- RTX 3060 Tiより約10%性能が高いものの、高解像度では逆転されるケースもあり
- DLSS 3に対応し、WQHDでのゲーミングに最適
- 搭載パソコンの予算目安は16~22万円台
RTX 4000シリーズの第5弾となる、アッパーミドルクラスのRTX 4060 Tiの実力と、おすすめモデルをチェックしてみましょう。
RTX 4060 Tiのスペックまとめ
レイトレーシング&DLSS対応
RTXシリーズでは、”RTコア”と”Tensorコア”を搭載しています。
RTコアは”レイトレーシング技術(RT)”に対応しており、反射・影・ライティングなどをリアルに再現可能。ゲームでのイメージを見てもわかるように、炎の描写が車体にもしっかり表現され、従来よりもさらに臨場感が増しています。
また、AI機能のTensorコアは”DLSSモード”に対応しており、低い解像度でレンダリングした映像をアップスケーリングし、さらにアンチエイリアスを最適化することで、フレームレートを大幅に向上させることができます。ゲームの快適性が目に見えて上がり、とても便利。
そのほか、RTXシリーズはOptiXにも対応しているのもポイント。Blenderなどの3DCG作成ソフトでは、RTコアを活用した高速レンダリングや、Tensorコアを活用した高速のノイズ除去機能を搭載し、ヘビーなCG作成作業で高いパフォーマンスを発揮します。
RTX 4060 Tiの仕様
RTX 4070 | RTX 4060 Ti | RTX 3070 | RTX 3060 Ti | |
コア | AD104(Ada Lovelace) | AD106(Ada Lovelace) | GA104(Ampere) | GA104(Ampere) |
プロセスルール | 4nm | 4nm | 8nm | 8nm |
CUDAコア数 | 5888基 | 4352基 | 5888基 | 4864基 |
RTコア数 | 46基 | 34基 | 46基 | 38基 |
Tensorコア数 | 184基 | 136基 | 184基 | 152基 |
動作クロック | 1920MHz | 2310MHz | 1500MHz | 1410MHz |
ブーストクロック | 2475MHz | 2535MHz | 1725MHz | 1665MHz |
メモリークロック | 21GHz | 18GHz | 14GHz | 14GHz |
メモリータイプ | GDDR6X | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリーインターフェース | 192bit | 128bit | 256bit | 256bit |
メモリーバス幅 | 504GB/s | 288GB/s | 448GB/s | 448GB/s |
メモリー搭載量 | 12GB | 8・16GB | 8GB | 8GB |
L2キャッシュ | 36MB | 32MB | 4MB | 3MB |
TGP | 200W | 160W | 220W | 200W |
PCI Express | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
外部電源 | 16ピン | 16ピン | 16ピン | 16ピン |
RTX 4070では新たにAD106を採用。RTX 4070と比較すると、グラフィック描写の要となるCUDAコア数は約74%となっています。その数はRTX 3060 Tiを下回り、約89%と前世代から削減されています。
さらに、VRAM(グラフィックメモリ)周りも弱体化され、メモリーインターフェースやメモリーバス幅はいずれもRTX 3060 Ti以下。特にメモリーインターフェースはなんと半分まで削減されており、エントリークラスのRTX 3050レベルとなっています。
ただし、それらはRTX 3060 Tiの約11倍にもなる大容量のL2キャッシュと、動作クロックの引き上げでカバーする設計となっています。また、TGPはRTX 3060 Tiから20%減少し、ワットパフォーマンスが向上しているのもポイントです。
レイトレースエンジンの”RT Core”は第3世代へ進化し、CUDAコア数と同じくRTX 4070の約79%、RTX 3060 Tiの約89%となっています
シェーダー処理を最適化する”Shader Execution Reordering”や、複雑なジオメトリのレンダリングを高速化する”Micro-Mesh Engine”、不透明な物体の処理を高速化する”Opacity Micro-Map Engine”などの新機能が追加れ、大幅な性能向上を実現しています。
AI処理エンジン”Tensor Core”は第4世代へ進化し、DLSSも第3世代の”DLSS 3”へ進化しています。ちなみに、Tensor Coreの数もRTX 4070の約79%、RTX 3070の約89%と変わりなし。
GPUコアに内蔵された”Optical Flow Accelerator”を使い、映像のフレーム間に中間フレームを補完することで、描写の負荷を大きく軽減し、フレームレートを大幅に上げることが可能。ウルトラヘビー級のゲーム・Cyberpunk 2077では、約4倍以上もパフォーマンスが向上しています。
VRAM 16GB版のRTX 4060 Ti登場
当初のVRAM 8GB版に加え、新たにVRAM 16GB版のRTX 4060 Tiが登場しました。
これは単純にVRAMの容量を増やしたバージョンなので、性能はほぼ同じ。さらに、RTX 4070に近い価格設定となっているため、基本的に選ぶ必要はありません。
ベンチマーク
Core i7-13700K・32GBメモリ(DDR5-6000)の組み合わせで実際の性能をチェックしてみましょう。
3DMark
おなじみのベンチマークソフトで、まずはDirectX11をベースにしたFire Strikeをチェック。
RTX 4060 TiとRTX 3060 Tiと比較すると、フルHDとWQHDでは約8~10%高いスコアをマーク。ただし、4KではVRAMがネックになり、逆に約3%差をつけられています。RTX 3070に届かないどころか、高解像度ではRTX 3060 Tiに逆転されるなど、なかなかつらい性能です。。
なお、上位のRTX 4070との差は約33~41%とかなり大きく、RTX 4060 Tiの性能がいかに控えめかがわかりますね。
次に最新のDirectX12をベースにしたTime Spyをチェック。
このテストでは、RTX 4060 TiがRTX 3060 Tiをいずれも上回り、約10~15%差をつけています。ただし、RTX 3070には4Kでわずかながら及ばず、高解像度での伸びはやはりイマイチ。なお、上位のRTX 4070との差は約33~37%と変わらず大きめです。
そしてRT(リアルタイムレイトレーシング)性能を測定するPort Royalをチェック。
RTX 4060 TiはRTX 3060 TiよりもRTコアが少ないものの、RTコアの性能そのものが向上しているため、約15%高いスコアをマークし、RTX 3070に迫るほど。
ちなみに、RTX 4070との差は約38%となっています。
最後はDLSS性能を測るDLSS feature testをチェック。現状DLSS 3はRTX 4000シリーズの専用機能なので、RTX 4000シリーズのみDLSS 3モードを有効にしています。
DLSS 3の効果は非常に大きく、fpsの伸び幅はノーマルモードの2.5~3.2倍!前世代を寄せ付けず、RTX 4060 TiはRTX 3060 Tiに約68~70%、RTX 3070にも約47~53%もの差をつけ、フレームの補完で大きく変わることが分かりますね。
ちなみに、RTX 4070との差は約34~38%となっています。
FF14暁月のフィナーレ
続いて実際のゲームでチェックしていきますが、まずはおなじみのMMORPGゲームから。スコア9000以上で平均60fpsをキープできるようになります。
どうにも4Kで息切れしてしまい、フルHDとWQHDでは、RTX 4060 TiがRTX 3060 Tiを約1~4%上回るものの、4Kでは逆に約9%差をつけられています。RTX 3070との差は4Kで約22%にもなり、VRAMの弱さをL2キャッシュでカバーするには限界があります。
なお、RTX 4070との差は、フルHD・WQHDでは約15~17%なのが、4Kでは約46%まで拡大し、なかなか衝撃的。。RTX 4060 Tiの適正解像度はWQHDまでといったところですね。
Overwatch 2
DirectX11ベースの軽量級FPSゲームです。
RTX 4060 TiとRTX 3060 Tiを比較すると、フルHDでの平均fpsは約10%上回っているものの、WQHDで早くも息切れし始め2%差になり、4Kでは逆転されて約4%差をつけられています。。RTX 3070にもフルHDで約4%差だったのが、4Kでは約20%まで拡大します。
なお、RTX 4070との差は約33~43%と大きく、RTX 4060 Tiの物足りなさが際立ちますね。
Tiny Tina’s Wonderlands
DirectX12ベースの超重量級FPSゲームです。
RTX 4060 TiはRTX 3060 Tiをコンスタントに超え、フルHDとWQHDでは平均fpsが約7~10%高いものの、4Kでは約3%差まで詰められます。RTX 3070には4Kで約18%と大きく差をつけられており、4Kでの弱さは相変わらずといったところ。
また、RTX 4070との差は約33~40%と、変わらず大きめです。
Call of Duty: Modern Warfare II
DirectX12ベースの重量級FPSゲームです。
このゲームではL2キャッシュが効果的になっており、RTX 4060 Tiの平均fpsはRTX 3060 Tiより約11~24%高くなっています。ただし、4Kで詰められるのは変わらずといったところ。なお、RTX 3070をも上回り、約5~12%差をつけています。
なお、RTX 4070との差は約23~31%となっています。
Hogwarts Legacy
DirectX12をベースにした、ウルトラヘビー級のアクションゲーム。レイトレーシングを有効にしており、DLSS設定は”バランス”で計測しています。
RTコアの進化も相まって、RTX 4060 TiはRTX 3060 Tiをコンスタントに上回り、平均fpsで約9~20%差をつけています。それでもRTX 3070にはあと一歩及ばず。上位のRTX 4070との差は4Kで約28%となり、CUDAコア数やVRAMの差がきっちり出ています。


DLSS 3(フレーム補完)の効果が非常に大きく、RTX 4060 Tiのfpsは4Kで約3.1倍も向上。RTX 3060 Tiとの差は、フルHDで2倍ですが、4Kでは40%まで小さくなり、4Kでの弱さは相変わらずといったところ。
なお、RTX 4070との差はフルHDでは約6%と小さいものの、WQHD以上では約21~24%と拡大。4Kでは唯一平均60fpsを超えており、4Kならこのクラスを最低でも押さえておきたいところです。
Cyberpunk 2077
ホグワーツに勝るとも劣らない、ウルトラヘビー級のFPSゲーム。レイトレーシングを有効にしており、DLSS設定は”バランス”で計測しています。
大容量のL2キャッシュが効いているためか、RTX 4060 TiがRTX 3060 Tiに4Kで3倍もの差をつけています。なお、RTX 4070との差はフルHDで約32%なのが、4Kでは約78%にまで拡大しており、やはりCUDAコア数やVRAMの差がきっちり出ていますね。
やはりDLSS 3(フレーム補完)の効果が非常に大きく、4Kでは約4.7倍もfpsが向上。RTX 4060 TiはRTX 3060 Tiを約40~63%上回っているものの、4Kで差が小さくなるのは変わらず。
なお、RTX 4070との差は4Kで約57%と大きく、平均60fps以上をキープ。4KならRTX 4070がまずおすすめです。
消費電力
Time Spy実行時の消費電力を計測しました。
セールスポイントのワットパフォーマンスですが、RTX 4060 Tiのピーク時での消費電力は、RTX 3060 Tiより約13%少なくなっており、まさに謳い文句通りといったところ。RTX 4070もRTX 3060 Tiを下回っており、RTX 4000シリーズではワットパフォーマンスが大きく向上していることがわかりますね。
RTX 4060 Tiの性能まとめ
RTX 3060 Tiからの性能向上は、よくて約10%程度と控えめ。RTX 3070に及ばないどころか、高解像度ではVRAMの弱さが影響し、RTX 3060 Tiを下回ってしまうなど、どうにも物足りない性能となっています。RTX 4070との差が最大約40%とかなり大きいだけに、なおさら物足りなさを感じますね。
微妙な完成度ですが、DLSS 3を使いつつWQHDでのパフォーマンスを重視するならおすすめといったところでしょうか。。20万円以上出すなら、奮発してRTX 4070搭載モデルを購入した方が、満足度は高いです。
RTX 4060 Ti搭載のおすすめゲーミングPC
GALLERIA/ガレリア RM5C-R46T(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i5-13400F
■チップセット:B760チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラボ:RTX 4060 Ti
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe)
■電源:650W(80PLUS BRONZE)
■大型空冷式CPUクーラー搭載
■価格:169,980円(税込)~
高品質ケース採用の低価格モデル
インテルの第13世代10コア16スレッドCPU・Core i5-13400FとRTX 4060 Tiを搭載した、WQHDでのゲーミングに最適なミニタワーモデル。16GBメモリに1TB SSDの非常に充実した初期構成で、冷却性能が高い大型空冷式CPUクーラーを搭載しています。
曲線を用いた美しいケースは、裏配線&チャンバー構造を採用することで、高いエアフローを実現。さらに、LEDイルミネーションやクリアサイドパネルを搭載しており、トータルでの完成度が高い一台に仕上がっています。
価格が18万円台と安く、まずおすすめです。
基本的にカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージ構成にすると、ゲームとデータの保存先を分けることができ、さらに便利になります。
GALLERIA/ガレリア XA7C-R46T(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i7-13700F
■チップセット:B760チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラボ:RTX 4060 Ti
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe)
■電源:650W(80PLUS BRONZE)
■大型空冷式CPUクーラー搭載
■価格:224,980円(税込)~
先に紹介したドスパラのモデルを、インテルの第13世代16コア24スレッドCPU・Core i7-137000F&ミドルタワーケースにしたバージョン。
ミニタワーケースと同じく、LEDイルミネーションやチャンバー&裏配線構造を採用し、拡張性も共通しています。CPUの性能を重視するならおすすめです。
基本的にはカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータ類の保存先を分けることができ、さらに便利になります。
G-GEAR GA7J-H230/ZB2(ツクモ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i7-13700
■チップセット:Z690チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラボ:RTX 4060 Ti
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe)
■電源:750W(80PLUS GOLD)
■価格:220,800円(税込)~
高品質マザーボード搭載のコスパモデル
インテルの第13世代16コア24スレッドCPU・Core i7-13700とRTX 4060 Tiを搭載した、WQHDでのゲーミングに最適なミドルタワーモデル。16GBメモリに1TB SSDの非常に充実した初期構成で、電源は最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源を搭載しています。
さらに、マザーボードには、高い耐久性と信頼性を誇るASUSの【TUF GAMING Z690-PLUS】を採用。チョークコイルやコンデンサなど重要部品をはじめ、金属プレートで補強された拡張スロットなど、各パーツが軍事規格に準拠しており、とにかくタフ。
フロントにメッシュパネルを採用したケースは通気性がとても高く、トータルで高いクオリティを実現しています。パーツのクオリティにこだわるならおすすめです。
基本的にはカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータ類の保存先を分けることができ、さらに便利になります。また、CPUの発熱対策として、大型CPUクーラーにするのもあり。
G-Tune DG-I5G6T(G-Tune)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i5-13400F
■チップセット:B760チップセット
■メモリ:16GB(DDR5-4800)
■グラボ:RTX 4060 Ti
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe Gen.4)
■電源:750W(80PLUS BRONZE)
■価格:219,800円(税込)~
※実機モデルではRTX 3060を搭載しています。本体イメージの確認におすすめ。
保証&サポート重視ならG-Tuneがおすすめ
インテルの第13世代10コア16スレッドCPU・Core i5-13400FとRTX 4060 Tiを搭載した、WQHDでのゲーミングに最適なミニタワーモデル。16GBメモリに500GB SSDの充実した初期構成で、SSDは爆速のPCIe Gen.4タイプを採用しています。
また、ケースの完成度が高いのもポイント。ケース内部は電源とストレージを上部に集約した、”チャンバー構造”になっており、エアフローがとてもスムーズ。さらに、フロント部分にHDMI端子がついているので、VR機器の取り回しもかんたん。
ちなみに、G-Tuneは保証が充実しているのもポイント。G-Tuneでは延長保証が定額制で安く、例えば3年延長保証+センドバック修理保証に7,700円(税込)で加入することができます。また、24時間365日の電話サポート&96時間以内で修理完了が標準メニューとして用意されており、万が一でも安心。
サポート&保証重視ならおすすめ。
基本的にカスタマイズ不要ですが、最近のゲームは容量が増えているため、SSDは1TBあるとより安心。また、HDDを追加してデュアルストレージ構成にすると、ゲームとデータを別々に保存でき、さらに便利になります。
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