冷却能力もアップします。下にノートPCクーラーを置いているようなもので、熱い夏場でも安心。
リフトアップヒンジ搭載モデルは多くなってきていますが、このモデルは特に傾斜が大きく、かなりタイピングしやすいのはいいですね。
充実したインターフェース
インターフェースはモバイルノートらしからぬ充実ぶりです。
USBは全4ポートと、モバイルノートにしては多めに搭載。
最新規格をしっかりおさえており、小型&リバーシブルのType-Cポートは、USB 4規格となっています。USB 4は、最大10Gbpsの高速転送・大容量給電・高解像度出力が可能なハイスペック規格で、さらに”Thunderbolt 4”にも対応しています。対応機器であれば、最大40Gbpsの超高速転送も可能です。
Type-CとType-Aポートの両方を搭載しているので、変換ケーブルを使うことなく様々な周辺機器に対応できるのは◎。
また、映像端子にHDMIポートを搭載するほか、モバイルノートで省略されがちなLANポートを搭載する徹底ぶりで、普段使いに必要なものは一通り網羅しています。SDスロットがあればパーフェクトでしたね。
なお、カスタマイズにて、LTEモジュール(nanoSIM)を追加することができます。データ通信SIMさえあれば、いつでもどこでもネット環境を利用できます。フリーWiFiスポットを探す手間が省け、まさにストレスフリーですね。
SIMはカスタマイズ画面でも購入できます。
安心のセキュリティ機能
スタンダードノートでは珍しく、カメラ部分にプライバシーシャッターを装備しています。使わないときはシャッターを閉めることで、不正アクセスなどからプライバシーを保護することができます。デバイス機能のON/OFFではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心ですね。
さらに、電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載の高品質ディスプレイ
ディスプレイは、モバイルノートではやや大きめの14.0インチサイズを搭載しています。主流の13.3インチに比べると一回り大きく、ゆったりとした感じで視認性は上々です。
解像度は現在主流のフルHDとなっています。HDよりもきめ細かい画面表示ができるほか、表示領域が広く、オフィスソフトでの作業もはかどります。
パネルには高コントラスト・高発色・高視野角の3点を兼ね備えた、IPSパネルを採用。画面表示はとても美しく、動画鑑賞などを思う存分堪能できます。
この通り、横から見ても色むらがほとんどありません。
完成度の高いキーボード
13インチ+αのサイズということで、テンキーレスキーボードを採用しています。よく見ると、キーボード面はオシャレなヘアライン調のデザインになっており、スタイリッシュなデザインとよくマッチしていますね。
テンキーを省略しているので、だいぶゆとりがあります。基本的なキーは大きく造られ、キーピッチも約195mmとデスクトップキーボード並みの間隔を確保。さらに、配置そのものも素直ということもあり、誤爆の心配はまずありません。
キーストロークは、浅すぎず深すぎず、一般的なノートPCそのもの。反発はやや弱く、あっさりした打鍵感となっています。ちなみに、キートップは中央部分がカーブしており、指になじみやすくなっているのもポイントです。
また、最近のトレンドはバッチり抑えており、キーボードには白色LEDを内蔵しています。ふんわり浮かび上がるような輝き方で、とても上品な感じ。ON/OFFの設定は付属アプリで調整可能で、さらに、消灯までの時間まで設定できる親切仕様なので、とても便利です。
分離タイプのタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが別の分離タイプとなっています。一般的なノートでこのタイプは、ちょっと珍しいですね。
タッチパッドはサラサラした素材になっており、カーソル操作はとてもスムーズ。クリックボタンも分離しているので、一体型よりも操作性がとても高く、軽く押すだけでしっかり反応し、非常に快適。クリック音が小さいのもグッドです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
貸出機では、インテルの最新世代となる、第11世代の4コア8スレッドCPU・Core i7-1195G7を搭載しています。最新世代では強力な内蔵グラフィック機能・Iris Xe Graphicsを搭載しているのがポイント。従来の内蔵グラフィックを軽く凌ぐ高い性能で、編集作業から軽めのオンラインゲームまで対応できます。
参考までに、下位グレードの4コア8スレッドのCore i5-1135G7と比較してみると、シングル性能は約17%、マルチ性能は約70%も高くなっています。最大5.0GHzにもなる高クロックCPUということで、性能はとても高いですね。
それにしても、短時間のブースト性能とはいえ、シングル性能が200cbオーバーというのは驚異的。デスクトップ用CPUに匹敵するレベルです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
高いパフォーマンスがセールスポイントとなる”Iris Xe Graphics”の実力ですが、下位の内蔵グラフィック・UHD Graphicsの約3~4倍にもなる破格の性能となっています。
総合スコア | Graphics Score |
CPU/Physics Score |
Combined Score |
|
Time Spy | 2029 | 1824 | 5631 | ー |
Night Raid | 18390 | 21825 | 9721 | ー |
Fire Strike | 5329 | 5769 | 15594 | 2083 |
Sky Diver | 16187 | 16667 | 13388 | 17860 |
Cloud Gate | 22564 | 33058 | 10689 | ー |
Ice Storm | 131938 | 166054 | 76750 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
快適な動作が期待できるスコアは3000以上となりますが、スコア5000の大台を突破しており、パワーは十分。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業はもちろん、動画・画像編集にもしっかり対応できます。
なお、Core i5-1135G7との差は、総合スコアで約19%と大きめ。各スコアを見ても、ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業から、編集作業までまんべんなくスコアが高く、特に動画や画像編集などの機会が多い方はCore i7がおすすめ。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1195G7 | 34:35 | 16:56 | 2:23 |
Core i5-1135G7 | 49:21 | 25:21 | 3:16 |
まず軽めのH.264をチェック。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、やはりクロックの高いCore i7-1195G7が有利。Core i5-1135G7よりも約30~37%早く変換を完了しています。また、QSVでも約27%差をつけています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1195G7 | 53:16 | 26:07 | 4:01 |
Core i5-1135G7 | 1:15:22 | 37:09 | 4:05 |
重量級のH.265では違う傾向となり、ソフトウェアエンコードでは、Core i7がCore i5に約29~30%差をつけて圧倒しています。一方、QSVではほぼ互角と、結果はまちまちです。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1195G7 | 0:50 | 2:35 |
Core i5-1135G7 | 1:19 | 3:50 |
このテストでもCore i7-1195G7がCore i5-1135G7よりも早く変換を完了しており、軽めのDNG・重量級のJPEG変換ともに約37%差をつけています。
ゲーミングノートならともかく、一般ノートでこのパフォーマンスの高さは驚異的。さすがに5.0GHz駆動は立てじゃないですね。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
フルHD | 13978 | 15290 | 16556 |
オンラインゲーム屈指の軽さとは言え、フルHDでスコア10000を軽々突破。従来のUHD GraphicsだとフルHD・標準品質でもスコア5500前後だったことを考えると、革命的といえます。
FF14(ファイナルファンタジー14 暁月の終焉)
知名度バツグンの国内産MMORPGですね。スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。現行のゲーミングPCであれば、フルHD・最高設定でスコア9000をしっかり超えたいところ。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 8207 | 10174 | 12859 |
フルHD | 4557 | 6284 | 8083 |
重めのゲームなので、スコア9000オーバーには、解像度をHDまで落とす必要があります。フルHDでオンラインゲームを楽しめるのは、軽めのものに限られ、基本的にはHDが適正レベルですね。
以前はまともに動かすことすら厳しかったことを考えると、大幅な進化を遂げているのは確かですが、ゲームで使うにはまだまだ性能が足りません。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは大容量の512GB SSDを搭載しています。一般的なモデルの2倍にもなる大容量で、アプリはもちろん、データ類も多めに保存できます。なお、編集用途であれば、1TBに増やすのがおすすめ。
SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプで、なんと超高速のPCIe Gen.4規格を採用する本格派仕様。なお、メーカーはサムスンとなっています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書きは、コンスタントに4000MB/sをマークし、一部6000MB/sとまさに爆速。一方、ランダムも下位のGen.3タイプを大きく上回り、トータルのクオリティは非常に優秀です。もちろんOSの起動からアプリの動作までサクサクで快適そのもの。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
ピーク時では70℃台の安定した温度をキープ。高クロックCPUでこの温度なら、冷却性能は十分といえますね。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ
50デシベルを超えるとノイズ感が気になるようになりますが、この通り54.5デシベルと大きく上回っています。ゲーミングノートクラスのノイズレベルで、ファンは豪快に回転しています。高性能&高冷却の反面、静音性が犠牲になっていますね。。
なお、最小時は46.9デシベルとありますが、アイドル状態なので、ほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、標準
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は、約11時間20分と、モバイルノート目安となる10時間をしっかり超えています。これなら出先でも安心して使えます。
便利なユーティリティー機能
システムコントロールでは、動作モードの変更やLEDイルミネーションの設定、ファンクションキーの設定などをワンストップで変更できます。とてもシンプルなツールで、わかりやすいのがいいですね。
なお、サウンド設定ツールは特にありません。肝心のサウンドクオリティですが、中音メインで、音質は軽め。内蔵スピーカーの標準クオリティといった感じです。
まとめ&関連モデル
なんといってもボディの軽さですね。14インチモデルで1kg前後はとんでもなく軽く、大画面のモバイルノートで軽さを特に重視するなら、このモデルがまずおすすめです。
モデルの完成度も高く、タフなカーボンボディに、リフトアップヒンジやLED内蔵キーボードをはじめ、指紋認証センサーやプライバシーシャッターなどを装備。プレミアムモデルにふさわしいクオリティを実現しています。
VAIO SX14[ベースモデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
14.0インチ フルHD ノングレア
■CPU:Celeron 6305
■メモリ:8GB
■グラフィック:UHD Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 128GB(PCIe NVMe Gen.3)
■価格:147,400円⇒137,400円(税込)~
カスタマイズのベースとなるモデルです。Celeronではパワー不足でもたつくので、ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業でも、Core i3-1115G4にしておきたいところ。
動画や画像編集などヘビーな作業であればCore i5-1155G7以上で、16GBメモリ&512GBにカスタマイズするのがおすすめです。
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