今回HPの【HP ProBook 430 G7 スタンダートモデル】をお借りしました。
HPのスタンダードビジネスブランド”ProBookシリーズ”の13インチモバイルノートで、ビジネスノートながら美しい仕上がりを実現。HPで屈指の人気を誇るモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2020年10月30日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
美しいアルミボディ
ビジネスノートらしからぬクオリティの高さが魅力のモデルです。
ボディは継ぎ目を極力排した”ユニボディ”構成とすることで、一体感のある優美なフォルムに仕上がっています。一体型なので剛性も高く、まさに一石二鳥ですね。
クセの無いスッキリしたフォルムにクールなシルバーがばっちりきまっており、とても洗練されたイメージに仕上がっています。
スタンダードモデルながら、ボディの素材には高級感あふれるアルミニウムを採用。梨地加工なのでサラッとした感触となっており、さわり心地も上品。
HPらしく細部までしっかり造りこまれており、電源ボタンはLEDラインでオシャレに装飾されています。
また、タッチパッド周りはダイヤモンドカット加工で美しく仕上げる徹底ぶり。スタンダードモデルでこのクオリティは破格レベルです。
よく見てみると手前側の中央部にくぼみが設けられ、開閉がしやすくなっているのもポイント。
タフ&コンパクトで持ち運びに最適
このモデルは持ち運びがしやすい13インチサイズとなっています。
その大きさはA4ファイルサイズと非常にコンパクト。厚さも18mmのスリムボディも相まって、カバンにサッと入れることができます。
堅牢なアルミボディということで、重さは実測1430gと13インチにしてはやや重めですが、それでも1.5kg以下に抑えており、携帯性は良好です。
ちなみに、このモデルはアメリカの軍事装備規格”MIL-STD-810G”をクリアしており、耐久性はバツグン。なにかと持ち運ぶ機会の多いモバイルノートですが、
充実したインターフェース
USBは全3ポート搭載し、いずれもUSB3.1Gen.1規格となっています。ポートのバリエーションは、通常のType-A端子と小型&リバーシブルのType-C端子のどちらも搭載。周辺の機器の接続にはまず困りません。
そのほかHDMIポートやSDスロット、さらにはモバイルノートにしては珍しくLANポートを装備しています。有線オンリーの環境にもしっかり対応し、使う場所を選びません。
なお、Wi-Fiモデルとは別にLTEモジュール搭載モデルも用意されています。
データ通信SIM(MicroSIM)さえあれば、いつでもどこでもネット環境を利用できます。フリーWiFiスポットを探す手間が省け、まさにストレスフリーですね。対応しているLTEバンドは下記の通りで、3大キャリアの4G周波数帯はしっかり押さえています。
セキュリティ対策も万全
セキュリティにもしっかり配慮され、カメラ部分にはシャッターが装備されているのもポイント。使わないときはシャッターでカメラをふさぐことにより、プライバシーを守ることができます。
また、指紋認証センサーもバッチリ搭載。本人認証のため、ログインパスワードよりも安全。また、ログインの際わざわざパスワード入力することなく、とてもスムーズです。
ディスプレイ&キーボード
HDディスプレイ搭載
ディスプレイのサイズは13.3インチですね。携帯性と視認性のバランスに優れたサイズで、モバイルノートならまずこの大きさを選びたいところ。12インチや11インチだと、どうしても窮屈な感じになってしまいます。
解像度は、現在主流のフルHDよりもワンランク下のHD(1366×768)となっています。フルHDよりも画素数が少ない分、表示領域が狭く、オフィス作業などをガッツリやるのにはちょっと不向きです。
参考までに両者を比べてみるとこんな感じ。エクセルやワードソフトなどを使うなら、一度に表示できる情報量の多い、フルHDがだんぜん便利です。なお、LTE搭載モデルではフルHDディスプレイ搭載モデルが用意されています。
TNパネルということで、発色は淡白でコントラストは低め。横から見ると色むらがあります。あくまでも業務用なので、実用性重視といったところでしょうか。
快適なキーボード
コンパクトな13インチモデルということで、テンキーレスキーボードとなっています。
ご覧の通り配列そのものは非常に素直。各キーは整然と並べられており、キーピッチも約18.5mmと広めに確保されているため、誤爆する心配はまずありません。
キーストロークですが、浅すぎず深すぎず、標準的な深さとなっています。反発感もしっかり感じられ、タイピンは快適そのもの。なお、キーボード面もアルミニウム製なので、剛性はとても高く、タイピング圧力が高い方でも安心。
なお、このモデルではキーボードにLEDが内蔵されていません。
完成度の高いタッチパッド
タッチパッドはパッドとクリックボタンが一緒になった、一体型タイプとなっています。
タッチパッドはサラサラした材質で、とてもスムーズなカーソル操作が可能です。また、クリックボタンも柔らかく、力押し込むことなく反応し、動作音も静かでグッド。スタンダードクラスだとタッチパッドの完成度はピンキリですが、しっかり造りこまれているのは好印象ですね。
ちなみに、タッチパッドの周りにはシルバーの縁取りが施されています。これが先に紹介した”ダイヤモンドカット加工”です。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


このモデルでは、インテル第10世代のCPU・Core i3-10110Uを搭載しています。2コア4スレッドのベーシックCPUで、ブラウジングやオフィスソフトなどの軽作業を快適にこなせる性能です。オフィスPCならまずこのくらいは欲しいところですね。
ワンランク上の4コア8スレッドCPU・Core i5-10210Uと比較してみると、シングル性能は約52%、マルチ性能は約65%ほどCore i5のほうが高くなっています。コア・スレッド数で大きく差がついており、動画や画像など編集系の作業で動作に余裕を持たせるならCore i5がおすすめです。
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測るソフトです。
動画や画像編集用途の目安となるスコアは3000となりますが、見事にクリアしています。Core i3でこのスコアはなかなか画期的で、やはり予算重視でもCore i3を入れておくと安心ですね。
Core i5はよくスコアが伸び、こちらはスコア4000の大台に突入。ヘビーな作業でも安心です。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のことです。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i3-10110U | 1:36:00 | 45:35 | 4:37 |
Core i5-10210U | 59:02 | 31:13 | 3:46 |
当然ながらCore i3は時間がかかりますね。特にCPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、両者の差は約32~39%にもなります。一方、QSVでは約18%と半分まで差が小さくなり、やはりCPU勝負だと分が悪い感じです。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i3-10110U | 2:11:46 | 1:06:52 | 6:34 |
Core i5-10210U | 1:27:22 | 45:11 | 5:35 |
こちらは重量級のH.265での結果です。こちらもほぼ同じ傾向で、ソフトウェアエンコードでは約32~34%差、QSVでは約10%差となりました。
QSVを使えばそれなりに早く変換できますが、ファイルのサイズが大きければそれだけ差がつくので、動画編集の機会が多い方はCore i5がだんぜんおすすめ。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が意外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i3-10110U | 2:58 | 8:29 |
Core i5-10210U | 2:13 | 5:10 |
軽めのDNG変換では、両者の差は約25%程度ですが、重量級のJPEG変換ではなんと約39%まで開きます。動画に限らず、画像編集の機会が多い方もCore i5がおすすめです。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
HD | 7166 | 8973 | 10181 |
とにかく軽いゲームなので、HDレベルであれば、最高設定でもスコア5500をラクラク超えます。
PSO2
こちらはやや軽めのゲームです。エピソード4にてグラフィック描写が「設定6」に引き上げられましたが、それでもやはり軽いことに変わりありません。スコア4500以上で平均60fpsをキープできます。
設定6 | 設定5 | 設定4 | 設定3 | |
HD | 883 | 2142 | 2306 | 4003 |
ドラクエより重いゲームともなるとスコアが大きく落ち込み、スコア4500を超えることができません。Core i5でもどうしようもなく、内蔵グラフィックでオンラインゲームはまだまだといったところ。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 1592 | 2326 | 2651 |
言わずもがなといったところで、一応動かせるといったレベルですね。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)それぞれの条件で測定することができます。PCの性能指標として、参考まで。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Time Spy | 364 | 319 | 1909 | ー |
Fire Strike | 890 | 956 | 5788 | 320 |
Night Raid | 4156 | 4399 | 3167 | ー |
Sky Diver | 3687 | 3479 | 5095 | 3825 |
Cloud Gate | 6317 | 7848 | 3755 | ー |
Ice Storm | 56172 | 59623 | 46710 | ー |
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルでは500GB HDDを標準搭載していますが、128GB SSDにカスタマイズしてあります。SSDはHDDよりも圧倒的に速く、OSの起動からブラウジング、各種アプリの動作までサクサク動き、快適そのもの。イチオシのカスタマイズメニューですね。
メーカーはあまり見かけないLITEON製で、規格はオーソドックスなSATAⅢタイプとなっています。実際の速度ですが、書き込み速度がイマイチ振るわず、ベーシッククラスのSSDといったところ。それでも実際の動作はきびきびしており、カスタマイズする価値は十分あります。
温度
ドラクエ10実行時の温度を測定してみました。なお、室温は25℃です。
ピーク時でも70℃台前半と安定した温度をキープしており、冷却性能は全く問題ありません。
動作音
ドラクエ10実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ


50デシベルを超えるとノイズ感が出るようになりますが、ピーク時でも47.9デシベルとしっかり下回っています。アイドル時との差もほとんどなく、ファンは回転音はあまり気になりません。
ちなみに最小時では46.7デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。
条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:HP optimized、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
10時間以上がモバイルノートの目安となりますが、結果は約13時間50分と大きく上回っています。これだけもてば出先でも安心して使えますね。
付属アプリ
付属アプリは一般向けノートとほぼ共通の内容ですね。
”Support Assistant”はその名の通り、PCのサポートツールとなっており、PCの診断や修復などのトラブルシューティングから、ドライバの更新までワンストップで実行できます。
”HP Audio Control”ではサウンド全般を設定することができ、マイクやスピーカーのノイズキャンセリングや、イコライザ機能がついています。なお、内蔵スピーカーのクオリティですが、いまいち調子が悪かったので、割愛します。
まとめ
一体感のある美しいアルミボディは、細部までしっかり造りこまれており、ビジネスノートらしからぬ機能美を実現しています。
性能や機能面、バッテリーも実用的なレベルに仕上がっていますが、ディスプレイの解像度がHDと低めなのがネック。価格は上がるものの、フルHDディスプレイを搭載した、Core i5×LTEモデルがおすすめです。
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