今回はマイクロソフトの【Surface Go 2】をレビュー。
このモデルの最大の特徴は、何と言っても圧倒的なコンパクト&軽量ボディです。タイプカバー(オプション)を含め約782gとバツグンの携帯性を誇る、人気の2in1モバイルノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2020年9月18日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
タブレット
携帯性の高い「超」軽量ボディ
モバイル性に全振りしており、ボディは10.5インチサイズと、いわゆるタブレット相当の大きさとなっています
A4ファイルサイズとは比べるまでもなく、A4用紙よりも小さい超小型ボディで、厚さ8.3mm、重さ540g(実測)のスリム&軽量ボディも相まって、携帯性はバツグン!
また、オプションのタイプカバー(実測242g)を合わせても、782gと圧倒的に軽いので、カバンサッと入れて楽に持ち運ぶことができます。
ボディの素材には軽量&剛性の高い”マグネシウム合金”を採用。表面は非光沢の梨地加工が施され、サラサラと手になじむ上質なさわり心地を実現しており、低価格モデルながらクオリティは◎。
デザインはタブレットらしく非常にシンプルですが、カメラ周りがグレーの樹脂製パーツでカバーされており、カジュアルなイメージに仕上がっています。
ちなみに、このモデルはファンレス仕様のため、Surface Pro 7とは違い、サイドに吸排気用のスリットはありません。
選べる3つのモード
2in1タイプの最大の魅力は、一般的な開閉タイプでは真似できない、フレキシブルな使い方ができること。
タブレットとしてお気軽に使えるのはもちろん、本体にはキックスタンドがついており、スタンドモードでも使うことができます。このように大きく開き、ペンを使ってメモ書きやイラストを描いたりするのに便利なモードです。
そしてやはりコレ、タイプカバーを接続してのノートPCモードですね。オフィスソフトを使ってレポートやエクセルなどを作成するのに最適。さすがにタッチパネルのキーボードで作業するには無理があるので、タイプカバーはオプションながら、マストアイテムです。
なお、ヒンジ部分はかなり頑丈に造られ、任意の角度でビシッと止まります。タッチやペン操作で角度が開く…なんて心配はありません。
発色に優れたディスプレイ
ディスプレイのサイズは、10.5インチとタブレットクラスの大きさです。Surface Pro 7との差は約2インチほどですが、この差は大きく、ちょっと窮屈な感じがしますね。反面、携帯性はバツグンということで、見事にトレードオフの関係となっています。
ディスプレイ解像度は1920×1280とやや変則的。フルHDよりも少し高い解像度なので、表示領域が広く、オフィス作業もはかどります。
肝心の映像クオリティですが、発色・コントラストともに高め。くっきり鮮やかな映像クオリティで、動画鑑賞にも最適です。
また、視野角も広く、姿勢によって色味が変わらないのもいいですね。様々なモードで使う2in1タイプとの相性はバッチリ。
滑らかなタッチパネル
2in1タイプということで、タッチやペン操作にも対応しています。
ディスプレイ表面は、ハイグレードのスマホでおなじみ”Corning Gorilla Glass 3”でカバーされ、指紋やキズがつきにくくなっています。また、表面はとても滑らかなので、タッチやペン操作もスムーズに行うことができ、ストレスフリーの完成度です。
最低限のインターフェース
タブレットサイズということでインターフェースは最低限となっており、USBポートはUSB3.1 Gen.1 Type-Cのみ。
周辺機器を多く接続するのであれば、別売りの”Microsoft Surface Dock 2”などの拡張デバイスを活用しましょう。各種USBやLANポートなどが一通りそろっているため、自宅で使えばさながらデスクトップのように使うことができます。
そのほか、キックスタンドの内側にはmicroSDスロットを搭載しています。データを多く保存するなら、microSDカードをサブストレージとして使うのがおすすめ。
電源はこの通り、Surface Connectから給電します。マグネット方式なので、着脱はとてもかんたん。なお、先に紹介した拡張デバイス”Surface Doc 2”もこのポートに接続します。
無線LANの規格も高く、Wi-Fi 6(802.11ax)に対応しているのもポイント。現行のWi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、より安定してインターネットを楽しむことができます。
さらに、上位のCore m3搭載モデルではLTE通信にも対応しています。データ通信SIMさえあれば、いつでもどこでもネット環境を利用できます。フリーWiFiスポットを探す手間が省け、まさにストレスフリーですね。
規格は一番小さいnano SIMで、サイドにSIMスロットが装備されています。なお、対応しているLTEバンドは下記の通りで、3大キャリアの4G周波数帯はしっかり押さえています。
Surface Go タイプカバー(オプション)
”Alcantara”で上品な感触を実現
オプションのタイプカバーでは、表面の素材に”Alcantara”を採用しています。カラーは、アイスブルー・ポピー レッド・プラチナ・ブラックの4色と豊富なラインナップです。
Alcantaraとは、イタリアの素材メーカー”Alcantara S.p.A”が展開するスエード調の人工皮革のブランドのこと。本革のような滑らかな触り心地を実現し、汚れにも強く、手入れもほとんど必要ないということで、高級車にも採用されています。
実際の触り心地ですが、表面はスベスベしており、手になじむ滑らかな感触です。若干フエルトっぽい感じのざらつきもあるので、持った時にツルっと滑らず、安定感があるのはいいですね。
なお、ブラックのみ素材がマイクロファイバーとなっているので注意。
安定感バツグン!
分離タイプだとタブレットとタイプカバーが外れやすいものもありますが、このグレードなら全くその心配はなし。
タブレットとキーボードは強力なマグネットでがっちり固定され、ビクともしません。それぞれの連結部を近づけるとグッと引き寄せられるほどの強さで、安定性はバツグンです。
ゆとりのあるキーピッチ
10.5インチの超コンパクトボディなのでテンキーレスキーボードを搭載。キーの種類も最低限となっています。
横幅を目いっぱい活用しており、こう見えてキーピッチは約18.5mmと、デスクトップキーボード並みの余裕があります。キー配置も基本的に素直なので、誤爆の心配はまずありません。キーストロークも一般的なノートパソコン並みの深さがあり、反発感もあるので、打鍵感は良好です。
が、いかんせん薄いので、剛性は弱め。タイピング圧の高い方だとたわんでしまうので、その点だけは注意です。
ちなみに、キーボードにはトレンドの白色LEDを内蔵しています。薄暗い場所でタイピングしやすくなるのはもちろん、明るい輝きで見た目も華やか、まさに一石二鳥ですね。ちなみに、OFF+3段階の明るさに設定できるので、LEDが苦手な方でも安心。
スムーズなタッチパッド
サイズの都合上、タッチパッドはやや小さめ。ただ完成度そのものは高く、さらさらした材質となっており、スムーズなカーソル操作が可能です、
また、クリックボタンも軽い力で反応し操作感はバツグン。建付けもしっかりしており、バタつかないのもいいですね。ただ、カタカタとクリック音がやや大きいめなのがちょっと残念。
Surface Mobile Mouse(オプション)
オプションにはなりますが、純正のBluetoothマウスも軽くチェックしてみます。
他社では見かけない独特なフォルムのマウスで、高さがかなり低く、のっぺりした形になっています。持ち方としては、かぶせつつ、つまむような感じで、見かけによらず意外と使いやすいですね。
電池式のマウスですが、重さは実測で78gと軽く、操作感はとてもスムーズ。
ボタンはオーソドックスな3ボタン式で、チルト操作には非対応です。
マウスのセンサーは独自の”BlueTrack Technology”とのことですが、ぱっと見ブルーLEDっぽいです。木材の上でもしっかりカーソル操作ができ、操作の精度は◎。ただ、クリックのカチカチ音がやや大きいのはネック。もう少し控え目だとなおよかったですね。
ちなみに、カラバリはアイスブルーとポピーレッドの2色で、いずれも落ち着きのある上品な色合いで、センスの高さを感じさせます。美しいシルバーのホイールがアクセントになっており、とてもオシャレ。ポイントはしっかり押さえているマウスなので、見た目で選ぶのもありです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。
このモデルでは、インテルの2コア4スレッドCPU・Pentium Gold 4425Yを搭載しています。超省エネのエントリークラスCPUということで、マルチ性能は100cb半ば、シングル性能も100cb未満とかなり控えめ。
なお、ファンレス仕様なので、動作音は全くしません。図書館など静かな環境でも安心して使えます。
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、いかんせんエントリーCPUなので、スコア1000台後半と伸び悩みます。グラフを見てみると、現行の一般的なモデルの性能指標から、大きく差をつけられていることがわかります。
実際の使用感ですが、高速ストレージのSSDを搭載しているものの、ブラウジングやアプリの立ち上げなどの軽作業でも、クリックから若干のラグがある感じで、スムーズさはイマイチ。。価格が安い分、性能については割り切りが必要ですね。
動作に余裕を持たせるなら、約2倍の性能を持つCore m3-8100Y搭載の上位モデルがおすすめです。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。QSVは内蔵グラフィックを活用した、高速エンコード機能のことです。
2Pass | 1Pass | QSV | |
H.264 | ー | 1:35:29 | 10:06 |
H.265 | ー | 2:50:47 | 10:38 |
CPUの性能勝負となるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)ではかなり苦戦しており、特に重いH.265ともなると、1Passで3時間近くもかかります。また、高速エンコード機能のQSVでも10分以上かかり、編集用途で使うのには厳しい性能です。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG |
6:31 | 17:34 |
動画変換と同じく重量級のタスクに弱く、JPEG変換では10分台後半とかなり時間がかかります。編集用途ならCore i5クラスは最低でも押さえておきたいところですね。
以下実際のゲーム性能をチェックしていきます。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 3696 | 4753 | 5775 |
フルHD | 2532 | 3304 | 3271 |
内蔵グラフィックならHD・最高品質でスコア5500を超えてほしいところですが、低品質までガッツリ落とさないとスコア5000を超えず、なかなか厳しい結果です。ブラウザゲームであれば快適に楽しめるくらいの性能です。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 1016 | 1540 | 2272 |
フルHD | 648 | 981 | 1427 |
さすがにこのクラスともなると、一応動くといったレベルです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。PCの性能指標として、参考まで。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Time Spy | 331 | 296 | 1044 | ー |
Fire Strike | 828 | 927 | 2558 | 295 |
Night Raid | 3164 | 4273 | 1281 | ー |
Sky Diver | 3105 | 3129 | 2809 | 3455 |
Cloud Gate | 4499 | 7565 | 1861 | ー |
Ice Storm | 32869 | 42376 | 18413 | ー |
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは128GB SSDを搭載したシングルストレージ構成です。低価格の64GB eMMC搭載モデルもありますが、実質使える容量が20~30GB程度と非常に少ないため、128GBは絶対押さえておきましょう。
SSDは通常タイプよりも4~5倍速いNVMeタイプのSSDを採用しており、メーカーはノートPCでよく見かける”Skhynix”となっています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み込みは4ケタをマークする爆速ぶり。しかし、それ以外はイマイチ速度が伸びず、グレード的にはベーシッククラスのNVMe SSDといったところでしょうか。なお、SSDレベルでは数値の差を体感することはできないので、そこまで結果を気にする必要はありません。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
ファンレス仕様ではありますが、超省エネ&低発熱CPUということで、ピーク時でも60℃前後の低い温度をキープ。熱暴走などの心配は全くありません。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約10時間40分と、モバイルノートの目安である10時間をしっかり超えており、出先でも安心して使うことができます。
選べるバリエーション
このモデルでは、3つのバリエーションが用意されています。
- (Wi-Fiモデル)Pentium Gold 4425Y/4GBメモリ/64GB eMMC
- (Wi-Fiモデル)Pentium Gold 4425Y/8GBメモリ/128GB SSD
- (LTEモデル)Core m3-8100Y/8GBメモリ/128GB SSD
快適さを重視するのであれば、Core m3搭載モデルがおすすめ。ただ、LTEにも対応しているため、便利なぶん価格が跳ね上がるのがネックですね。
予算重視ならPentium搭載モデルですが、4GBメモリ&64GB eMMCは実用上かなりきつい構成なのでおすすめしません。ということで、選ぶなら実質2択です。
まとめ
コミコミで782gの圧倒的な軽さはもちろん、10.5インチサイズと非常にコンパクトなので、とにかく持ち運びがとてもラク。オプションのタイプカバーを含めると割高にはなりますが、この携帯性の高さは何物にも代えがたく、特にモビリティを重視する方におすすめです。
なお、ディスプレイの大きさ・携帯性・性能のバランスを重視するなら、上位のSurface 7がおすすめ。価格は高めですが、一回り大きいディスプレイ&高い性能で各種作業がはかどります。
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