今回dynabookの【dynabook PZ/LP】をお借りしました。
スタンダードモデルを地で行く手堅い完成度と、手厚い保証メニューが魅力の15インチモデルをチェックしてみましょう。
スペック
※2021年2月21日時点での内容です。製品仕様・販売価格については変更となる可能性があります。
外観
実用性重視のシンプルボディ
スタンダードモデルらしく、ボディはオーソドックスな樹脂製ですね。
ブラックボディにシルバーのロゴのみの、実用性に特化したシンプルなデザインに仕上げています。使う人を選ばないクオリティなので、ビジネスノートとしてもバッチリ使えます。
なお、よく見てみると、天板とキーボード面には、細かい凹凸状の加工が施されています。プレーンタイプよりも立体的に見え、単調になりすぎないのはグッド。
ちなみに、底面にはメモリ用のカバーが設置されているのもポイント。かんたんにメモリの交換と増設ができますが、あくまでも自己責任での作業となります。
ディスプレイのベゼル(ふち)をスリムにすることで、横幅と奥行きを圧縮しており、従来の15インチモデルよりもコンパクトなボディを実現しています。
また、厚さも19.9mmと2cm以下に抑えており、とてもスッキリした印象を受けます。
充実したインターフェース
スリムモデルということで、光学ドライブ非搭載ながら、インターフェースのラインナップは充実しています。
USBは全4ポート搭載しており、規格は全てUSB3.1となっています。そのうち、左サイドにある小型のType-Cポートは、最大10Gbpsの高速転送が可能な”Generation2”に対応しています。
ポートの数・端子のタイプともに15インチでのポイントをしっかり押さえており、周辺機器の接続にはまず困りません。
もちろん、LANポート・HDMIポート・SDスロットもしっかり装備し、普段使いで必要なものは一通りそろっています。
ちなみに無線LANですが、Wi-Fi 6(802.11ax)に対応しているのもポイント。現行のWi-Fi 5(802.11ac)よりもさらに速くなり、最大約9.6Gbpsと約1.5倍の高速通信を実現しています。また遅延も少なくなっているため、無線でのブラウジングがより安定します。
ディスプレイ&キーボード
IPSパネル搭載
ディスプレイサイズは、標準的な15.6インチです。モバイルノートでメジャーな13.3インチや14.0インチよりも一回り大きく、だいぶ余裕があります。据え置きなら15.6インチで決まりですね。
なお、解像度はオーソドックスななフルHDとなっています。
ディスプレイのパネルについては特に記載されていませんが、型番()SHP14C3)を調べてみると、IPSパネルとのこと。高発色&高コントラストの発色に優れたディスプレイで、映像クオリティは◎。動画鑑賞にも最適です。
なお、視野角も広く、横から覗いても色むらはありません。なお、参考までにパネルの詳細をチェックしてみると、スタンダードモデルながら色域が広めで、sRGBを100%カバーしています。さすがにプロ向けではありませんが、動画や画像編集にも最適。
使いやすいキーボード
15インチの幅広ボディということで、テンキー付きのキーボードを採用しています。
横幅いっぱいに使っており、各キーは大きく、すべて独立しています。テンキーが横4列というのもいいですね。また、配置そのものも非常に素直で、キーピッチは約19mmとデスクトップキーボード並みのゆとりがあり、誤爆の心配はまずありません。まさに理想的な完成度といえます。
キーストロークは浅すぎず深すぎず、適度な反発感も相まって、サクサク快適にタイピングできます。なお、剛性は樹脂製ということで、いたって普通レベルですね。
ちなみに、LEDイルミネーションはスタンダードモデルらしく非搭載です。
手堅い完成度のタッチパッド
タッチパッドはパッドとクリックボタンが一緒になった、一体型のタイプです。
表面はややざらついた材質で、適度に抵抗があり、確実なカーソル操作が可能です。また、クリックボタンの完成度も非常に高く、軽く押すだけでしっかり反応し、操作音も静か。一体型だと建付けが甘く、バタつくことがありますが、しっかり造りこまれているのは好印象です。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトで実際の性能をチェックしてみました。
CINEBENCH
まずは、3Dグラフィックのレンダリングソフト【CINEBENCH】で、CPUのシングル・マルチでの性能をチェックしてみました。


このモデルでは、インテルの最新世代となる、第11世代の4コア8スレッドCPU・Core i7-1165G7を搭載しています。最新世代では強力な内蔵グラフィック機能・Iris Xe Graphicsを搭載しているのがポイント。従来の内蔵グラフィックを軽く凌ぐ高い性能で、編集作業から軽めのオンラインゲームまで対応できます。
下位モデルで搭載されている、同じく4コア8スレッドのCore i5-1135G7(45W)と比較してみても、シングル性能は約12%、マルチ性能は約41%も高く、動作クロックと高出力で大きく差をつけています。。
それにしても、短時間のブースト性能とはいえ、シングル性能が200cbオーバーというのは驚異的ですね。デスクトップ用CPUレベルです。
3DMARK
3DMARKは、グラフィックボードやCPUを含めたグラフィック能力を総合的に測定するベンチマークソフト。
DirectX 9(Ice Storm)・DirectX 10(Cloud Gate)・DirectX 11(Sky Diver/Fire Strike)、そして最新のDirectX 12(Time Spy/Night Raid)・RT(Port Royal)それぞれの条件で測定することができます。
鳴り物入りで登場した”Iris Xe Graphics”の実力ですが、下位の内蔵グラフィック・UHD Graphicsの約3.5倍にもなる破格の性能となっています。
総合スコア | Graphics Score | CPU/Physics Score | Combined Score | |
Port Royal | ー | ー | ー | ー |
Time Spy Extreme | 543 | 481 | 2101 | ー |
Time Spy | 1290 | 1151 | 1407 | ー |
Night Raid | 12606 | 14023 | 8017 | ー |
Fire Strike Ultra | 785 | 761 | 13206 | 363 |
Fire Strike Extreme | 1446 | 1469 | 13443 | 589 |
Fire Strike | 3215 | 3619 | 13605 | 1078 |
Sky Diver | 11793 | 12135 | 10208 | 12061 |
Cloud Gate | 16859 | 22807 | 8815 | ー |
Ice Storm | 72969 | 74876 | 66997 | ー |
PCMark 10
【PCMark 10】は、ブラウジング・ビデオチャット・動画や画像の編集作業・軽めの3Dゲームなど、一般的な用途での性能を測る定番ソフトです。
ブラウジングや各種編作業など、基本的なタスクを快適にこなせる目安はスコア3000以上となりますが、スコア4000の大台をマークしており、パワーは十分。ブラウジングやオフィス作業などの軽作業はもちろん、動画・画像編集にもしっかり対応できます。
なお、Core i5-1135G7との差は約7%ほどと小さく、普段使いなら正直Core i5でも十分ですね。
動画エンコード
【TMPGEnc Video Mastering Works 7】を利用し、再生時間6分30秒のMJPEG動画をMP4形式に変換する時間を計測しました。
エンコーダーはx264(H.264)およびx265(H.265)を利用し、それぞれ2パス・1パス・QSVでエンコードしています。なお、VCE/QSVはグラフィック機能を利用した高速エンコード機能のこと。
H.264(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1165G7 | 38:42 | 19:39 | 2:47 |
Core i5-1135G7 | 49:21 | 25:21 | 3:16 |
まず軽めのH.264ですが、高クロックな分Core i7-1165G7が有利。CPU勝負のソフトウェアエンコード(2Pass・1Pass)では、Core i5-1135G7よりも約22~23%、QSVでも約15%早く変換を完了し、きっちり差をつけています。
H.265(フルHD) | 2Pass | 1Pass | QSV |
Core i7-1165G7 | 1:01:33 | 29:12 | 3:40 |
Core i5-1135G7 | 1:15:22 | 37:09 | 4:05 |
重量級のH.265でも同じような傾向で、やはりCore i7の方が有利ですね。Core i5に比べ、ソフトウェアエンコードでは約18~21%、QSVでは約11%早く変換を完了しています。
画像変換
【Lightroom Classic CC】を使い、200枚のRAW画像(5760×3840ドット、CR2形式)をDNG形式に変換する時間と最高画質のJPEG画像に書き出す時間をそれぞれ計測しました。
JPEG書き出しの際は“スクリーン用・標準”のシャープネスを適用しています。シャープネス処理が以外とCPUに負担をかけるため、特にCPUの性能が重要になります。
CR2→DNG | CR2→JPEG | |
Core i7-1165G7 | 1:13 | 3:15 |
Core i5-1135G7 | 1:19 | 3:50 |
画像変換テストでもCore i7-1165G7に軍配が上がり、軽めのDNG変換では約8%差と小さいものの、重量級のJPEG変換では約15%と大きめの差がついています。
こだわりがなければCore i5でも十分ですが、編集機会の多い方はCore i7がおすすめです。
ドラクエ10
グラフィック品質にこだわらなければ、ノートPCでもプレイできるほどの軽さが特徴です。スコア5500以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
フルHD | 9341 | 12328 | 13851 |
内蔵グラフィックにもかかわらず、フルHD・最高品質でスコア9000台の非常に高いスコアをマーク。UHD Graphicsだと標準品質でもスコア5500すらきわどいので、パワーは段違いですね。
VALORANT(ヴァロラント)
”リーグ・オブ・レジェンド”でおなじみの、ライオットゲームが手掛けるFPSゲームですね。内容はオーバーウォッチとCS:GOをミックスした感じ。カジュアルなグラフィックはもちろん、多彩なスキルを持つエージェント(現在では11人)を操り、5対5で戦うスタイルは、オーバーウォッチをほうふつとさせます。
ルールはFPSでよくみられる”爆弾設置ルール”を採用しています。爆弾を設置する側と阻止する側に分かれ、設置側は、爆弾を設置し爆発させれば勝利。阻止する側は、設置されないか、解除すれば勝利となります。最大25ラウンド、攻防は12ラウンドごとに切り替わり、13ラウンドを先取した側が勝ちとなります。
また、CS:GOを意識した”購入システム”を実装しており、ラウンド報酬の資金をもとに、ラウンドのインターバルで武器・防具・スキルを購入することができます。味方の装備や資金はチェックできるので、コミュニケーションをとりつつ、状況に応じて装備を調達するのが勝利へのカギとなます。
下記条件にて平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD
ゲーム設定:高/中/低(アンチエイリアス”FXAA”、異方性フィルタリング”16x”)
プレイモード:アンレート
高 | 中 | 低 | |
フルHD | 84(70)fps | 96(85)fps | 106(95)fps |
FPSゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。100fpsもあればド安定です。
オンラインゲームらしからぬ超軽量級ゲームということで、フルHD・高設定でも平均60fps以上を大きく超える安定ぶり。中設定なら平均100fpsに近く、軽めのゲームなら十分対応できます。
Rainbow Six Siege(レインボーシックスシージ)
ユービーアイソフトでおなじみ【Tom Clancy’sシリーズ】のFPSゲームで、2015年12月の発売以来、今なお絶大な人気を誇ります。ゲームそのものも軽く、お手軽にできるのもポイントですね。
内容はかなりリアル志向。5対5のマルチプレイでは、個性あふれるオペレーターを駆使し、拠点防衛と攻撃を入れ替えで行います。死角多数の複雑に入り組んだマップで繰り広げられる戦闘は、自動回復のないシビアなライフシステムも相まって、高い緊張感を味わえます。
下記条件にて平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD/HD
ゲーム設定:最高/超高/高/中/低(V-Sync”OFF”)
プレイモード:カジュアル(マルチプレイ)
最高 | 超高 | 高 | 中 | 低 | |
HD | 61(45)fps | ー | ー | ー | ー |
フルHD | 41(35)fps | 43(37)fps | 47(41)fps | 53(46)fps | 61(54)fps |
FPSゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。100fpsもあればド安定です。
fpsゲームではかなり軽めの部類に入りますが、フルHDでは低設定までガッツリ落として、ようやく平均60fpsをキープできます。ちょっと重くなるとフルHDが厳しくなるのを見ると、まだまだ内蔵グラフィックの域を出ないといったところですね。
Fortnite(フォートナイト)
こちらも同じくバトロワ系の鉄板タイトルです。対人戦にプラスして、採集や建築要素があり、Apex Legendsとはまた違ったベクトルの楽しみ方ができます。チーム戦だけでなく、ソロで気軽にプレイできるのもいいですね。
平均と最低fpsを計測しました。
解像度:フルHD
ゲーム設定:DirectX 11、最高/高/中/低
降下後、1分間のダッシュ&屋内探索
エピック | 高 | 中 | 低 | |
HD | 39(36)fps | 59(55)fps | 86(79)fps | 114(87)fps |
フルHD | 19(18)fps | 29(26)fps | 41(35)fps | 63(56)fps |
競技性の高いゲームなので、スムーズに動作する平均60fpsは絶対にキープしたいところ。平均100fpsをキープできれば、さらに安定してプレイできます。
こちらも軽めのゲームですが、フルHD・低設定でも平均60fpsギリギリといったところで、安定してプレイするなら、HDでが実用的な解像度となります。
FF14
おなじみの重量級ベンチマークです。スコア7000以上で【非常に快適】となり、スコア9000以上で平均60fpsをキープできます。
最高品質 | 高品質 | 標準品質 | |
HD | 4727 | 6140 | 6948 |
フルHD | 2382 | 3012 | 3614 |
重めのゲームということで、どの解像度・設定でもスコア7000に届きません。ただ、HD・標準品質でスコア7000手前というのは、たしかな進化を感じさせます。
性能そのものは大きく向上していますが、ゲームなら基本的に軽めのものに限られます。
CrystalDiskMark
【CrystalDiskMark】は、ストレージの読み書きの転送速度をチェックソフトです。ポイントはランダムデータ(4Kと書いてある項目)の転送速度。これが速いほど、ブラウジングやアプリの動作が速くなり、実用的なストレージといえます。


このモデルは256GB SSD+1TB HDDのデュアルストレージ仕様となっています。アプリは高速のSSDに、データ類はHDDに保存する使い分けができ、とても便利な構成です。なお、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用し、メーカーは速度で定評のあるサムスン製のものを搭載しています。
肝心の速度ですが、シーケンシャル(連続データ)の読み込みはいずれも4ケタをマーク。一方、書き込みもしっかり速度が出ており、特にランダムの速度は良好です。SSDということで、実際の動作はとても快適。OSの起動は早く、ブラウジングやアプリの動作もサクサク動きます。
動作音
FF14実行時のPC正面でノイズを測ってみました。※防音室や無響室での測定ではないので、あくまでも参考までにどうぞ


50デシベルを超えるとノイズが気になるようになりますが、ピーク時で51.0デシベルと上回っています。ファンは高速回転していますが、50デシベルをやや超える程度なので、そこまでうるさくは感じません。
ちなみに最小時では46.7デシベルとありますが、アイドルなのでほぼ無音です。
バッテリー持続時間
「bbench」でバッテリーの持続時間を調べてみました。条件は4つで、実際の使用感に近い設定にしています。
- 電源設定:dynabook標準、より良いバッテリー
- バックライト:40%
- 10秒ごとにキー入力
- 1分ごとに無線LAN経由でネット接続
結果は約7時間50分と、スタンダードモデルでは標準的な持続時間となっています。15インチは基本据え置きで使うので、これだけもてば十分ですね。
充実した付属アプリ
国内メーカーモデルらしく、各種アプリが充実しています。
パソコンの管理ツールとして”dynabook サービスステーション’が用意されています。PCのアップデートや、診断機能が用意されており、ハードウェアのトラブルはまずこのツールで解決できます。
また、おなじみCyberLinkの”PowerDirector”や”PhotoDirector”がインストールされており、動画や画像編集もお手の物。趣味で編集作業をやる方にはうれしい内容ですね。
”DTS”のサウンドエンジンを採用しており、シーンに合わせて音質を変えられるほか、イコライザー機能で自分好みの音質にカスタマイズすることもできます。
その実力ですが、中音~高音メインですが、低音もそれなりに出ています。サラウンドもしっかり効いているので、臨場感があるのもいいですね。内蔵スピーカーにしては健闘しているクオリティです。
充実した保証&サポート
保証やサポートの充実ぶりもdynabookの魅力の一つです。
保証メニューには自然故障だけでなく、落下や水濡れなどの物損事故にも対応できる【dynabook プレミアム保証】を用意。物損保証は高くなりがちですが、価格は14,400円(3年版)~とかなり安め。最長5年まで延長でき、お気に入りの一台を末永く使うことができます。
持ち運びの際にうっかり落とした、コーヒーをこぼした…なんて場合には通常の保証だとカバーできず、修理費用も高額になりがち。それこそ新品1台分かかるなんてこともあります。。万が一のことを考えると、これはありがたいですね。
そのほか、使い方や技術的な質問に関する電話サポートはもちろん無料。また有償にはなりますが、出張サービスや引き取り点検サービスなども実施しており、初心者の方には特に安心です。
まとめ
特に派手さはありませんが、機能面から性能面まで手堅くまとまっており、スタンダードモデルとして申し分のない完成度を実現しています。さらに、手厚い保証やサポートも用意されており、うっかり事故の多いノートPCとの相性はバッチリ。保証重視の方に特におすすめのモデルです。
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