今回dynabookの【dynabook SZ/LP】をお借りしました。
スタンダードモデルながら約1.1kg台の軽量ボディを実現した、手厚い保証メニューが魅力の13インチモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2021年2月10日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
シンプルな軽量ボディ
スタンダードモデルということで、ボディの素材はオーソドックスな樹脂製となっています。質感こそ金属ボディに及びませんが、カジュアルに、気軽に使えるのが魅力です。
デザインはこの通り、ブラックボディにシルバーのロゴのみと、クセがなくとてもシンプル。使う人を選ばず、ビジネスシーンでも使えるクオリティです。
なお、よく見てみると、天板とキーボード面には、細かい凹凸状の加工が施されています。プレーンタイプよりも立体的に見え、単調になりすぎないのはいいですね。
スタンダードモデルながら、軽いのもポイント。
スリムベゼルではないため、最近の13インチモデルよりもやや大きいサイズですが、それでもA4ファイルサイズに抑えており、実測1172gの軽量ボディを実現しています。
13インチモデルでは1.2~1.3kgが相場ということを考えると、やはり軽いですね。実際手に取ってみても、片手でラクラク持つことができ、携帯性はバツグンです。
なお、カラバリモデルとして、SZ/HPシリーズ があり、カラーはパールホワイト・モデナレッド・デニムブルーの3色と豊富に用意されています。なお、兄弟モデルなので、主な仕様は共通です。
便利なインターフェース
光学ドライブ非搭載ながら、モバイルノートにしては内容は充実しています。
USBは全3ポート搭載しており、規格は全て大容量給電に対応した、USB3.1 Gen.1となっています。なお、左サイドのポートは、小型&リバーシブルのType-Cタイプとなっています。
ポートの数・端子のタイプともにポイントはしっかり押さえており、周辺機器の接続にはまず困りません。
また、モバイルノートにしてはかなり珍しく、有線のLANポートを搭載しているのもポイント。有線オンリーの環境でもしっかり使えるのはグッドですね。そのほか、HDMIポートやmicroSDスロットも搭載し、普段使いで必要なものは一通りそろっています。
ちなみに無線LANですが、Wi-Fi 6(802.11ax)に対応しているのもポイント。現行のWi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、無線でのブラウジングがより安定します。
ディスプレイ&キーボード
IGZOパネル搭載
ディスプレイはコンパクトな13.3インチサイズです。モバイルノートには、12インチ~14インチサイズがありますが、ディスプレイが大きめで、ゆとりのある13インチがまずおすすめ。
なお、解像度はオーソドックスななフルHDとなっています。
ディスプレイのパネルには、シャープが誇る”IGZO液晶”を搭載。高発色・高コントラスト・広視野角の3拍子揃った高性能パネルなので、くっきり鮮やかな映像クオリティを実現しています。動画鑑賞にうってつけですね。
このとおり、横から覗いても色むらはありません。
先にも紹介しましたが、ディスプレイのベゼル(ふち)はやや太め。
手堅い完成度のキーボード
13インチのコンパクトモデルということで、テンキーレスキーボードを搭載しています。
Enter周りがやや窮屈な感じがしますが、基本的にキーは大きめで、全て独立しており、配置そのものも素直。キーストロークも18.5mmと標準的な間隔が確保され、まず誤爆の心配はありません。
キーストロークは浅すぎず深すぎず、適度な反発感も相まって、サクサク快適にタイピングできます。なお、剛性は樹脂製ということで、いたって普通レベルですね。
ちなみに、LEDイルミネーションは非搭載となっています。LEDがあると薄暗い場所でもタイピングがしやすくなりますが、パソコンは基本的に明るい場所で使うので、無くても問題ありません。
指紋認証センサー搭載
タッチパッドはパッドとクリックボタンが一緒になった、一体型のタイプです。
表面はややざらついた材質で、適度に抵抗があり、確実なカーソル操作が可能です。また、クリックボタンの完成度も非常に高く、軽く押すだけでしっかり反応し、操作音も静か。一体型だと建付けが甘く、バタつくことがありますが、しっかり造りこまれているのは好印象です。
なお、タッチパッドの左上には指紋認証センサーを装備しています。わざわざパスコードを入力することなくログインでき、生体認証ということもあり、セキュリティ面でも安心。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


このモデルでは、インテルの最新世代となる、第11世代の4コア8スレッドCPU・Core i7-1165G7を搭載しています。最新世代では強力な内蔵グラフィック機能・Iris Xe Graphicsを搭載しているのがポイント。従来の内蔵グラフィックを軽く凌ぐ高い性能で、編集作業から軽めのオンラインゲームまで対応できます。
ただし、電源アダプターが45Wと小さく、性能はだいぶ控えめ。下位のCore i5-1135G7(45W)と比較してみても、シングル性能&マルチ性能はほぼ互角となっています。
それにしても、短時間のブースト性能とはいえ、シングル性能が200cbオーバーというのは驚異的ですね。デスクトップ用CPUレベルです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
鳴り物入りで登場した”Iris Xe Graphics”の実力ですが、下位の内蔵グラフィック・UHD Graphicsの約3.5倍にもなります。が、45Wの低出力タイプなので、実際のスコアはだいぶ控えめです。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Port Royal | ー | ー | ー | ー |
Time Spy Extreme | 518 | 464 | 1531 | ー |
Time Spy | 1217 | 1093 | 3219 | ー |
Night Raid | 11162 | 13344 | 5795 | ー |
Fire Strike Ultra | 769 | 749 | 8308 | 357 |
Fire Strike Extreme | 1407 | 1445 | 8447 | 575 |
Fire Strike | 3000 | 3402 | 8623 | 1048 |
Sky Diver | 10512 | 11265 | 7919 | 10409 |
Cloud Gate | 13022 | 20309 | 5773 | ー |
Ice Storm | 60551 | 62842 | 53701 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、スコア4000の大台をマークしており、パワーは十分。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業はもちろん、動画・画像編集にもしっかり対応できます。
ただし、Core i5-1135G7よりもスコアが低めとなっており、十分に性能を出し切れていないという感じです。。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、VCE/QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。VCEはAMD、QSVはインテルの名称です。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV/VCE |
Core i7-1165G7 | 56:40 | 26:27 | 4:05 |
Core i5-1135G7 | 49:21 | 25:21 | 3:16 |
まず軽めのH.264ですが、Core i7にしてはだいぶ時間がかかっている印象です。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core i5-1135G7に最大約13%、QSVでも約20%と大きめの差をつけられています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV/VCE |
Core i7-1165G7 | 1:16:45 | 38:29 | 4:50 |
Core i5-1135G7 | 1:15:22 | 37:09 | 4:05 |
重量級のH.265でも同じような傾向で、Core i5の方が有利。ソフトウェアエンコードでは約2~3%差と小さくなりますが、QSVでは約16%差と大きめです。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1165G7 | 1:45 | 4:21 |
Core i5-1135G7 | 1:19 | 3:50 |
画像変換テストでもCore i5-1135G7に及ばず、軽めのDNG変換では約25%、重量級のJPEG変換でも約12%と大きめの差がついています。
45Wと出力が小さいのもありますが、動作そのもののも控えめにし、余裕を持たせている感じがします。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
フルHD | 8993 | 11005 | 12232 |
低出力タイプですが、UHD Graphicsとはやはり一味違いますね。フルHD・最高品質でスコア8000台の非常に高いスコアをマーク。UHD Graphicsだと標準品質でもスコア5500すらきわどいので、その差は一目瞭然です。
VALORANT(ヴァロラント)
”リーグ・オブ・レジェンド”でおなじみの、ライオットゲームが手掛けるFPSゲームですね。内容はオーバーウォッチとCS:GOをミックスした感じ。カジュアルなグラフィックはもちろん、多彩なスキルを持つエージェント(現在では11人)を操り、5対5で戦うスタイルは、オーバーウォッチをほうふつとさせます。
ルールはFPSでよくみられる”爆弾設置ルール”を採用しています。爆弾を設置する側と阻止する側に分かれ、設置側は、爆弾を設置し爆発させれば勝利。阻止する側は、設置されないか、解除すれば勝利となります。最大25ラウンド、攻防は12ラウンドごとに切り替わり、13ラウンドを先取した側が勝ちとなります。
また、CS:GOを意識した”購入システム”を実装しており、ラウンド報酬の資金をもとに、ラウンドのインターバルで武器・防具・スキルを購入することができます。味方の装備や資金はチェックできるので、コミュニケーションをとりつつ、状況に応じて装備を調達するのが勝利へのカギとなます。
下記条件にて平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
高 | 中 | 低 | |
フルHD | 72(55)fps | 79(66)fps | 90(79)fps |
FPSゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。100fpsもあればド安定です。
オンラインゲームらしからぬ超軽量級ゲームということで、フルHD・高設定でも平均60fps以上をラクラクキープ。本音を言うと、中設定なら平均100fpsくらいは行ってほしかったところ。
Rainbow Six Siege(レインボーシックスシージ)
ユービーアイソフトでおなじみ【Tom Clancy’sシリーズ】のFPSゲームで、2015年12月の発売以来、今なお絶大な人気を誇ります。ゲームそのものも軽く、お手軽にできるのもポイントですね。
内容はかなりリアル志向。5対5のマルチプレイでは、個性あふれるオペレーターを駆使し、拠点防衛と攻撃を入れ替えで行います。死角多数の複雑に入り組んだマップで繰り広げられる戦闘は、自動回復のないシビアなライフシステムも相まって、高い緊張感を味わえます。
下記条件にて平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD/HD
ゲーム設定:最高/超高/高/中/低(V-Sync”OFF”)
プレイモード:カジュアル(マルチプレイ)
最高 | 超高 | 高 | 中 | 低 | |
HD | 52(41)fps | 56(40)fps | 53(35)fps | 61(45)fps | 77(55)fps |
フルHD | 37(31)fps | 39(33)fps | 41(34)fps | 45(35)fps | 53(42)fps |
FPSゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。100fpsもあればド安定です。
fpsゲームではかなり軽めの部類に入りますが、平均60fpsをキープするには、HD・中設定までガッツリ落とす必要があります。HDレベルで苦戦しているのはちょっと残念。
Fortnite(フォートナイト)
こちらも同じくバトロワ系の鉄板タイトルです。対人戦にプラスして、採集や建築要素があり、Apex Legendsとはまた違ったベクトルの楽しみ方ができます。チーム戦だけでなく、ソロで気軽にプレイできるのもいいですね。
平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD
ゲーム設定:DirectX 11、最高/高/中/低
降下後、1分間のダッシュ&屋内探索
エピック | 高 | 中 | 低 | |
HD | 31(25)fps | 43(39)fps | 60(56)fps | 92(73)fps |
フルHD | 16(12)fps | 24(20)fps | 36(30)fps | 51(34)fps |
競技性の高いゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。平均100fpsをキープできれば、さらに安定してプレイできます。
こちらも軽めのゲームですが、フルHDではどうにも歯が立たず、HD・中設定でようやく平均60fpsに届くレベル。このクラスのゲームなら、HDで余裕で動かせるくらいの性能が理想的です。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 3902 | 5074 | 5849 |
フルHD | 2005 | 2718 | 3285 |
UHD Graphicsよりもやや高めのスコアといったレベルですね。鳴り物入りで登場したIris Xe Graphicsですが、オンラインゲームを快適に楽しむには軽めのものに限られてしまいます。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。
このモデルは256GB SSDのみ搭載したシングルストレージ仕様となっています。SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。メーカーは速度で定評のあるサムスン製のものを搭載しています。
実際の速度は期待通りの速さで、シーケンシャル(連続データ)はいずれも4ケタをマーク。一方、ランダムはそこそこで、通常のSATAⅢタイプよりもやや速いレベルです。トータルで見ると、オーソドックスなNVMe SSDといったところでしょうか。
SSDということで、実際の動作はとても快適。OSの起動は早く、ブラウジングやアプリの動作もサクサク動きます。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ


50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で49.3デシベルと下回っています。ものすごく静かというわけではなく、ファンの回転音はしっかり聞こえますが、耳障りなノイズ感は控えめ。うるさく感じることはありません。
ちなみに最小時では46.7デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:dynabook標準、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約9時間10分と、モバイルノートの目安である10時間には届きませんが、スタンダードモデルなら十分及第点ですね。
充実した付属アプリ
国内メーカーモデルらしく、各種アプリが充実しています。
パソコンの管理ツールとして”dynabook サービスステーション’が用意されています。PCのアップデートや、診断機能が用意されており、ハードウェアのトラブルはまずこのツールで解決できます。
また、おなじみCyberLinkの”PowerDirector”や”PhotoDirector”がインストールされており、動画や画像編集もお手の物。趣味で編集作業をやる方にはうれしい内容ですね。
”DTS”のサウンドエンジンを採用しており、シーンに合わせて音質を変えられるほか、イコライザー機能で自分好みの音質にカスタマイズすることもできます。
その実力ですが、中音~高音メインで、低音は弱め。音質も軽く、サラウンドもイマイチと、一般的なノートPCの内蔵スピーカーといったところですね。
充実した保証&サポート
保証やサポートの充実ぶりもdynabookの魅力の一つです。
保証メニューには自然故障だけでなく、落下や水濡れなどの物損事故にも対応できる【dynabook プレミアム保証】を用意。物損保証は高くなりがちですが、価格は14,400円(3年版)~とかなり安め。最長5年まで延長でき、お気に入りの一台を末永く使うことができます。
持ち運びの際にうっかり落とした、コーヒーをこぼした…なんて場合には通常の保証だとカバーできず、修理費用も高額になりがち。それこそ新品1台分かかるなんてこともあります。。万が一のことを考えると、これはありがたいですね。
そのほか、使い方や技術的な質問に関する電話サポートはもちろん無料。また有償にはなりますが、出張サービスや引き取り点検サービスなども実施しており、初心者の方には特に安心です。
まとめ
スタンダードモデルながら、IGZOパネルやs指紋認証センサーを装備しており、手堅い完成度を実現。重さも約1.1kgと軽く、持ち運びにも最適です。さらに、手厚い保証やサポートも用意されており、持ち運ぶ機会の多いモバイルノートとの相性はバツグン。保証重視の方に特におすすめのモデルです。
なお、Core i7の性能はそこまで高くないので、価格の安いCore i5搭載モデルで十分。出力は同じく45Wとなっています。
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