- Core i5-9400Fと同等かやや上の性能を持つミドルクラスCPU
- 搭載モデルの価格はCore i5-9400Fよりも安く、予算重視ならまずおすすめ
- GTX 1660 SUPER~GTX 1650までのラインナップに搭載
大幅な進化を遂げた第3世代Ryzenシリーズに、新たなミドルクラスCPUが登場。安くて実用的な6コアCPUの実力と、おすすめBTOパソコンをチェックしてみましょう。
第3世代Ryzen 5のスペックまとめ
Ryzen 5 3600 | Ryzen 5 3500 | Ryzen 5 2600X | Ryzen 5 2600 | Core i5- 9400F | |
コードネーム | Matisse | Matisse | Pinnacle Ridge | Pinnacle Ridge | Cofee Lake-S Refresh |
プロセスルール | 7nm | 7nm | 12nm | 12nm | 14nm++ |
コア/スレッド | 6/12 | 6/6 | 6/12 | 6/12 | 6/6 |
動作クロック | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.4GHz | 2.9GHz |
最大クロック | 4.2GHz | 4.1GHz | 4.2GHz | 3.9GHz | 4.1GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 16MB | 16MB | 16MB | 9MB |
対応メモリー | DDR4-3200 2ch | DDR4-3200 2ch | DDR4-2933 2ch | DDR4-2933 2ch | DDR4-2666 2ch |
PCIeレーン総数 | Gen.4×20 | Gen.4×20 | Gen.3×20 | Gen.3×20 | Gen.3×20 |
内蔵GPU | ー | ー | ー | ー | ー |
TDP | 65W | 65W | 95W | 65W | 65W |
大幅にパフォーマンスが向上した第3世代Ryzen 5ですが、前世代との大まかな違いは次の2点です。
アーキテクチャの増強
製造プロセスが微細化し、シリコンダイのパッケージングに変更があったほか、CPUコアそのものに大幅な改良が加えられています。これがまさにキモです。
前世代の【Zen+】マイクロアーキテクチャをベースにし、整数演算ユニットを2基から3基に増強。そのほか、命令デコーダやスケジューラ、分岐予測ユニットにも改良が加えられています。
また、浮動小数点演算についても、従来のユニット2基というのは変わりませんが、帯域幅が128bitから256bitに強化され、スループットは最大2倍になっています。
さらにキャッシュも改良され、L1データキャッシュの帯域幅は、Zen+アーキテクチャ比で2倍になっているほか、L3キャッシュ容量は16MBから32MBに増えています。
この3つの改良によって、IPC(クロックあたりの命令実行数)は約15%も向上し、総合的なパフォーマンスアップを実現しています。
PCIe Gen.4対応
I/O周りではインテルに先駆け、PCIe Gen.4に対応しています。PCIe Gen.4は従来のGen.3に比べ2倍の帯域幅を持ち、グラフィクスやSSDの性能をさらに引き上げることが期待されます。
ただしPCIe Gen.4をフル活用するには、”AMD X570&B550チップセット”が必要になり、さらに対応製品(グラフィクスやSSD)がPCIe Gen.4をサポートしている必要があります。
なお、現状では対応製品がかなり少なく(SSDで数種類くらい)、普及するのはしばらく後になりそうです。
Ryzen 5 3500の性能をチェック

Ryzen 5 3600の下位グレードとなるRyzen 5 3500では、SMT(マルチスレッド機能)が無効化され、6コア6スレッド構成となり、キャッシュ容量が16MBに減らされています。ポジションとしては、低価格のミドルクラスCPUといったところです。
従来このポジションはRyzen 5 2600(2600X)がカバーしていましたが、ほぼ終息しているので、登場と相成ったわけですね。なお、ライバルはインテルの6コアCPU・Core i5-9400Fとなります。
RTX 2080 Ti・16GBメモリ(DDR4-3200)の組み合わせでベンチマークを測定したので、比較しつつその性能をチェックしていきましょう。
CINEBENCH R15
毎度おなじみ3Dグラフィックのレンダリング性能を測定するソフトです。
最新世代はやはりシングル性能が高い!Ryzen 5 2600に対し、約125%のスコアと大幅に性能が向上。その分マルチ性能も押し上げており、約5%差まで迫っています。6コアCPUでこのスコアはインパクトばつぐんですね。
上位のRyzen 5 3600に対してはマルチで約73%のスコアと、スレッド分だけきっちり差が出ている感じ。Core i7に匹敵する性能をたたき出すRyzen 5 3600のパフォーマンスもなかなかに強烈です。
なお、Core i5-9400Fに対してはシングル・マルチともに約10%ほどスコアが高くなっています。
Blender Open Data
こちらも同じく、3Dグラフィックのレンダリング性能を測定するソフトです。時間で測定しているため、短いほど優秀ということになります。
マルチコア・スレッド構成か否かで結果が変わり、テストを完了する時間はRyzen 5 2600に対し約128%、Ryzen 5 3600ともなると約153%と大きく差を開けられます。Core i5-9400Fとは6コアCPU同士でほぼ同じ結果ですね。
7-Zip
マルチスレッドに最適化したファイルの圧縮/展開ツールです。ベンチマーク機能がついており、辞書サイズ・32MBで圧縮・展開スコアを比較しました。
このテストでもやはりマルチコア・スレッドCPUが有利となります。
Ryzen 5 2600と比較すると、展開こそほぼ同じですが、圧縮では約75%のスコアとしっかり差をつけられます。また、Ryzen 5 3600に対しては展開で約78%、圧縮で約64%のスコアとさらに差がつきます。それにしてもRyzen 5 3600の性能はけっこうえぐいですね。。
なお、Core i5-9400Fに対しては展開で約122%、圧縮で約108%といずれも上回っています。
V-Ray Benchmark
こちらはフォトレンダリング処理性能を測定できるベンチマークソフトです。
マルチコア・スレッドCPU有利なのは変わらず、Ryzen 5 2600に対し約82%、Ryzen 5 3600ともなると約70%のスコアと大きく差を開けられます。Core i5-9400Fに対しては約105%と上回り、CPUの基本性能はRyzen 5 3500の方が高めとなっています。
以下ゲームのベンチマークでその性能をチェックしてみましょう。
Far Cry New Dawn
前世代のRyzenはシングル性能が弱く、ゲーミング性能がイマイチでしたが、最新世代ではしっかり克服しています。
平均・最低fpsはいずれもRyzen 5 2600より高く、平均fpsは最大111%と安定感がアップ。Ryzen 5 3600に近いパフォーマンスを発揮します。
ただ、ゲームではCore i5-9400Fのほうが一枚上手で、Ryzen 5 3500に対し平均・最低fpsともに約111~115%とさらに安定感が増します。
BATTLEFIELD V
このゲームではまた違った傾向となり、マルチコア・スレッドCPU以外では最低fpsの落ち込みが目立ちます。Ryzen 5 2600と比較すると、フルHDでは平均fpsこそ約111%と上回るものの、最低fpsは約93%と逆転されてしまいます。
同じく6コアCPUのCore i5-9400Fとはほぼ互角といったところですね。ここでもRyzen 5 3600の安定ぶりが際立ちます。
The Division 2
上のゲームと似たような傾向ですが、とりわけRyzen 5 3500の最低fpsがいまいち伸びないといった感じですね。同じ6コアCPUのCore i5-9400Fと比較すると、平均fpsはあまり変わりませんが、最低fpsは約10%ほど低くなっています。
Shadow of the Tomb Raider
このゲームだとRyzen 5 3500のパフォーマンスが安定しており、Ryzen 5 2600に対し平均fpsは最大約106%、最低fpsも最大約118%となっています。Core i5-9400Fともそん色ないレベルですが、ゲームではややムラッ気があるといった印象ですね。
消費電力
先の【Blender Open Data】実行時の消費電力を比較しました。
省エネ性能で定評のある第3世代Ryzenで、さらにマルチスレッドを無効にしているため、Ryzen 5 2600から約11%の省エネを実現。
Core i5-9600Kと同じレベルとなっていますが、その性能はCore i5-9600Kよりも低めなので、ワットパフォーマンスはそこまで高くない感じです。一方、Core i5-9400F消費電力はRyzen 5 3500の約81%と少なく、性能差はせいぜい10%程度なので、ワットパフォーマンスはかなり高いですね。
結局Ryzen 5 3500はどうなの?
ゲームではややクセがあるものの、基本的にはCore i5-9400Fと同等かやや上の性能となっており、価格もCore i5に比べ安いため、予算重視ならまずこのCPUを選べばOK。
さすがにRyzen 5 2600の完全互換とはいかず、録画配信や動画・画像編集などのクリエイティブ性能を重視するなら、素直にRyzen 5 3600搭載モデルを選びましょう。予算を数千円プラスするだけで、ゲーミング性能が大きく強化されるので、個人的にはRyzen 5 3600がイチオシです!
Ryzen 5 3600搭載モデルはこちらもチェック

Ryzen 5 3500のおすすめゲーミングPC
GTX 1650搭載モデル
フルHD入門に最適なモデル
Lightning/ライトニング AH5(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Ryzen 5 3500
■チップセット:B450チップセット
■メモリ:8GB(DDR4-2666)
■グラボ:GTX 1650
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe)
■電源:450W(80PLUS BRONZE)
■価格:64,980円(税別)~
GTX 1650搭載の格安モデル
AMDの第3世代6コアCPU・Ryzen 5 3500とGTX 1650を搭載した、フルHD入門に最適なミニタワーモデル。
8GBメモリに大容量SSDの充実した初期構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用しています。最近ではゲームそのものの容量も増えているため、500GBというのはやはり安心。なお、このモデルは一般向けのデスクトップなので、光学ドライブ・マウス・キーボードが標準で付属しています。
メモリは16GBがおすすめですが、軽めのゲームを想定したモデルなので、このまま割り切ってしまうのもあり。
G-GEAR GA5A-C200/T(ツクモ)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Ryzen 5 3500
■チップセット:B450チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-2666)
■グラボ:GTX 1650
■ストレージ:SSD 240GB
■電源:550W(80PLUS BRONZE)
■価格:79,800円(税別)~
拡張性の高いミドルタワーモデル
AMDの第3世代6コアCPU・Ryzen 5 3500とGTX 1650を搭載した、フルHD入門に最適なミドルタワーモデル。大容量の16GBメモリにSSDのポイントをおさえた初期構成となっています。
ミニタワーに比べ拡張性が高く、HDDなどを多く搭載したい方におすすめ。
ゲームそのものの容量も増えているため、SSDの容量を増やすのがおすすめ。また、HDDを追加してデュアルストレージにすれば、ゲームとデータを別々に保存でき、とても便利。
GTX 1650 SUPER搭載モデル
フルHD入門+αのモデル
G-Tune PM-A(G-Tune)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Ryzen 5 3500
■チップセット:B450チップセット
■メモリ:8GB(DDR4-2666)
■グラボ:GTX 1650 SUPER
■ストレージ:SSD 256GB+HDD 1TB
■電源:500W(80PLUS BRONZE)
■価格:79,800円(税別)~
ワンランク上のエントリーモデル
AMDの第3世代6コアCPU・Ryzen 5 3500とGTX 1650 SUPERを搭載した、フルHD入門+αのミニタワーモデル。8GBメモリにデュアルストレージのポイントをおさえた初期構成となっており、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用しています。
また、ケースの完成度が高いのもポイント。ケース内部は電源とストレージを上部に集約した、【チャンバー構造】になっており、エアフローがとてもスムーズ。さらに、フロント部分にHDMI端子がついているので、VR機器の取り回しもかんたん。
ちなみに、G-Tuneは保証が充実しているのもポイント。G-Tuneでは延長保証が定額制で安く、例えば3年延長保証+センドバック修理保証に7,000円(税別)で加入することができます。また、24時間365日の電話サポート&96時間以内で修理完了が標準メニューとして用意されており、万が一でも安心。
メモリやSSDの容量を増やすのがおすすめですが、あくまでもエントリークラスのモデルとして、割り切ってしまうのもあり。
GTX 1660 SUPER搭載モデル
ド安定のフルHD性能が魅力のモデル
GALLERIA/ガレリア RM5R-G60S(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Ryzen 5 3500
■チップセット:A520チップセット
■メモリ:16GB(DDR4-2666)
■グラボ:RTX 1660 SUPER
■ストレージ:SSD 512GB(PCie NVMe)
■電源:650W(80PLUS BRONZE)
■価格:99,980円(税別)~
10万円以下の特価モデル
AMDの第3世代6コアCPU・Ryzen 5 3500とGTX 1660 SUPERを搭載した、ド安定のフルHD性能が魅力のミニタワーモデル。
大容量の16GBメモリに大容量SSDの充実した初期構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。曲線を用いた美しいケースは、LEDイルミネーションやクリアサイドパネルを搭載するほか、チャンバー構造や裏配線を採用するこだわりよう。見た目も華やかで、エアフローもバツグンです。
トータルでの完成度が高く、10万円以下のミドルクラスモデルではイチオシ。
基本的カスタマイズ不要ですが、HDDを追加してデュアルストレージにすると、ゲームとデータの保存先を分けることができ、とても便利。
ゲーミングPCは高い…とお悩みの方 必見!

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