NVIDIAのプロ向け高性能グラフィック・Quadroシリーズの性能と、おすすめモデルをチェックしてみましょう。
GeForceとQuadroの違い
そもそも高性能GPUを製造するNVIDIAでは、”GeForce”と”Quadro”の2ブランドを展開しています。
対象となるユーザーでブランドを分けており、GeForceがコンシューマー向け、Quadroはプロ向けのブランドという位置づけとなっています。需要が多いのはもちろん一般層ということで、市場に出回っているものはほとんどGeForceのGPUとなっています。
なお、Quadroシリーズは最新世代からネーミングが変わり、RTX A2000やRTX A4000など、Quadroが入らないようになっています。以下両者の違いを簡単にまとめてみました。
Quadro | GeForce | |
用途 | プロ向け クリエイティブ作業向け |
一般ユーザー向け ゲーマー向け |
10億色表現 | 対応 | 対応(Turing世代以降) |
GPUコア | 同一コアを採用 | |
VRAM | 最大48GB | 最大24GB |
保証 | 3年 | メーカー・代理店次第 |
価格 | 高価 | 安価 |
アプリの動作認証 | あり | 無し |
両者のおおまかな違いは、VRAM容量・価格・アプリの動作認証の3点。
映像制作の現場で特に重要となる色の表現力ですが、Quadro・GeForceともに10億色(10bit出力)に対応しています。以前はQuadroの専売特許で、GeForceは1677万色(8bit出力)までとなっていましたが、前世代となるTuring以降では10億色の表現に対応するようになりました。
また、Quadroの強みであるアプリの動作認証についても、各種クリエイター向けソフトウェアに最適化されたドライバソフト”NVIDIA STUDIO Driver”がGeForceシリーズに提供されているので、Quadroと同じように使うことができます。
RTX A6000 | GeForce RTX 3090 | |
GPUコア | GA102(Ampere) | |
CUDAコア | 10752 | 10496 |
メモリバス | 384bit | |
VRAM | 48GB | 24GB |
消費電力 | 350W | 300W |
価格 | 700,000円 | 200,000~300,000円 |
性能面を比較してみるとこんな感じです。いずれもハイエンドクラスのモデルとなります。
GPUコアは同一のものを採用しており、性能の要となるCUDAコアもほぼ同じ。違うのはVRAM容量と価格で、RTX A6000は48GBと破格レベルの多さですが、価格はなんと70万円台と非常に高価。正直コスパはかなり悪く、これだけのものが求められるのは、プロのクリエイタースタジオくらいのものです。
性能・機能はほぼ共通しているため、基本的にはGeForceでOK。アプリの動作保証を特に重視するならQuadroシリーズがおすすめです。
ベンチマーク
ベンチマークテスト”3D Mark”でグラフィックの性能をチェックしてみましょう。Fire StrikeはDirectX 11、Time SpyはDirectX 12ベースのテストとなります。なお、[D]はデスクトップ用グラフィック、[N]はノート用グラフィックを表しています。
現在メインとなるのは、RTX 2000・RTX 4000・RTX 4500・RTX 6000の4モデルです。
一番下位のグレードとなるRTX 2000でもVRAM 12GB搭載しています。性能はあくまでもエントリークラスということで、RTX 3050やGTX 1660 SUPERと同等レベルと控えめ。4K動画の編集や3DCGの作成などヘビーな作業にはパワー不足です。
おすすめは上位のRTX A4000ですね。RTX A2000から大きくパワーアップし、その性能は約2倍にもなります。VRAMは16GBとかなり多く、RTX 3060 Tiレベルの高い性能も相まって、本格的な編集作業に最適。より性能にこだわるなら、ワンランク上のRTX A4500がおすすめ。
最上位のRTX A6000はVRAM 48GBと怒涛の容量を搭載。RTX A4000よりも約40~50%も性能が高く、RTX 3080に匹敵するパフォーマンスを発揮します。ただし、搭載モデルの価格は約100万円台と非常に高額なのがネックです。。
Quadro搭載おすすめクリエイターPC
RTX A2000搭載モデル
RTX 3050と同等の性能を持つ、VRAMを12GB搭載したプロモデル
raytrek/レイトレック LC-MA2(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i7-12700
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラフィック:RTX A2000
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe)
■電源:550W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:有線のみ
■DVDドライブ搭載/有線キーボード&マウス付属
■価格:249,980円(税込)~
Core i7×RTX A2000搭載のコスパモデル
インテルの第12世代の12コア20スレッドCPU・Core i7-12700とRTX A2000を搭載したミニタワーモデル。
16GBメモリに500GB SSDの充実した初期構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用しています。また、大型の空冷式CPUクーラーを装備しており、冷却面も万全です。CPUを含めトータルでの性能を重視するならおすすめです。
基本的にカスタマイズ不要ですが、本格的に使うならメモリは32GBあると安心。3DCGの制作や3D CADなら64GBメモリがおすすめです。また、データの保存用にHDDを追加すると、さらに便利になります。
RTX A4000搭載モデル
RTX 3060 Tiと同等の性能を持つ、VRAMを16GB搭載したプロモデル
raytrek/レイトレック ZQ-A4000(ドスパラ)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i7-12700K
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラフィック:RTX A4000
■ストレージ:SSD 500GB
■電源:650W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:有線のみ
■DVDドライブ搭載/有線キーボード&マウス付属
■価格:369,980円(税込)~
Core i7-12700K搭載のコスパモデル
インテルの第12世代12コア20スレッドCPU・Core i7-12700KとRTX 3060を搭載したミドルタワーモデル。編集用途ではクロックの高さも重要になるので、高クロックのK付きCPUなら作業がよりはかどります。
16GBメモリに500GB SSDの充実した初期構成となっており、SSDはNVMeタイプでも特に高速の”Gen.4規格”を採用。さらに、大型の空冷式CPUクーラーを装備しており、冷却面も万全です。大型ケースのため拡張性も高く、HDDを多く搭載できるのもポイント。
基本的にカスタマイズ不要ですが、動画編集であれば32GBメモリ、3DCGの制作や3D CADなら64GBメモリがおすすめです。また、データの保存用にHDDを追加すると、さらに便利になります。
RTX A4500搭載モデル
RTX 3070と同等の性能を持つ、VRAMを20GB搭載したプロモデル
SENSE-F069-LC129-QRX(パソコン工房)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Core i7-12700
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラフィック:RTX A4500
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe)
■電源:700W(80PLUS BRONZE)
■無線LAN:有線のみ
■DVDドライブ非搭載/有線キーボード&マウス付属
■価格:459,980円(税込)~
Core i7×RTX A4500搭載のコスパモデル
インテルの第12世代12コア20スレッドCPU・Core i7-12700とRTX A4500を搭載したミドルタワーモデル。
16GBメモリに1TB SSDの非常に充実した初期構成となっており、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。さらに、大型の空冷式CPUクーラーのほか、最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源を搭載する徹底ぶりです。
また、大型ケースのため拡張性も高く、HDDを多く搭載できるほか、フロント全面がメッシュパネルなので通気性はバツグン。さらに、ケース上部には取っ手がついているので、持ち運びしやすいのもポイントです。
基本的にカスタマイズ不要ですが、本格的に使うならメモリは32GBあると安心。3DCGの制作や3D CADなら64GBメモリがおすすめです。また、データの保存用にHDDを追加すると、さらに便利になります。
RTX A6000搭載モデル
RTX 3080と同等の性能を持つ、VRAMを48GB搭載したプロモデル
SENSE-F069-LC129-QRX(パソコン工房)
【スペック】
■OS:Windows 10
■CPU:Core i9-12900
■メモリ:16GB(DDR4-3200)
■グラフィック:RTX A6000
■ストレージ:SSD 500GB(PCIe NVMe)
■電源:800W(80PLUS GOLD)
■無線LAN:有線のみ
■DVDドライブ非搭載/有線キーボード&マウス付属
■価格:934,800円(税込)~
コスパに優れた本格派モデル
インテルの第12世代16コア24スレッドCPU・Core i9-12900とRTX A6000を搭載したミドルタワーモデル。
16GBメモリに500GB SSDの非常に充実した初期構成となっており、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。さらに、冷却性能に優れた水冷式PUクーラーのほか、最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源を搭載する徹底ぶりです。
また、大型ケースのため拡張性も高く、HDDを多く搭載できるほか、フロント全面がメッシュパネルなので通気性はバツグン。さらに、ケース上部には取っ手がついているので、持ち運びしやすいのもポイントです。
基本的にカスタマイズ不要ですが、本格的に使うならメモリは32GBあると安心。3DCGの制作や3D CADなら64GBメモリがおすすめです。また、データの保存用にHDDを追加すると、さらに便利になります。
DAIV Z9-A6(マウスコンピューター)
【スペック】
■OS:Windows 11
■CPU:Core i7-12700
■メモリ:64GB(DDR4-3200)
■グラフィック:RTX A6000
■ストレージ:SSD 1GB+HDD 2TB
■電源:850W(80PLUS GOLD)
■無線LAN:IEEE 802.11ax+Bluetooth 5.0
■光学ドライブ・キーボード・マウス非搭載
■価格:999,900円(税込)~
サポート重視ならマウスコンピューターがおすすめ
インテルの第12世代12コア20スレッドCPU・Core i7-12700とRTX 3060を搭載したミドルタワーモデル。
64GBメモリに1TB SSD+2TB HDDの特盛構成で、SSDは通常タイプよりも4~5倍高速のNVMeタイプを採用。さらに、冷却性能に優れた水冷式PUクーラーのほか、最大90%の電力変換効率を誇るゴールドクラス電源を搭載する徹底ぶりです。大型ケースのため拡張性も高く、HDDを多く搭載できるのもポイント。
ちなみに、マウスはサポート&保証が充実しているのもポイント。まず延長保証が定額制で安く、例えば3年延長保証+センドバック修理保証に7,700円(税込)で加入することができます。また、24時間365日の電話サポート&96時間以内で修理完了が標準メニューとして用意されており、万が一でも安心。
基本的にカスタマイズ不要ですが、データを多く扱うならHDDの容量をさらに増やすのがおすすめ。
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