- RTX 3070から最大約10%性能が向上
- VRAMのアップグレードで、特に高解像度での安定感がアップ
- 搭載パソコンの予算目安は24~32万円台
RTX 3080に続き、RTX 3070にも上位クラスとなる”Tiバージョン”が登場。VRAMのアップグレードで性能を底上げした、ハイスペックグラボの実力と、おすすめモデルをチェックしてみましょう。
RTX 3070 Tiのスペックまとめ
リアルタイムレイトレーシング対応
RTX 3000シリーズでも引き続き、DXR(リアルタイムレイトレーシング)に対応しています。GPU内部にレイトレーシング専用ユニット”RTコア”を搭載することで、従来よりもさらにリアルな映像描写が可能になっています。
上の画像はBattlefield Vのデモムービーですが、従来のGPUとの違いは一目瞭然。炎の描写が車体にもしっかり表現され、よりリアルになっているのがわかりますね。
さらに、RTコアのほか、AI機能に対応した”Tensorコア”を搭載しています。
Tensorコアを活用した”DLSSモード”では、低い解像度でレンダリングした映像をアップスケーリングし、さらにアンチエイリアスを最適化することで、フレームレートを大幅に向上させることができます。ゲームの快適性が目に見えて上がるので、とても便利ですね。
なお、DXR・DLSSいずれも対応したゲームでないと動作しない点に注意!
RTX 3070 Tiの仕様
RTX 3090 | RTX 3080 Ti | RTX 3080 | RTX 3070 Ti | RTX 3070 | |
コア | GA102(Ampere) | GA102(Ampere) | GA102(Ampere) | GA104(Ampere) | GA104(Ampere) |
プロセスルール | 8nm | 8nm | 8nm | 8nm | 8nm |
CUDAコア数 | 10496基 | 10240基 | 8704基 | 6144基 | 5888基 |
RTコア数 | 82基 | 80基 | 68基 | 48基 | 46基 |
Tensorコア数 | 328基 | 320基 | 272基 | 192基 | 184基 |
動作クロック | 1395MHz | 1365MHz | 1440MHz | 1575MHz | 1500MHz |
ブーストクロック | 1695MHz | 1665MHz | 1710MHz | 1770MHz | 1725MHz |
メモリークロック | 19.5GHz | 19GHz | 19GHz | 19GHz | 14GHz |
メモリータイプ | GDDR6X | GDDR6X | GDDR6X | GDDR6X | GDDR6 |
メモリーインターフェース | 384bit | 384bit | 320bit | 256bit | 256bit |
メモリーバス幅 | 936GB/s | 912GB/s | 760GB/s | 608GB/s | 448GB/s |
メモリー搭載量 | 24GB | 12GB | 10GB | 8GB | 8GB |
TDP | 350W | 350W | 320W | 290W | 220W |
PCI Express | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
NVLink SLI | 〇 | ー | ー | ー | ー |
外部電源 | 12ピン | 12ピン | 12ピン | 12ピン | 12ピン |
RTX 3070の上位モデルですが、グラフィック描写の要となるCUDAコアは、RTX 3070から約4%の増加にとどまり、クロックも微増とだいぶ控えめ。目玉はなんといってもVRAM(グラフィックメモリ)ですね。RTX 3070のGDDR6から、GDDR6Xにアップグレードされています。
メモリーインターフェースは256bitと据え置きですが、メモリークロックが19GHzとかなり高速になり、メモリーバス幅はなんと608GB/sと、RTX 3070から約35%も広くなっています。メモリーバス幅の強化により、高解像度でのパフォーマンス向上を実現しています。
ただ、マイナーチェンジといった感じで、Tiシリーズにしてはどうにもインパクト不足ですね。。
ベンチマーク
Ryzen 9 5900X・16GBメモリ(DDR4-3200)の組み合わせで実際の性能をチェックしてみましょう。
3DMark
おなじみのベンチマークソフトです。
まずDirectX11をベースにしたFire Strikeですが、RTX 3070 TiはRTX 3070を約6~7%上回っています。仕様通りといったところで、あまり差がつきません。
なお、上位のRTX 3080との性能差は、Fire Strikeこそ約2%ですが、Fire Strike Extremeでは約17%、Fire Strike Ultraでは約24%となり、解像度が上がると差が開く傾向にあります。コア数はもちろん、メモリの仕様の差がきっちりスコアに表れています。
次に最新のDirectX12をベースにしたTime Spyをチェック。
RTX 3070 TiはRTX 3070を約8~9%上回っており、Fire Strikeとあまり変わらない結果となりました。また、高解像度を想定したテストのため、RTX 3080との性能差は約21~22%と大きく差がついています。
Tiにもかかわらず、RTX 3070+αの性能というのは、やっぱり物足りないですね。
最後はDXR(リアルタイムレイトレーシング)性能を測定するPort Royalをチェック。
RTコアは微増ということで、RTX 3070 TiとRTX 3070の差は約6%と控えめ。なお、RTX 3080はRTコアがとても多く、RTX 3070 Tiよりも約24%高いスコアをマークしています。
FF14漆黒のヴィランズ
続いて実際のゲームでチェックしていきますが、まずはおなじみのMMORPGゲームから。スコア9000以上で平均60fpsをキープできるようになります。
RTX 3070 TiとRTX 3070との差は、フルHDでは約3%程度ですが、4Kともなると約12%までに拡大し、やはり高解像度に強いです。
なお、RTX 3080との差は、解像度が上がるほど大きくなる傾向で、フルHD&WQHDでは約3~5%程度ですが、4Kでは約18%にもなり、高解像度で格の違いを見せつけていますね。
Borderlands 3
DirectX12ベースの超重量級FPSゲームです。
解像度が上がるにつれRTX 3070 TiとRTX 3070との差が開き、フルHDでは平均fpsで約4%なのが、4Kでは約11%になります。が、4Kで平均60fpsに届かず、設定を落とす必要があります。
なお、RTX 3080との差は約15~29%と、解像度が上がるにつれ大きくなり、4Kでも平均60fpsをきっちり超えてきます。4Kでのパフォーマンス重視なら、RTX 3080以上あるとやはり安心です。
BIOHAZARD RE:3
DirectX12ベースの重量級TPSゲームですね。
RTX 3070 TiとRTX 3070との差は、フルHDでは平均fpsで約5%ですが、WQHD&4Kでは約10%に開き、高解像度での安定感が向上しています。なお、RTX 3080との差は約18~29%となり、やはり4Kでの差がとても大きくなっており、平均100fpsを突破するほど。
Watch Dogs Legion
DirectX12をベースにした、超重量級のTPSゲームで、DXR&DLSSに対応しています。DXR設定は”最高”、DLSS設定は”パフォーマンス”で計測しています。
RTX 3070 TiとRTX 3070との差は、フルHD&WQHDでは平均fpsで約3~4%と僅差ですが、4Kでは約11%と大きくなります。ただ、あまりにもグラフィック負荷が重いので、焼け石に水といったところ。
上位のRTX 3080との差は、フルHDこそ約9%ですが、4Kでは約74%と非常に大きくなり、4Kでも平均60fpsを狙えます。そもそもRTX 3070 TiはRTコア数が少ないので、高解像度でのDXRはかなり荷が重いです。。
Cyberpunk 2077
DirectX12をベースにした、超重量級のFPSゲームで、DXR&DLSSに対応しています。DXR設定は”サイコ”、DLSS設定は”パフォーマンス”で計測しています。
フルHDではDLSSそのものがボトルネックとなり、どのグラボもほぼ同じfpsをマークしています。Watch Dogs Legionもそうですが、それ以上に強烈です。
RTX 3070 TiとRTX 3070との差は、平均fpsで約5~15%となり、やはり4Kで大きく差がつきます。なお、RTX 3080とはWQHD以上でしっかり差がつき、4Kでは約43%と、上のゲームほどではないにしろかなり大きめです。ただ、このゲームはとてつもなく重いので、4KでDXRを動かすのは至難の業ですね。
消費電力
Time Spy実行時の消費電力を計測しました。
RTX 3070 Tiのピーク時の消費電力は、RTX 3070から約17%上昇。性能の上がり幅に比べ、消費電力が多く、ワットパフォーマンスはちょっと微妙ですね。
結局RTX 3070 Tiはどうなの?
RTX 3070からVRAM以外あまりテコ入れされず、性能は最大約10%の向上にとどまっています。高解像度でのゲーミングに強くなっていますが、RTX 3080には大きく差をつけられており、肩透かし感がありますね。ポジションとしては、RTX 3070と同じく、4Kでのファーストチョイスといったところです。
なお、搭載モデルの価格は24万円台~と、RTX 3070よりもやや高い価格となっており、少しでも性能にこだわるならおすすめ。
RTX 3070 Ti搭載のおすすめゲーミングPC
GALLERIA/ガレリア XA7C-R37T 第12世代Core搭載(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i7-12700
■チップセット:H670チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラボ:RTX 3070 Ti
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe)
■電源:750W(80PLUS GOLD)
■大型CPUクーラー搭載
■価格:259,980円(税込)~
※実機モデルではCore i7-11700を搭載しています。
性能と価格のバランスに優れたモデル
インテルの第12世代12コア20スレッドCPU・Core i7-12700とRTX 3070 Tiを搭載した、4Kでのゲーミングに最適なミドルタワーモデル。
16GBメモリに1TB SSDの非常に充実した初期構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。さらに、最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源のほか、大型CPUクーラーを装備しており、冷却面も万全です。
曲線を用いた美しいケースは、裏配線&チャンバー構造を採用することで、高いエアフローを実現。さらに、LEDイルミネーションやクリアサイドパネルを搭載するこだわりようです。特にケースの完成度を重視する方におすすめ。
基本的にはカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータ類の保存先を分けることができ、さらに便利になります。
LEVEL-R7X6-R56X-UAX(パソコン工房)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Ryzen 5 5600X
■チップセット:X570チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラボ:RTX 3070 Ti
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe)
■電源:800W(80PLUS GOLD)
■価格:249,980円(税込)~
Ryzen 5 5600X搭載の低価格モデル
AMDの第4世代8コア16スレッドCPU・Ryzen 5 5600XとRTX 3070 Tiを搭載した、4Kでのゲーミングに最適ミドルタワーモデル。ミドルクラスCPUながらゲーミング性能がとても高く、上位のRyzen 7 5800Xに匹敵するパフォーマンスを発揮します。
16GBメモリに500GB SSDの充実した初期構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。さらに、最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源を搭載しています。
ケースの完成度も高く、ケース内部は裏配線&チャンバー構造を採用しており、エアフローはとてもスムーズ。拡張性もしっかり確保され、シンプルながら機能的なモデルに仕上がっています。
基本的にカスタマイズ不要ですが、ゲームの容量が増えているので、SSDを1TBに増やすとより安心。また、HDDを追加してデュアルストレージ構成にすると、ゲームとデータを別々に保存でき、さらに便利になります。
GALLERIA/ガレリア ZA9C-R37T 第12世代Core搭載(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i9-12900K
■チップセット:Z690チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラボ:RTX 3070 Ti
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe)
■電源:850W(80PLUS GOLD)
■水冷式CPUクーラー搭載
■価格:329,980円(税込)~
Core i9-12900K搭載の高性能モデル
上で紹介したドスパラのモデルを、インテルの第12世代16コア24スレッドCPU・Core i9-12900Kにしたバージョン。特に発熱の高いCPUですが、水冷式CPUクーラーを装備しており、冷却面は万全です。
とことん性能にこだわるならおすすめ。
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