今回レノボの【ThinkBook 13s】をお借りしました。
ビジネスノートでおなじみ”ThinkPad”の派生モデルとなる”ThinkBook”ー高いクオリティで低価格を実現した、コスパばつぐんの13インチモバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2020年3月10日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
※割引クーポンは販売サイトに記載してあります。
外観
カジュアルなデザイン
重厚感のあるブラックボディの、いかにもビジネス向けなThinkPadとは異なり、ThinkBookではミネラルグレーのカジュアルなイメージに仕上がっています。どちらかというと一般ノートブランドの”Ideapad”に近い印象を受けますね。
ボディの素材にはアルミニウム合金を使用しています。剛性が非常に高い、たわみ知らずのタフボディなので、持ち運びの際も安心。
ちなみにThinkPadでは、ガラス繊維を織り交ぜた繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維(カーボン)を使用していますが、それとはまた異なるアプローチで強度を確保しているというわけですね。
アルミボディの表面は非光沢の梨地加工が施され、美しい仕上がりとなっています。また、サラッとした上質な触り心地も相まって、高級感を感じさせます。
デザインはレノボらしく、装飾を極力排した機能美あふれるシンプルなもの。クセがないので、ビジネスシーンにもうまくマッチします。
基本シンプルではありますが、ヒンジはラウンドフォルムとなっており、なかなかオシャレ。
また、電源ボタン・タッチパッド周りは光り輝くダイヤモンドカット加工が施され、とても美しい仕上がりです。こういった造り込みの高さは好印象ですね。
持ち運びに便利なコンパクト&軽量ボディ
このモデルは持ち運びがしやすい13インチサイズとなっています。持ち運び&据え置きに最適なジャストサイズで、モバイルノートならまずおすすめ。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリムにすることで横幅と奥行きを圧縮し、A4ファイルサイズよりも小さいサイズを実現しています。
また、厚さは15.9mmとスリムなので、カバンへの収まりもバツグン。重さは実測で1316gと1.3kgを若干上回るくらいなので、持ち運びもラクラクです。アルミボディは重くなりがちなのですが、この重さに抑えているのはなかなか立派。
ちなみに、レノボはモバイルノートの種類が豊富ですが、軽量でリーズナブルなモデルが意外と少なく、モバイルノートではこのモデルがまず筆頭候補となります。
ポイントをおさえたインターフェース
インターフェースの内容はしっかりポイントをおさえています。
小型のモバイルノートですが、USBは3ポート搭載。全てがUSB3.1規格ですが、そのうち左サイドのType-Cポートは、最大10Gbpsの高速転送や大容量給電に対応した【Gen.2規格】となっています。
ポートの数はもちろん、規格や端子のタイプなど一通り押さえており、周辺機器の接続にはまず困りません。
そのほか映像出力用にHDMIポートを搭載しています。SDスロットがあればなおグッドでしたね。あると意外に便利だったりします。
ちなみに、この通りレノボの風物詩”180°開閉ディスプレイ”も健在です。
セキュリティ対策も万全
ThinkPadの弟分ということでセキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
ちなみに、右上の電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイは13.3インチサイズで、現在主流のフルHD解像度となっています。HDよりも画素が多い分表示領域も広く、オフィス作業もはかどります。なお、表面は映り込みの少ないノングレアタイプなので、自分の顔とにらめっこすることなく、作業に集中できるのもいいですね。
ディスプレイのパネルには、高い発色とコントラストが魅力のIPSパネルを採用。鮮やかでくっきりした映像クオリティで、動画鑑賞などエンターテインメント用途にも最適です。
さらに視野角も広く、横から覗いても色むらがほとんどないのもポイント。
ハイクオリティのキーボード
横幅の狭い13インチボディなので、テンキーレスキーボードを搭載しています。
”Space”や”Enter”キーの周囲が連結仕様となっているものの、基本的にキー配置は素直です。キーピッチは約19mmとデスクトップキーボードなみのゆとりがあるので、基本的に誤爆の心配はありません。
ThinkBook独自のキーとして、ファンクションキー列にSkype通話の受信と終了が行えるキーが配置されています。便利なSkype電話会議をよりスムーズにする、便利なキーですね。
キーストロークは浅すぎず深すぎず、標準的な深さですが、反発感がしっかり感じられ、打鍵感は上々です。表面もアルミパネルなので剛性も非常に高く、タイピング圧力が高い方でも安心。
なお、打鍵感ならやはりThinkPadが一枚…二枚ほど上手ですね。キーストロークはかなり深めで、反発感も格段に高く、スコスコした小気味いい打鍵感はちょっとクセになりそうな感じです。やはり伝統のクオリティなだけありますね。
もちろんトレンドの白色LEDもしっかり内蔵しています。薄暗い場所でタイピングしやすいのはもちろん、見た目も華やかになり、高級感がグッと増します。光り方ですが、下からしっかり照らし出すので、かなり派手な感じ。最大輝度だとなかなかの明るさです。
ちなみに、ファンクションキーで2段階+OFFの切り替えが可能なので、LEDが苦手な方も安心。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
タッチパッドはサラサラした材質で、カーソル操作はとても滑らか。クリックボタンもカチカチと軽い力で反応し、応答性もバツグン。さらに建付けもよく、一体型にありがちなバタバタした感じが無いのもグッド。
便利なユーティリティーソフトを完備
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。各種動作設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
電源設定の”インテリジェント・クーリング’‘は、パフォーマンス・冷却を見事に両立する優れモノ。バッテリーの持ちもよく、手動でいじるよりよっぽど優秀な機能ですね。
サウンドエンジンは有名どころの”Dolby Atmos”を搭載しています。
Lenovo Vantageでは使う場面に応じ、ワンタッチで簡単に変更できるほか、Dolbyの専用アプリで好みのサウンドを設定できます。
なお肝心のスピーカーの音質ですが、中音メインで高音・低音は弱め。サラウンド効果もそこそこで、スタンダードな内蔵スピーカーといったところですね。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


前世代のモデルということで、インテル第8世代の4コア8スレッドCPU・Core i5-8265Uを搭載しています。4コア8スレッドのマルチコア・スレッド構成となっており、ブラウジングやオフィス作業はもちろん、動画や画像編集など重い作業までこなせるオールラウンダーCPUです。
なお、現行モデルでは第10世代のCore i5-10210Uを搭載。同じく4コア8スレッドCPUながら、しっかりパワーアップしています。
参考までに比較してみると、シングル性能こそ変わらないものの、マルチ性能は約29%も向上。内蔵グラフィックも強化され、Open GL性能も約24%向上しており、最新世代の性能の高さをうかがうことができます。
PCMark 8&PCMark 10
【PCMark 8】はブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的なノートパソコンで想定される用途での性能を測るソフトです。
まさにオールラウンダーモデルにふさわしい性能で、いずれのテストでも現行ノートの標準的な性能指標よりも高いスコアをマークしています。ブラウジングやオフィスソフト、編集作業など一通りやりたい方は、まずCore i5がおすすめです。
なお、Core i5-10210Uはさらに約10%ほど性能が高く、より使い勝手が向上しています。
こちらは上記のテストを一元化した【PCMark10】の結果となりますが、動画や画像編集用途の目安となるスコア3000をしっかり超えています。Core i5-10210Uとの性能差は総合スコアで約23%と大きく開き、スコア4000の大台を突破。
個別スコアで見てみると、動画・写真の加工テスト”Digital Content Creation”では約34%も高いスコアをマークしており、編集用途でより高いパフォーマンスを期待できます。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のことです。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i5-8265U | 1:08:10 | 34:22 | 4:56 |
Core i5-10210U | 59:02 | 31:13 | 3:46 |
最新の内蔵グラフィック”UHD Graphics”を内蔵したCore i5-10210Uの方が圧倒的に性能は上。Core i5-8265Uに対し、2Passでは約87%の時間で変換を完了し、QSVともなると、約76%とさらなる時短効果を発揮します。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i5-8265U | 1:41:17 | 50:36 | 6:48 |
Core i5-10210U | 1:27:22 | 45:11 | 5:35 |
重量級のH.265でもCore i5-10210Uの方が有利ですが、やや異なる結果となっています。Core i5-8265Uに対し、2Passでは約86%とほぼ変わらないものの、QSVでは約63%と大幅に時間を短縮しています。
QSVの性能が恐ろしく向上しており、動画編集の機会が多い方は最新のCore i5がだんぜんおすすめです。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が意外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i5-8265U | 2:43 | 6:55 |
Core i5-10210U | 2:13 | 5:10 |
やはりCore i5-10210Uが有利で、軽めのDNG変換ではCore i5-8265Uに対し約82%ときっちり差をつけ、重量級のJPEG変換では約75%とさらに時間を短縮しています。
動画だけでなく画像編集でも最新のCore i5が非常に高いパフォーマンスを発揮します。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 4879 | 8011 | 6980 |
フルHD | 3319 | 3306 | 4061 |
結果はこの通りフルHDでは厳しく、HDでやっと動かせるレベルです。Core i5-10210UだとフルHDが射程圏内入りますが、最高設定ではスコア5500を超えることができず、まだまだ内蔵グラフィックでオンラインゲームは厳しい感じです。
PSO2
こちらはやや軽めのゲームです。エピソード4にてグラフィック描写が「設定6」に引き上げられましたが、それでもやはり軽いことに変わりありません。スコア4500以上で平均60fpsをキープできます。
設定6 | 設定5 | 設定4 | 設定3 | |
HD | 883 | 1535 | 1590 | 2339 |
フルHD | 295 | 828 | 757 | 1147 |
PSO2もかなり軽めのゲームではありますが、フルHDはおろかHDでもスコア4500を超えることができません。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 2084 | 1608 | 1153 |
フルHD | 647 | 884 | 1240 |
PSO2の時点で厳しいので、FF14なら言わずもがなです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。PCの性能指標として、参考まで。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Time Spy | 387 | 340 | 1827 | ー |
Fire Strike | 911 | 982 | 5242 | 328 |
Night Raid | 2915 | 3036 | 2379 | ー |
Sky Diver | 3854 | 3637 | 6037 | 3524 |
Cloud Gate | 7027 | 7826 | 5178 | ー |
Ice Storm | 51689 | 57392 | 38353 | ー |
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSDのみ搭載したシングルストレージ仕様となっています。SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用しています。メーカーはなかなかお目にかかれないUnion Memory製となっています。
実際の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み込みこそ4ケタをマークしていますが、それ以外はオーソドックスなSATAⅢレベルの速度となっており、ごくごく普通のNVMe SSDといった感じですね。
ただ、SSDともなると数値の差を体感することはできず、実際OSの起動からアプリの動作までサクサク動き、快適そのものです。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
4コア8スレッドのマルチコア・スレッドCPUですが、ピーク時でおおむね70℃の安定した温度をキープしており、冷却性能は十分。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ


50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で52.5デシベルと上回り、ファンの風切り音ががやや気になります。最近では静音性の高いモデルが多いので、できれば50デシベル前後をキープしてほしかったところですね。
ちなみに最小時では45.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。
条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約10時間10分をマーク。モバイルノートの目安である10時間をしっかり超えており、出先でも安心して使うことができます。
まとめ&現行モデル
美しいアルミボディに、指紋認証センサーやLED内蔵キーボード、さらにはIPSパネルなどを搭載。ThinkPadの派生モデルですが、どちらかというとIdeapadに近く、フル装備で高いクオリティを実現しています。
この内容で7万円台~(しかも税込み)とリーズナブルでコスパもバツグンに高く、レノボの13インチモバイルノートならまずおすすめです!
ThinkBook 13s[Core i5搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 10
■ディスプレイ
13.3インチ フルHD ノングレア IPS
■CPU:Core i5-10210U
■メモリ:8GB(DDR4-2666)
■グラフィック:UHD Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■【クーポン利用】144,100円⇒77,880円(税・送料込)~
Core i5・8GBメモリ・256GB SSDを搭載した充実の初期構成となっており、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用するこだわりよう。ブラウジングやオフィスなどの軽作業から、動画・画像編集までサクサクこなせるオールラウンダーモデルです。
ThinkBook 13s[Core i7搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 10
■ディスプレイ
13.3インチ フルHD ノングレア IPS
■CPU:Core i7-10510U
■メモリ:16GB(DDR4-2666)
■グラフィック:UHD Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 512GB(PCIe NVMe)
■【クーポン利用】198,000円⇒108,900円(税・送料込)~
Core i5よりも約10%性能が高いCore i7をを搭載したハイスペックモデル。大容量メモリ&SSDの余裕ある構成で、動画や画像編集など編集用途に最適です。
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