今回デルの【Latitude 9510 プラチナ[9510]】をお借りしました。
クオリティ重視のプレミアムビジネスノート”Latitudeシリーズ”の最高峰となる15インチノートです。高級感あふれる美しい仕上がりが魅力のフラグシップモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2020年9月28日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
※割引クーポンは販売サイトに記載してあります。
外観
高級感あふれるボディ
装飾などを一切排した、デルらしいシンプルなプレーンボディとなっています。クセが無いので使う人を選ばず、ビジネスシーンに最適ですね。
ハイエンドモデルということで、クオリティにはかなりこだわっており、ボディの素材にはアルミニウムを採用しています。
表面は非光沢の梨地加工&ヘアライン仕上げとなっており、一般的な樹脂製ボディよりも高級感があります。また、見た目もさることながら、サラッとした手になじむ感触に仕上げられ、さわり心地も上々です。
そして極めつけはこれ、大胆にもサイドにダイヤモンドカット加工を施しています。光を反射するほどの美しい鏡面仕上げは、見事の一言。細かい造形美もバッチリですね。
コンパクト&スリムボディ
ボディは15インチモデルにしてはかなり小さく、ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右極限までスリムにすることで、横幅は340.2mm、奥行き215.8mmのコンパクトボディを実現しています。
また、ボディの厚さも最厚部でも13.99mmと15mm以下に抑えられており、とてもスリム。コンパクト&スリムということで、重さも実測1679gと、15インチにしてはかなり軽めです。アルミニウム×2in1は特に重くなりがちな組み合わせですが、1.6kg台というのは驚きですね。
フレキシブルに使える2-in-1タイプ
最近はやりの2-in-1ノートパソコンで、360°回転するコンパーチブルタイプとなっています。ちなみに、このモデルでは、通常のクラムシェルタイプ(開閉式)も用意されています。
360°回転しタブレットとして使えるだけでなく、テント型にして寝そべりながら動画を見る、さらにスタンドモードにしてイラストを書くといったフレキシブルな使い方ができ、とても便利です。
もちろん、キーボードを180°以上回転させるとキーボードが動作しなくなるので、誤操作の心配もありません。
パネル表面は”Gorilla Glass DX”でカバーされ、とてもタフ。その損傷耐久性は、下位の”Gorilla Glass 5”の約2倍にもなり、タッチ操作やペン入力で傷が付く心配はありません。実際の操作感ですが、タッチ操作はとてもスムーズで、応答性もよく、快適そのもの。
ちなみに、コンパーチブルの肝と言えるヒンジですが、かなり頑丈に造られ、無段階稼働で任意の角度にピタッと止まります。
ポイントをおさえたインターフェース
スリムボディなので、LANポートや光学ドライブは非搭載ですが、インターフェースは一通りそろっています。
USBは全3ポート搭載しています。一般的な5Gbpsの転送速度に対応したUSB3.2 Gen.1が1ポート、10Gbpsの高速転送に対応したUSB 3.1 Gen2が2ポートの構成です。
なお、USB 3.1 Gen2は、40Gbpsの超高速転送ができる”Thunderbolt 3”にも対応し、小型&リバーシブルのType-Cポートとなっています。
ポートの数こそ最低限ではありますが、通常タイプのType-Aポートも用意されているので、あらかたの周辺機器を接続できるのがいいですね。そのほかmicroSDスロットやHDMIポートも装備。内容は限られていますが、普段使いで必要なものは最低限おさえています。
また無線LANですが、Wi-Fi 6(802.11ax)に対応しているのもポイント。現行のWi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、快適にインターネットを楽しむことができます。
ディスプレイ&キーボード
発色に優れたディスプレイ
ディスプレイサイズは一般的な15.6インチで、オーソドックスなフルHDとなっています。HDよりも解像度が高いぶん表示領域が広く、オフィスソフトなどのタスクもはかどります。
パネルのクオリティも高く、色域はsRGB 100%をしっかりカバー。輝度も400nitと高めなこともあり、くっきり鮮やかな映像クオリティを実現しています。
さらに視野角も広いので、どの角度から見ても色むらはほぼ無し。様々な都会方ができる2in1ノートとの相性はバツグンです。
とても快適な打鍵感
15インチのワイドボディですが、テンキーは非搭載で、スピーカーがキーボード両端に配置されています。数値の入力作業にはやや不便ですが、タブレットモードでキーが持ち手と干渉しにくくなっています。こればかりは好みといったところですね。
ちなみに、サウンドエンジンには毎度おなじみ”Waves MaxxAudio Pro”を採用しています。ハイグレードモデルらしく、スピーカーはなんと4基構成です。
肝心の音質ですが、中・高音域はクリアでよく伸びるほか、低音も意外と出ており、メリハリのあるサウンドクオリティです。さすがに4基構成なだけあり、内蔵タイプにしては完成度は高め。
英語キーボードなので、あくまでも参考程度ですが、テンキーがないのでこの通りとても広々しています。また、キーの種類は最低限ということもあり、配列そのもはとても素直。キーピッチも約19mmとデスクトップキーボード並みのゆとりがあり、誤爆の心配はまずありません。
見かけによらず、キーストロークは深め。反発感をしっかり感じつつも、打鍵感がやわらかめということもあり、疲れにくく、タイピングは快適そのもの。使ってなんぼのビジネスノートなだけに、一般モデルとは根本的に造りが違います。
もちろん、トレンドの白色LEDはバッチリ内蔵しています。薄暗い場所でタイピングしやすくなるのはもちろん、控えめ&上品な光り方で、洗練されたデザインとの相性はバツグン。LEDは2段階の明るさ+OFFに設定できるので、LEDが苦手な方でも安心です。
滑らかなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型を採用しています。
パッド部分はサラサラした材質で、カーソル操作はスムーズ。またクリックボタンの完成度も高く、操作感は軽めでしっかり反応し、動作音も静か。一体型のタイプだと建付けが悪いのもちらほらありますが、よく造りこまれていますね。
細かいですが、タッチパッド周囲もダイヤモンドカット加工がされ、高級感を感じさせるのはグッド。
充実した機能
ビジネスモデルということで、機能面も充実しています。
AIプラットフォームの”Dell Optimizer”が用意され、AIがユーザーの学習することで、PCの動作を最適化します。例えば、”ExpressResponse”では、使用頻度の多いアプリの起動を高速化し、日常の業務をより快適になります。
また、”ExpressSign-in”では、内蔵の近接センサーでユーザーの存在を検知し、起動とサインインを自動で行うほか、不在の時には自動的にロック画面に移行。利便性はもちろん、画面からの情報流出も防ぐことができ、セキュリティ面も安心です。
また、CPUは”vPRO”に対応しているのもポイント。
CPUやチップセット内に特定のコードを埋め込むことで、ハードウェア部分でPCを認識し、セキュリティが強固になるほか、PCのON/OFFや各種操作をリモートで行うこともでき、PCの管理運用もより便利になります。ビジネスで使うのであれば、vPROはぜひ導入しておきたいところですね。
そのほか、バッテリー機能の設定アプリ”Power Manager”機能も搭載しています。
”サーマル管理”ではシステムの消費電力やファン動作を一括で設定でき、シーンに応じて最適なモードを柔軟に選択できます。また、”バッテリエクステンダ”ではバッテリー駆動時の消費電力を最小限に抑えることができ、特にバッテリの持ちを重視したい場合に有用です。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


このモデルでは、インテルの第10世代CPU・Core i7-10810Uを搭載しています。省エネのUシリーズながら6コア12スレッドのマルチコア・スレッド構成となっており、ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業はもちろん、動画や画像編集などヘビーな作業でも高いパフォーマンスを発揮します。
なお、下位モデルでは4コア8スレッドのCore i5-10310Uを搭載しています。若干クロックは下がるものの、同じく4コア8スレッドのCore i5-10210Uと比較してみると、シングル性能は約20%、マルチ性能はなんと約77%も高く、その性能差は圧倒的です。
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
こちらは上記のテストを一元化した【PCMark10】の結果となりますが、動画や画像編集用途の目安となるスコア3000をしっかり超え、スコア4000の大台をマークしています。ただ、Core i5との性能差は約6%とわずかで、スコアの伸びはイマイチ。。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のことです。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-10810U | 1:00:47 | 29:56 | 4:22 |
Core i5-10210U | 59:02 | 31:13 | 3:46 |
6コア12スレッドのCore i7が圧倒的…とはならず、1Pass以外ではCore i5よりも遅い結果となりました。2Passでは約3%程度ですが、QSVともなると約16%も多く時間がかかってしまいます。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-10810U | 1:30:40 | 46:13 | 6:03 |
Core i5-10210U | 1:27:22 | 45:11 | 5:35 |
重量級のH.265でも全くいいとこ無しで、Core i5よりも約2~8%ほど遅くなっています。ポテンシャルは当然Core i7の方が高いのですが、どうにもうまく性能を引き出せていないといった感じですね。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が意外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-10810U | 1:16 | 5:05 |
Core i5-10210U | 2:13 | 5:10 |
軽めのDNG変換では、Core i7がCore i5の約57%の時間で変換を終えています。が、重量級のJPEG変換では一転、ほぼ互角となります。動画エンコードもそうですが、正直物足りない性能です。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 9036 | 12067 | 12085 |
フルHD | 5109 | 6208 | 7748 |
結果はこの通りフルHDでは厳しく、HDでやっと動かせるレベルです。Core i5-10210UだとフルHDが射程圏内入りますが、最高設定ではスコア5500を超えることができず、まだまだ内蔵グラフィックでオンラインゲームは厳しい感じです。
PSO2
こちらはやや軽めのゲームです。エピソード4にてグラフィック描写が「設定6」に引き上げられましたが、それでもやはり軽いことに変わりありません。スコア4500以上で平均60fpsをキープできます。
設定6 | 設定5 | 設定4 | 設定3 | |
HD | 1612 | 3746 | 3986 | 5822 |
フルHD | 561 | 1610 | 2291 | 3157 |
PSO2もかなり軽めのゲームではありますが、フルHDはおろかHDでもスコア4500を超えることができません。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 2263 | 3207 | 4629 |
フルHD | 1152 | 1747 | 2470 |
PSO2の時点で厳しいので、FF14なら言わずもがなです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。PCの性能指標として、参考まで。なお、Time Spyは動作しないため、省略しています。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Time Spy | ー | ー | ー | ー |
Fire Strike | 1106 | 1222 | 8035 | 369 |
Night Raid | 5221 | 5367 | 4524 | ー |
Sky Diver | 4253 | 3985 | 6838 | 4010 |
Cloud Gate | 8106 | 9469 | 5391 | ー |
Ice Storm | 58345 | 66404 | 40952 | ー |
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは大容量の512GB SSDを搭載したシングルストレージ構成となっています。容量が多く、動画や画像などデータ類を多めに保存することも出来ます。
SSDは通常のSSDよりも4~5倍速いNVMeタイプのSSDというこだわりようで、メーカーはKIOXIA(旧東芝メモリ)のものを採用しています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み書き速度は1000MB/sを超え、NVMeらしさを感じさせますが、ランダムは通常のSATAⅢタイプよりもやや速いレベルです。NVMeタイプではスタンダードクラスといったところでしょうか。
ただSSDともなると数値の差を体感することはできず、実際の動作は、OSの起動からブラウジングや各種アプリの動作にいたるまでサクサク動き、快適そのもの。
温度
FF14実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
6コア12スレッドながら、ピーク時でも50℃台とかなり低めの温度をキープ。冷却性能はとても優秀で、夏場でも安心して使えます。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ


50デシベルが一つの区切りとなりますが、ピーク時でも48.9デシベルと、ファンの回転がさほど気にならないレベルです。アイドル時との差もわずか2.5デシベルなので、その実力は折り紙付きです。
ちなみに最小時では45.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:Dell、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
ロングライフバッテリーを売り文句にしていますが、結果は約19時間20分とまさに偽りなし。これならビジネスシーンでも安心して使えます。
まとめ&関連モデル
美しいアルミ製のボディは、細部までしっかり造りこまれており、最上位モデルにふさわしい高いクオリティを実現しています。セキュリティをはじめ機能面も充実し、キーボードの操作性も非常に優れており、ビジネスシーンで安心・快適に使うことができます。
クオリティが高い分お値段も高めということで、予算抜きでとことんクオリティにこだわりたい方におすすです。なお、Core i7の性能がイマイチ振るわないので、基本的にCore i5搭載モデルで十分。
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