今回レノボの【IdeaPad Slim 360 17型】をお借りしました。
17インチのRyzen 5搭載モデルがなんと6万円台から!圧倒的な低価格とコスパが魅力のベーシックノートをチェックしてみましょう。
スペック
※2022年2月27日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
※割引クーポンは販売サイトに記載してあります。
外観
シンプルなデザイン
ベーシックモデルということで、ボディはオーソドックスな樹脂製となっています。
デザインはいつものIdeaPadクオリティで、機能美を追求したシンプルなもの。
ロゴ以外の装飾は一切なく、落ち着きのあるアークティックグレーも相まって、使う人を選ばない万能デザインとなっています。
ディスプレイのベゼル(ふち)を上下左右、さらにスリムにすることで、横幅40cm以下のコンパクトボディを実現。
従来の17インチモデルでは、40cmオーバーがざらだったことを考えると、だいぶ進化していますね。
スタンダードなインターフェース
インターフェースはスタンダードモデルらしいラインナップです。
USBは全3ポートと、17インチモデルにしてはやや少なく、規格もすべて従来のUSB 3.0となっています。なお、左側面のUSB3.0ポートは、小型&リバーシブルのType-C端子を採用。通常端子とあわせ、あらゆる周辺機器を接続できます。
低価格モデルなので、この辺りは割り切りが必要です。
そのほか映像出力用のHDMIポートやSDスロットを搭載しています。派手さはありませんが、普段使いに必要なものは一通りそろっています。
なお、レノボらしくセキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。デバイスからではなく、物理的にシャットアウトするのでとても安心です。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイサイズは、大型の17.3インチです。スタンダードな15.6よりもさらに大きく、だいぶゆとりがあります。テンキー付きのキーボードを搭載してもなお、両サイドにスペースが余るので、その大きさがわかりますね。
解像度は現在主流のフルHDで表示領域が広く、大きめのディスプレイサイズも相まって、オフィス作業にも最適。ちなみに、表面は映り込みの少ないノングレアタイプなので、自分の顔とにらめっこすることなく、作業に集中できるのもいいですね。
パネルのクオリティも高く、IPSパネルを装備。高いコントラストと優れた発色で、くっきり鮮やかな映像クオリティを実現しており、動画鑑賞にうってつけです。ベーシックモデルでIPSパネルというのは、なかなか太っ腹。
また、視野角が広いので、姿勢によって色味が変わらないのもグッド。
機能性が高いキーボード
先にも紹介した通り、テンキー付きキーボードを搭載。
一部のキーが連結していますが、基本的なキーは大きめに造られ、配置も素直で誤爆の心配はまずありません。特に窮屈になりがちなテンキーの配置がきれいなのもグッド。
電卓キーを装備するほか、カスタマイズ可能なキーを装備し、さらにファンクションキーのロック機能も備えており、とても便利です。
なお、キーピッチは約19mmとデスクトップキーボードなみ間隔を確保しており、だいぶゆとりがあります。
キーストロークはやや浅めで、反発も軽く、だいぶあっさりとした打鍵感ですね。ちなみに、キーボード面は樹脂製ということもあり、剛性は普通レベルとなっています。
ちなみに、ベーシックモデルということで、キーボードのLEDは非搭載です。PCは明るい場所で使うものなので、無くても特に問題ありません。
スムーズなタッチパッド
タッチパッドは、パッド部分とクリックボタンが一緒になった、オーソドックスな一体型タイプとなっています。
タッチパッドはサラサラした感触です。適度な抵抗があり、滑りすぎずスムーズなカーソル操作が可能です。また、クリックボタンもカタカタと軽い力で反応し、操作音も静か。
一体型はモデルによって完成度がマチマチですが、しっかり造りこまれていますね。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト「CINEBENCH」で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


このモデルでは、AMDの6コア12スレッドCPU・Ryzen 5 5500Uを搭載しています。前世代の4000シリーズをマルチコア・スレッド化することにより、さらにパワーアップ。その実力は、インテル製CPUを軽く凌ぐほどです。
参考までに、インテル最新世代の4コア8スレッドCPU・Core i5-1135G7と比較してみると、シングル性能は約14%低いものの、マルチ性能は約2倍も高くなっており、総合力ではRyzen 5の方が優れています。
ちなみに、Core i5-1135G7では、高性能内蔵グラフィック”Iris Xe Graphics”を搭載しているのがポイント。グラフィック性能を重視するなら、インテルCPUの方がおすすめです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。
このCPUは、高性能のグラフィック・Radeon Graphicsを内蔵しています。とてもよくスコアが伸びてていますが、インテルの高性能内蔵グラフィック・Iris Xe Graphicsに比べ、スコアはワンランク落ちてしまいます。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Time Spy | 1235 | 1089 | 5146 | ー |
Fire Strike | 3082 | 3361 | 17021 | 1082 |
Night Raid | 12831 | 13755 | 9294 | ー |
Sky Diver | 11149 | 10952 | 13162 | 10194 |
Cloud Gate | 19601 | 24865 | 11260 | ー |
Ice Storm | 100959 | 125546 | 59902 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】はブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的なノートパソコンで想定される用途での性能を測るソフトです。
動画や画像編集用途でも使うのであればスコア3000がボーダーとなりますが、余裕で超えており、スコア5000オーバーとゲーミングPCレベルの高いスコアをマークしています。
Core i5-1135G7と比較すると、総合スコアは約10%高くなっています。特に、編集系のスコアがよく伸び、最大約2倍もの差がついています。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・VCE/QSVでエンコードしています。なお、VCE/QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。VCEはAMD、QSVはインテルの名称です。
H.264 | 2Pass | 1Pass | VCE/QSV |
Ryzen 5 5500U | 27:21 | 14:04 | 2:57 |
Core i5-1135G7 | 49:21 | 25:21 | 3:16 |
CPU性能が重要になるソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Ryzen 5 5500Uがだんぜん有利。Core i5-1135G7より約45%も早く変換を完了しています。
一方、ハードウェアエンコードもRyzen 5 5500Uが早く、約10%の差をつけています。
H.265 | 2Pass | 1Pass | VCE/QSV |
Ryzen 5 5500U | 44:55 | 22:17 | 2:52 |
Core i5-1135G7 | 1:15:22 | 37:09 | 4:05 |
重量級のH.265でもRyzen 5 5500Uが有利なのは変わらず。Core i5-1135G7には約40%早く変換を完了。もはや4コア8スレッドCPUは相手になりません。
また、ハードウェアエンコードではさらにその差が広がり、Ryzen 5 5500UはCore i5-1135G7には約30%差をつけ、H.265でも安定したパフォーマンスを発揮します。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Ryzen 5 5500U | 1:45 | 5:22 |
Core i5-1135G7 | 1:19 | 3:50 |
画像変換もCPU勝負となりますが、動画変換から一転、Core i5-1135G7が高いパフォーマンスを発揮。Ryzen 5 5500Uよりも約25~29%も早く変換を完了しています。
画像変換メインなら、インテルに分があります。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
フルHD | 8862 | 11577 | 12554 |
高性能の内蔵グラフィック・Radeon Graphicsということで、フルHD・最高品質でスコア8000台の高いスコアをマーク。内蔵グラフィックにしてはとても優秀です。
ただ、Iris Xe Graphicsと比べると、最高設定でスコア10000を超えず、やはり性能はワンランク落ちる感じですね。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 4984 | 6244 | 7326 |
フルHD | 2753 | 3670 | 4638 |
このクラスともなると、内蔵グラフィックレベルでは全く歯が立ちません。性能が大きく向上しているのは確かですが、快適に楽しめるのは、ドラクエレベルの超軽量級のものに限られます。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSDを搭載したシングルストレージ構成となっています。実質100GB未満の128GBに比べると容量に余裕があり、動画や画像などデータ類の保存にも対応できます。なお、SSDは通常のSSDよりも4~5倍速いNVMeタイプのSSDを採用しているのもポイント。
メーカーはサムスンですね。肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)では読み込みのみ4ケタをマークしていますが、おおむね1000MB/s台とそこそこ。ランダムも標準的な速度ということで、スタンダートクラスのNVMe SSDといったところです。
もちろん、SSDなので実際OSの起動からアプリの動作までサクサク動き、快適そのものです。
温度
CINEBENCH R15実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
6コア12スレッドCPUながら、100%のフルロード時でも70℃台の安定した温度をきっちりキープ。冷却性能はとても優秀です。
動作音
CINEBENCH R15実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ。


50デシベルが一つの区切りとなりますが、ピーク時でも50.3デシベルと、ほぼ50デシベルきっかりとなっています。実際ファンは高速回転しているものの、耳障りなノイズは控えめなので、高負荷時でもさほど気になりません。
ちなみに最小時では46.9デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:バランス、インテリジェント・クーリング
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は、約7時間をマーク。10時間には届かないものの、5時間はきっちり超えているので、電源のない環境でも安心して使えます。
便利なユーティリティーソフトを完備
付属アプリとして”Lenovo Vantage”がインストールされています。各種動作設定からシステムの更新などサポートに至るまで、このアプリで全て設定でき、とても便利なアプリです。
サウンドシステムには、有名どころの”Dolby”を採用しています。Lenovo Vantageでは使う場面に応じ、ワンタッチで簡単に変更できるほか、Dolbyの専用アプリで好みのサウンドを設定できます。
なお肝心の音質ですが、低~高音までよく伸び、サラウンドもよく効いているので、迫力が感じられます。厚みのある音質ですが、ちょっとこもった感じなのは、いかにもスタンダードモデルといったところ。とはいえ、内蔵スピーカーにしては上出来ですね。
まとめ&関連モデル
高性能のRyzen 5を搭載して6万円台は、17インチモデルにしては圧倒的に安く、コスパ◎。ベーシックモデルながら手堅い完成度となっており、17インチならまずおすすめです。
IdeaPad Slim 360i[Core i5搭載モデル]
【スペック】
■OS:Windows 11
■ディスプレイ
17.3インチ フルHD ノングレア IPS
■CPU:Core i5-1135G4
■メモリ:8GB(DDR4-3200)
■グラフィック:Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
■ストレージ:SSD 256GB(PCIe NVMe)
■【クーポン利用】138,600円⇒80,388円(税・送料込)~
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