- Ryzen 5 5600Xから約20~30%性能が向上
- Core i5-12600Kに匹敵する性能
- RTX 4070&RTX 4060 Tiのラインナップに搭載
ZEN 4アーキテクチャを採用したRyzen 7000シリーズがついに登場!6コア12スレッドのミドルクラスCPU・Ryzen 5 7600Xの性能と、おすすめBTOパソコンをチェックしてみましょう。
Ryzen 5 7600Xのスペックまとめ
Ryzen 7 7700X | Ryzen 5 7600X | Ryzen 5 5600X | Core i5-12600K | Core i5- 12400 | |
コードネーム | Raphael | Raphael | Vermeer | Alder Lake-S | Alder Lake-S |
プロセスルール | 5nm | 5nm | 7nm | 10nm | 10nm |
CPUコア総数 | 8 | 6 | 6 | 10 | 6 |
CPU P-コア数 | ー | ー | ー | 6 | ー |
CPU E-コア数 | ー | ー | ー | 4 | ー |
CPUスレッド数 | 16 | 12 | 12 | 16(P12+E4) | 12 |
動作クロック | 4.5GHz | 4.7GHz | 3.7GHz | P:3.7GHz E:2.8GHz | 2.5GHz |
最大クロック | 5.4GHz | 5.3GHz | 4.6GHz | P:4.9GHz E:3.6GHz | 4.4GHz |
倍率ロックフリー | ○ | ○ | ○ | ○ | ー |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 32MB | 20MB | 18MB |
対応メモリー | DDR5-5200 2ch | DDR5-5200 2ch | DDR4-3200 2ch | DDR5-4800 DDR4-3200 2ch | DDR5-4800 DDR4-3200 2ch |
内蔵GPU | AMD Radeon Graphics | AMD Radeon Graphics | ー | UHD 770 | UHD 730 |
TDP | 105W | 105W | 65W | 125W | 65W |
MAX TDP | 142W | 142W | ー | 150W | 117W |
最新世代のRyzen 7000シリーズでは、前世代の”ZEN 3アーキテクチャ”を改良した”ZEN 4アーキテクチャ”を採用しています。
改良版ということで基本的な設計は踏襲しており、CPUのユニット”CCX(CPU Complex)”は、8基のCPUと32MBキャッシュで構成されています。Ryzen 9はCPUパッケージ内に2基のCCXを搭載し、Ryzen 7以下は1基のCCXを搭載しています。
改良点としては、まず製造プロセスを7nmから5nmに微細化しています。2nm微細化することで、ダイサイズは14%小さくなる一方で、トランジスタ数は55%も増加。さらに、Ryzen 5000シリーズよりも低い電圧で駆動できるようになり、ワットパフォーマンスが向上しています。
なお、Ryzen 5000シリーズと同等の電圧で駆動すると、高い動作クロックで動作するので、Ryzen 7000シリーズでは動作クロックが大きく引き上げられているのもポイント。Ryzen 9 7950Xでは定格4.7GHz・最大5.7GHzと、インテルを上回るレベルに引き上げられ、TDPもガッツリ増加しています。
そのほか、命令実行の分岐予測やスケジューラ、浮動小数点演算ユニットなどもしっかり強化されており、IPC(クロックあたりの命令実行数)は約13%向上。基本性能はしっかり底上げされています。
そして、内蔵グラフィック・Radeon Graphicsをついに搭載。今まではGシリーズのみでしたが、全面的に採用となりました。ただし、Gシリーズとは異なり性能は最低限といったところで、映像を描写できる(4K・60fpsまで対応)というレベル。ゲームをプレイできるほどの性能はありません。
また、I/O機能も刷新され、メモリとPCIe Expressはいずれも最新規格に対応しています。メモリはDDR5規格となり、現行のDDR4メモリの約1.5倍の帯域幅で、処理性能がさらに向上。
PCIe Expressは5.0は、現行のPCIe 4.0に比べ2倍の帯域幅を持ち、グラフィクスやSSDの性能をさらに引き上げることが期待されます。ただし、現状はPCIe 3.0&PCIe 4.0対応デバイスがメインなので、PCIe 5.0が本領発揮するのはまだ先の話です。
Ryzen 5 7600Xの性能をチェック


基本的な設計は前世代と同じなので、コア・スレッド数も据え置き。Ryzen 5 7600Xは引き続き6コア12スレッド構成です。
ライバルはインテル第12世代CPU・Core i5-12600K(10コア16スレッド)&Core i5-12400(6コア12スレッド)です。ちなみに、Core i5の中でもCore i5-12600KのみP-コア・E-コアのWコア構成となっており、下位のCPUとは全くの別物です。
以下、RTX 3090・16GBメモリ(DDR5-6000&DDR4-3200)の組み合わせでベンチマークをチェックしてみましょう。ちなみに、DDR5-6000の記載がない場合は、DDR4-3200となります。
CINEBENCH R23
毎度おなじみ3Dグラフィックのレンダリング性能を測定するソフトです。最新となるR23ではよりマルチコアに最適化された、重量級のテストとなっています。
Ryzen 5 5600Xからシングルスコアは約20%向上し、インテルCPUと同等のレベルに進化しています。
また、マルチスコアは約35%と大きく向上し、前世代のハイスペックCPU・Ryzen 7 5800Xに迫るほど。ライバルと比較すると、Core i5-12400(DDR5)には約32%差をつけ圧倒していますが、Core i5-12600K(DDR5)には逆に約14%差をつけられています。
Blender Open Data
こちらも同じく、3Dグラフィックのレンダリング性能を測定するソフトです。時間(秒)で測定しているため、短いほど優秀ということになります。
Ryzen 5 5600Xから大きく時間を短縮し、その差は約28%にもなります。Ryzen 7 5800Xとの差は約4%ほどと小さく、実質前世代のRyzen 7相当の性能に進化していることがわかりますね。
Core i5-12400(DDR5)と比較すると約27%早く変換を完了し、Core i5-12600K(DDR5)には及ばないものの、約3%差にまで肉薄しています。
7-Zip
マルチスレッドに最適化したファイルの圧縮/展開ツールです。ベンチマーク機能がついており、辞書サイズ・32MBで圧縮・展開スコアを比較しました。
Ryzen 5 5600Xに比べ、圧縮では約27%、展開では約25%高いスコアをマーク。
Ryzenシリーズは展開に強く、その実力はCore i7に迫るほど。Core i5-12400(DDR5)に約68%もの差をつけ、Core i5-12600K(DDR5)より約19%高いスコアをマークしています。
一方、圧縮では差が大きく縮まり、Core i5-12400(DDR5)との差は約17%、Core i5-12600K(DDR5)ともなると約2%差にまでなります。
V-Ray Benchmark
こちらはフォトレンダリング処理性能を測定できるベンチマークソフトです。
Ryzen 5 5600Xよりも約37%高いスコアをマーク。Core i5-12400(DDR5)を約32%と大きく上回る一方で、Core i5-12600K(DDR5)に逆転されています。ただし、その差は約3%と誤差レベルです。
x265&x264 Encoder
動画エンコードのベンチマークソフトです。フルHDのテスト動画をx265&x264形式でエンコードした時間(秒)を測定しており、短いほど高速ということになります。
Ryzen 5 5600Xよりも約25%早く変換を完了。
ライバルと比較すると、Core i5-12400(DDR5)よりも約28%早く、Core i5-12600K(DDR5)との差は約2%とほぼ互角の結果となっています。
こちらもx264と同じような結果ですが、Ryzen 5 5600Xよりも約31%早く変換を完了し、なんと前世代のRyzen 7を上回るパフォーマンスを発揮します。なお、Core i5-12400(DDR5)よりも約31%早く、Core i5-12600K(DDR5)とは約3%と誤差レベルとなっています。
以上まとめてみると、Ryzen 5 5600Xに比べおおむね20~30%性能が向上しており、Core i7-12700以上Core i7-12700K未満の性能といったところですね。
Shadow of the Tomb Raider
シングル性能が強化されているので、ゲーミング性能もしっかり向上。Ryzen 5 5600Xよりも平均fpsは約13%向上し、Ryzen 7 5800Xを上回る高いパフォーマンスを発揮します。
もちろん、Core i5-12400(DDR5)を約15%上回り、Core i5-12600K(DDR5)に匹敵するほど。ゲーミング性能もインテル並みに進化していますね。
Watch Dogs Legion
このゲームではfpsが大幅に上がり、平均fpsはRyzen 5 5600Xよりも約22%も向上。Core i5-12400(DDR5)を軽く超え、Core i5-12600K(DDR5)と同等のfpsをマークしています。
Cyberpunk 2077
Ryzen 5 5600Xから平均fpsは約12%向上し、Ryzenシリーズではトップの性能をたたき出しています。ただ、このゲームではインテル系のCPUが強く、Core i5-12600K(DDR5)に約5%差をつけられています。
ちなみに、上記3つのゲームではDDR5メモリの効果が大きく、Core i5-12600K(DDR5)ではDDR4よりも約10~20%高いfpsをマークしています。特にCore i5での効果が大きいので、性能にこだわるならDDR5搭載モデルがおすすめ。ただし、BTOモデルだとごく一部のモデルに限られてしまいます。
Tiny Tina’s Wonderlands
基本的には前世代よりもゲーミング性能は向上しているものの、このゲームではCPUがボトルネックとなり、結果はほとんど変わりません。CPUへの負荷が非常に高いゲームでは、解像度が低いほどfpsに差が出にくくなります。
ゲーミング性能もインテルと同等レベルにパワーアップしていますが、インテルCPUに最適化されたゲームも多く、ゲーム用途ならインテルCPUのほうが無難ですね。
消費電力
先の【Blender Open Data】実行時の消費電力を比較しました。
TDPが100WオーバーとハイスペックCPUレベルになり、消費電力も大幅に増加。Ryzen 5 5600Xより約56%増え、Core i5-12600K(DDR5)と同等の消費電力となっています。性能伸び幅よりも消費電力が増えており、ワットパフォーマンスはイマイチですね。
Ryzen 5 7600Xの性能まとめ
性能はしっかり進化しており、Ryzen 5 5600Xから約20~30%向上。その実力は前世代のRyzen 7に迫り、Core i5-12600Kに匹敵します。6コア12スレッドが10コア16スレッドに匹敵するのは、なかなかインパクトがありますね。
ただし、Ryzen 7000シリーズすべてに言えることですが、Ryzen 5 7600X搭載モデルの価格は非常に高く、Core i7-12700搭載モデルより高いのは致命的。正直コスパがとんでもなく悪いので、おすすめしようにもできません。。
CPU単品ならこちらがおすすめ
Ryzen 5 7600XのおすすめゲーミングPC
RTX 4070搭載モデル
4Kでのゲーミングに対応したモデル
LEVEL-R7X7-LCR76X-TLX(パソコン工房)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Ryzen 5 7600X
■チップセット:X670Eチップセット
■メモリ:16GB(DDR5-4800)
■グラボ:RTX 4070
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe Gen.4)
■電源:800W(80PLUS GOLD)
■水冷式CPUクーラー搭載
■価格:259,800円(税込)~
フル装備のコスパモデル
AMDの第5世代8コア16スレッドCPU・Ryzen 5 7600XとRTX 4070を搭載した、4K対応のミドルタワーモデル。
16GBメモリに1TB SSDの非常に充実した初期構成で、SSDは爆速のPCIe Gen.4タイプを採用しています。さらに、冷却性能が非常に高い水冷式CPUクーラーのほか、最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源を搭載する徹底ぶり。
ケースの完成度も高く、ケース内部は裏配線&チャンバー構造を採用しており、エアフローはとてもスムーズ。拡張性もしっかり確保され、シンプルながら機能的なモデルに仕上がっています。
基本的にはカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータ類の保存先を分けることができ、さらに便利になります。
RTX 4060 Ti搭載モデル
WQHDでのゲーミングに最適なモデル
LEVEL-R7X7-LCR76X-SLX(パソコン工房)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Ryzen 5 7600X
■チップセット:X670Eチップセット
■メモリ:16GB(DDR5-4800)
■グラボ:RTX 4060 Ti(VRAM 8GB)
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe Gen.4)
■電源:700W(80PLUS BRONZE)
■水冷式CPUクーラー搭載
■価格:224,700円(税込)~
先に紹介したパソコン工房のモデルをRTX 4060 Ti&ブロンズクラス電源にしたバージョンで、WQHDでのゲーミングに最適。
基本的にはカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータ類の保存先を分けることができ、さらに便利になります。
GALLERIA/ガレリア ZA5R-R46T 7600X搭載(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Ryzen 5 7600X
■チップセット:X670Eチップセット
■メモリ:32GB(DDR5-4800)
■グラボ:RTX 4060 Ti(VRAM 8GB)
■ストレージ:SSD 1TB(PCIe NVMe Gen.4)
■電源:650W(80PLUS BRONZE)
■大型空冷式CPUクーラー搭載
■価格:239,980円(税込)~
高品質のコスパモデル
AMDの第5世代6コア12スレッドCPU・Ryzen 5 7600XとRTX 4060 Tiを搭載した、WQHDでのゲーミングに最適なミドルタワーモデル。
32GBメモリに1TB SSDの特盛期構成で、SSDは爆速のPCIe Gen.4タイプを採用。さらに、冷却性能が高い大型空冷式CPUクーラーを搭載しています。
曲線を用いた美しいケースは、裏配線&チャンバー構造を採用することで、高いエアフローを実現。さらに、LEDイルミネーションやクリアサイドパネルを搭載しており、トータルでの完成度が高い一台に仕上がっています。
基本的にはカスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータ類の保存先を分けることができ、さらに便利になります。
【番外編】G-Master Spear X670A(サイコム)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Ryzen 7 7700X(要カスタマイズ)
■チップセット:X670Eチップセット
■メモリ:16GB(DDR5-4800)
■グラボ:RTX 3060
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe)
■電源:750W(80PLUS GOLD)
■大型CPUクーラー搭載
■価格:273,730円(税・送料込)~
【上級者向け】自由自在にカスタマイズできる本格派モデル
ベースとなるモデルでは、8コア16スレッドのRyzen 7 7700XとRTX 3060を搭載し、WQHDでのゲーミングに最適な性能となっています。より高い性能を求めるなら、CPU・グラボのカスタマイズがまず必要です。
本格派のメーカーということで、初期構成もなかなかの充実ぶり。
まず、ケースはおなじみクーラーマスター製のミドルタワー【MasterBox CM694】を採用。フロントパネル全面はメッシュ加工がされ、通気性は抜群です。拡張性も高く、ツールレスなのでパーツの交換や増設もラクラク。さらに、グラボの固定ツールも装備しているので、マザーボードのスロットに負荷がかかりにくくなっています。
マザーボードは、コスパの高さで人気を誇るAsRockの【X670E Steel Legend】を搭載。ゲーミングモデルでは何よりも安定性が重要となりますが、VRMは19電源フェーズ設計となっており、CPUに安定して電力を供給できます。
また、グラボ用のPCIeスロットは金属で補強され、破損に強くなっているほか、熱くなりがちなM.2スロットには金属のヒートシンクを標準装備する徹底ぶり。もちろん、PCIe・M.2スロットは最先端の高速規格”PCIe 5.0”に対応しています。
そのほか、ゲームで安定した通信環境を実現する”Dragon 2.5Gb/s LAN”やWi-Fi 6対応の無線LANモジュールを搭載し、迫力&臨場感のあるサウンドを楽しめる”Nanimic Audio”を採用するなど、ゲーミング要素もしっかり押さえているのもいいですね。
また、電源も品質の高い、Silver Stone製の750Wゴールドクラス電源を搭載。最大90%の電力変換効率を誇り、省エネ・低発熱の優れもの。全ケーブルが脱着可能なフルモジュラー式なので、使わないケーブルは取り外すことでケース内はスッキリ。エアフローもスムーズです。
ゲーミングPCは高い…とお悩みの方 必見!

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