今回はマイクロソフトの【Surface Laptop GO】をレビュー。カジュアルモデルながら高いクオリティを誇る、Surfaceシリーズ最軽量モデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2021年2月15日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
高品質ボディ
カジュアルモデルというポジションですが、クオリティは高め。天板の素材には、アルミニウムを採用しています。
金属の高い質感は樹脂とは一線を画しており、表面は非光沢の梨地加工が施され、美しい仕上がりを実現。また、しっとりと手になじむ滑らかな触り心地も秀逸で、高級感を感じさせます。
Surfaceシリーズらしく、フラットなフォルムで、デザインそのものも非常にシンプル。機能美に全振りしたクセのないデザインは、使う人を選びません。
細部までしっかり造りこまれており、ボディの固定用ネジをオミットする徹底ぶり。ユニボディの一体感のあるフォルムは、とても洗練された印象を受けますね。
吸排気口はヒンジ部分に集約され、全く隙がありません。
なお、カラバリは、アイスブルー・サンドストーン・プラチナの3色が用意されています。ユニークなカラーから、定番カラーまで一通り押さえているのはグッド。
どのカラーも落ち着きのある色合いなので、洗練されたボディとの相性はバツグンです。
携帯性バツグンの小型ボディ
12インチクラスの小型ボディということもあり、13インチモデルよりもワンランク上の携帯性を実現しています。
ディスプレイのベゼル(ふち)が上下左右にかなりスリムなので、A4用紙(210×297mm)よりもさらに小さくなっています。イメージのように、A4ファイルサイズとは比べるまでもありません。また、厚さ15.6mmのスリムボディということもあり、カバンにサッと入れることができます。
肝心の重さですが、実測で1120gと非常に軽く、持ち運びはとてもラク。A4用紙よりも小さく、片手でかんたんに持てる軽さは、まさに文房具のような感じですね。
ちなみに、ボディそのものは樹脂(プラスチック)製ですが、グラスファイバーを織り込んだ”強化プラスチック”なので、とても頑丈。天板のタフなアルミニウムも相まって、持ち運びの際も安心です。
インターフェースは最低限
インターフェースは必要最小限の構成で、USBはType-CとType-Aの2ポートのみとなっています。12インチクラスのなので、ポート数については仕方がないといったところですね。
ただ、オーソドックスなType-AとコンパクトなType-Cの両方を搭載しているので、新旧問わず様々な周辺機器を接続できるのは◎。少ないポート数については、Bluetooth接続でしっかりカバーしましょう。
なお、電源ケーブルは、”Surface Connect”に差し込みます。マグネット方式なので、着脱しやすくなっています。
ちなみに無線LANですが、Wi-Fi 6(802.11ax)に対応しているのもポイント。現行のWi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、無線でのブラウジングがより安定します。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイサイズは小型の12.4インチと変則的な大きさです。モバイルノートの標準サイズとなる13.3インチよりもコンパクトな半面、画面サイズが小さいので、ちょっと窮屈な感じがしますね。携帯性重視なら、おすすめといったところです。
解像度は1536×1024の3:2サイズと、これまた変則的。HD以上フルHD以下となっており、いかにも12インチクラスらしい解像度です。表示領域の広さで言うなら、フルHDに軍配が上がり、表計算ソフトをガッツリ使うなら、13インチクラスを選ぶのが無難です。
公式サイトでは具体的に記載していませんが、シャープ製のIPSパネルを採用しています。発色はとても鮮やかでコントラストも高め。メリハリのきいた美しい映像クオリティで、動画鑑賞にも最適です。
もちろん視野角も広いので、どの角度から見ても色むらはほとんどありません。
ちなみに、”PixelSense ディスプレイ”ということで、タッチやペン操作にも対応しています。表面はとても滑らかで、カーソル&タッチ操作は思うがまま。さらに指紋もつきにくく、ストレスフリーの完成度です。
ただ、クラムシェル(開閉)タイプとタッチパネルとの相性はイマイチといった感じですね。ディスプレイを開いたままのタッチやペン操作はどうにも安定しません。タブレットやテントモードで使える2in1タイプのようにはいかず、「あれば便利」くらいのイメージで考えるのが吉。
ゆとりのあるキーボード
コンパクトなモデルということで、テンキーは非搭載です。
横幅いっぱいに使っており、各キーは大きく、すべて独立しています。また、配置そのものも非常に素直で、キーピッチは約19mmとデスクトップキーボード並みの間隔が確保されており、誤爆の心配はまずありません。まさに理想的な完成度といえます。
ただし、電源ボタンには注意。Deleteキーよりも内側に配置され、慣れないうちはうっかり押してしまいそうになります。こればかりは慣れの問題ですね。
機能面も充実しており、ファンクションキーのロック機能を装備。任意に固有機能とファンクション機能を切り替えられるのは、とても便利です。
また、電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねています。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズでストレスフリー。
キーストロークはノートPC標準クラスで、浅すぎず深すぎず、ちょうどいい感じ。適度な反発感も相まって、サクサク快適にタイピングできます。キーボード面の剛性が高めなのもいいですね。
ちなみに、バックライトは非搭載となっています。カジュアルモデルといえども、お値段はやや高めなので、できれば付けてほしかったところです。
滑らかなタッチパッド
キーボードもさることながら、タッチパッドの完成度も◎。
パッド部分はツルツルした材質となっており、滑らかな操作感で動作は非常にスムーズ。クリックボタンも一体型とは思えないほど建付けがよく、軽い力で確実に反応し、しかも静か。一体型だと完成度がピンキリですが、しっかり造りこまれているのは好印象です。
Dolby Audio Premium 対応オーディオ
ディスプレイもさることながら、スピーカーのクオリティも高くなっています。
音響システムでおなじみ”Dolby Audio”のサウンドエンジンを採用。
クオリティはかなり高く、低音~高音までよく伸び、厚みもあります。サラウンドもしっかり効いており、臨場感も感じられ、音楽や動画鑑賞にはうってつけです。
さすがに外付けスピーカーにはかないませんが、内蔵タイプでこのクオリティは上出来!
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


このモデルでは、インテルの第10世代4コア8スレッドCPU・Core i5-1035G1を搭載しています。スタンダードクラスのCPUで、ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業から、動画・画像編集などヘビーな作業まで一通りこなすことができる、オールラウンダーモデルです。
参考までに、上位の4コア8スレッドCPU・Core i7-1065G7と比較してみると、クロックが高い分Core i7の方が有利。シングル性能は約8%、マルチ性能は約23%高くなっています。また、高性能内蔵グラフィック”Iris Plus Graphics”を搭載しているので、OpenGL性能も約41%も高くなっています。
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
動画や画像編集用途でも使うのであればスコア3000がボーダーとなりますが、しっかり超えており、普段使いで困ることはまずありません。ただ、電源アダプターが39Wと小さめなので、スコアの伸びがイマイチといった印象です。
そのため、Core i7-1065G7との差が大きく、総合スコアでは約43%もの差がついています。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCE/QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。VCEはAMD、QSVはインテルの名称です。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i5-1035G1 | 1:14:44 | 38:59 | 4:48 |
Core i7-1065G7 | 56:22 | 27:43 | 3:15 |
高い動作クロック&高性能内蔵グラフィックを搭載した、Core i7-1065G7が断然有利。
CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では約25~29%、ハードウェアエンコードでも約33%早く変換を完了しています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | VCE/QSV |
Core i5-1035G1 | 1:47:20 | 52:39 | 5:46 |
Core i7-1065G7 | 1:15:53 | 39:34 | 3:41 |
重量級のH.265でも同じような傾向で、Core i7が有利ですね。ソフトウェアエンコードでは約25~30%、ハードウェアエンコードでも約36%早く変換を完了しています。
両者の差は約30%前後ですが、QSVを使えばCore i5でも4~5分程度で変換できるので、編集機会が多い方でもない限り、実用的なレベルです。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i5-1035G1 | 2:06 | 6:16 |
Core i7-1065G7 | 1:14 | 3:49 |
画像変換でもCore i7がやっぱり早い。Core i5に比べ、軽めのDNGでは約41%、重量級のJPEG変換でも約39%早く変換を完了しています。
普段使いでは全く困らないものの、パフォーマンスはやや弱めといったところですね。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 7332 | 8332 | 11600 |
解像度がフルHD未満ということで、HDのみ測定していますが、とても軽いゲームなので余裕です。なお、UHD Graphicsレベルだと、フルHDではよくて標準品質止まりとなります。
VALORANT(ヴァロラント)
”リーグ・オブ・レジェンド”でおなじみの、ライオットゲームが手掛けるFPSゲームですね。内容はオーバーウォッチとCS:GOをミックスした感じ。カジュアルなグラフィックはもちろん、多彩なスキルを持つエージェント(現在では11人)を操り、5対5で戦うスタイルは、オーバーウォッチをほうふつとさせます。
ルールはFPSでよくみられる”爆弾設置ルール”を採用しています。爆弾を設置する側と阻止する側に分かれ、設置側は、爆弾を設置し爆発させれば勝利。阻止する側は、設置されないか、解除すれば勝利となります。最大25ラウンド、攻防は12ラウンドごとに切り替わり、13ラウンドを先取した側が勝ちとなります。
また、CS:GOを意識した”購入システム”を実装しており、ラウンド報酬の資金をもとに、ラウンドのインターバルで武器・防具・スキルを購入することができます。味方の装備や資金はチェックできるので、コミュニケーションをとりつつ、状況に応じて装備を調達するのが勝利へのカギとなます。
下記条件にて平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
高 | 中 | 低 | |
HD | 58(40)fps | 65(57)fps | 72(62)fps |
FPSゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。100fpsもあればド安定です。
FPSゲームではトップクラスの軽さとなっており、HDでも中設定なら平均60fpsをキープできます。ただし、内蔵グラフィックで対応できるのはこのレベルまで。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 2371 | 3223 | 4398 |
重めのゲームになると、UHD Graphicsでは全く歯が立ちません。最低でもGTX 1650は欲しいですね。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。UHD Graphicsなので、スコア自体はかなり低めですね。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Time Spy | 485 | 426 | 2278 | ー |
Fire Strike | 1318 | 1437 | 6250 | 471 |
Night Raid | 5116 | 5555 | 3534 | ー |
Sky Diver | 5611 | 5549 | 6263 | 5237 |
Cloud Gate | 8812 | 11609 | 4781 | ー |
Ice Storm | 57599 | 65035 | 41138 | ー |
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSDを搭載したシングルストレージ構成です。128GBよりもだいぶ余裕があり、アプリはもちろん、動画や画像などデータ類も多めに入れることができます。SSDなら256GBあればまず安心ですね。
SSDは通常タイプよりも4~5倍速いNVMeタイプのSSDを採用。メーカーはオーソドックスなSK Hynix製のものを搭載しています。
その実力ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み込み速度は4ケタをマークしていますが、それ以外は1000MB/s以下で、ランダムもSATAⅢレベルとやや物足りない感じ。ベーシックなNVMe SSDといったところですね。
なお、SSDレベルだと数値の差を体感することはできず、実際の動作は、OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作にいたるまでサクサク動いて、とても快適です。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
ピーク時でもおおむね60℃台後半の安定した温度をきっちりキープ。冷却性能は十分高く、夏場でも安心して使うことができます。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ


50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で50.7デシベルとほぼきっかり。ファンの°回転音はしっかり聞こえますが、ノイズ感はだいぶ控えめです。
ちなみに最小時では46.7デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、推奨バッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約9時間10分と、モバイルノートの目安である10時間には届きませんが、カジュアルモデルなら十分及第点ですね。
選べるバリエーション
このモデルでは、各カラーごとに3つのバリエーションが用意されています。
- Core i5-1035G1/4GBメモリ/64GB eMMC
- Core i5-1035G1/8GBメモリ/128GB SSD
- Core i5-1035G1/8GBメモリ/256GB SSD
イチオシはCore i5/8GBメモリ/256GB SSD搭載モデルですね。総合的なバランスに優れた、使いやすい構成です。ライトに使うならCore i5/8GBメモリ/128GB SSDもありです。
なお、4GBメモリ&64GB eMMCは避けたほうが無難です。特にストレージが64GBだと、Windowsの大型アップデートの際に、容量不足に陥る可能性があります。
まとめ
カジュアルモデルながら、天板にはアルミニウムを採用し、ワンランク上のクオリティを実現。強化プラスチックのタフボディは、約1.1kg台と軽く、携帯性はバツグン。機能面もしっかり造りこまれ、トータルで非常に高い完成度を実現しています。
価格については同グレードで考えるとやや高めになっており、クオリティにこだわりつつ、予算重視の方にもおすすめのモバイルノートといったところです。
あわせて知りたい
3ステップでわかるノートPC+α